ヨーロッパ移民危機から読み解く移民の背景(前編)

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みなさま
こんにちは。株式会社lifepepperのMJです。

今回のテーマはヨーロッパで大問題になっている「移民」についてです。昨年の大晦日、ドイツのケルンをはじめとするヨーロッパの複数の都市で、中東系男性による集団暴行事件が発生しました。これを機に難民に対する風当たりは強まっています。

統計上では移民・難民数はここ数年間で激増しています。2015年度に海路経由でヨーロッパへ流入した移民・移民の数は100万人以上、2014年の21万人の5倍弱となりました。今回は激増する移民の背景を読み解きます。

移民はなぜ起こる?

そもそもなぜ移民するのでしょうか。人の移動というのは意思が伴います。その動機が、送り出し国と、受け入れ国のそれぞれにある場合、移民が成立するのです。送り出し国にある動機としては、治安の悪さや生活水準の低さ、移民がもたらす送金、失業率の改善などがあります。一方で受け入れ国にある動機としては、少子高齢化による労働力不足、魅力的なライフスタイルであったりします。ヨーロッパの場合、多くは旧植民地から旧宗主国への移動です。例えば北アフリカからフランスへ、パキスタン、インド、スリランカからイギリスへ、などがあります。旧宗主国へ移住するのは、言語の一致や文化的な結合、留学生の受け入れ援助などのメリットがあるためです。

2015年に入り、特に内戦や紛争で祖国を追われる人が非常に増えました。またヨーロッパはヨーロッパで移民政策を推し進める形になり、これほどまでに移民が増加したのです。
 
 

同化、多文化主義という考え方

さて、移民を受け入れるにあたり、従来大きく2つ考え方がありました。

①フランスの同化
フランスの移民政策を代表するのがイスラム教徒の女子学生のスカーフ問題です。2004年、公立学校内であからさまな宗教的な表現を禁止する法律が制定されました。ここで理念上問題とされたのが「公共の空間における中立性」です。非宗教性というものはフランス民主主義の大原則です。宗教を公の場に持ち込むこと、それだけはフランスが譲れない部分でした。つまり同化というのは、人種や出身地、宗教に関わらずその社会の守るべき原則を遵守・適合させることなのです。

②イギリスの多文化社会
イギリスは戦後多くの植民地を失います。しかし旧宗主国としての責任は残ったため無条件に移民を受け入れることとなった。イギリスの都市には多様な移民が集まってきたが、統制機構を整えることができず、移民のコミュニティが出来上がった。これが結果的にイギリスの多文化社会へと繋がる。つまり、移民のアイデンティティを保護しつつも、異なる分化が共生できる社会をつくるべきだという考え方だ。

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どちらも失敗した移民政策

同化と多文化社会、この2つの移民政策において、イギリスとフランス、どちらも失敗に終わりました。フランスにおいては政教分離を根本とするムスリムとの対立、イギリスにおいては白人と黒人という人種の壁がそれぞれ要因となりました。そこでドイツは「統合」という新しい概念のもと移民政策を推し進めることになりました。統合とは、移民の文化的なアイデンティティは保ったまま、多数派社会(つまりこの場合ではドイツ人)の一員として経済的、社会的、政治的生活を営むべきだという考え方です。

しかしそのドイツも今回の一件からわかるよう、うまくはいきませんでした。後半では、ドイツが失敗した背景および、これから移民政策に取り組もうとしている日本について考えようと思います。後編もお楽しみに!
 
 
>>参考記事
現代の移民の特徴?ヨーロッパの現状に学ぶ(IOM)
移民危機、2015年に海から欧州到達の移民・難民は100万人以上(livedoor)
移民の「統合」に失敗したドイツが、それでも移民を受け入れる特殊な事情(橘玲の世界投資見聞録)
ドイツ:移民政策転換から15年(大和総研)
ドイツで難民に対する風当たりが強まる 中東系男性が集団暴行の被害(livedoor)
 
 
>>過去の記事はこちら
>>次回:ヨーロッパ移民危機から読み解く移民の背景(後編)

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