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中国進出が注目の理由とは?メリットや成功のポイントをご紹介

海外へのビジネス展開を考えている企業は増加していますが、多くの事業者が目指しているのが中国への進出です。

海外には他に多くの候補地がありながら、なぜ中国がここまでの人気を誇るのでしょうか。

今回は、海外進出において中国が人気の理由や、どのような進出が成功につながるかといったポイントなどについて、ご紹介際ます。

中国市場について

まずは、実際の中国市場についての近況を確認しておきましょう。現在、中国は世界第二位の経済大国にまで発展するほどの経済力を有しており、国内に形成しているマーケットは巨大です。

小売市場だけをみても、2019年における中国の小売業界の売上高は前年比7.5%増の5兆6400億ドル(約614兆円)に達するとされており、圧倒的な取引額を内外に知らしめています。同予測ではアメリカが5兆5300億ドル(約586兆円)と試算されているため、世界最大の小売市場が広がっていると言えるでしょう。

参考:WWD「中国が世界最大の小売市場に 2019年に米国を抜く見込み」
https://www.wwdjapan.com/articles/783516

またオンライン市場に絞ってみても、中国では圧倒的な市場が形成されていることがわかります。2020年の全国のオンライン小売売上高は、前年比10.9%増の11兆7600億元(約188兆円)になったという発表があり、圧倒的な存在感を発揮しています。中国としてもこの記録は前代未聞であり、今後も安定した成長が見込めるでしょう。

参考:AFP BB「中国オンライン小売市場規模、過去最高を更新」
https://www.afpbb.com/articles/-/3328480

新型コロナウイルスの影響により、一時的な消費の落ち込みはみられたものの、落ち込んだ消費は巣ごもり需要へと転換し、現地では再び消費の回復が進んでいます。

旅行に行けない分、オンラインで海外商品を購入するといった動きも見られ、今後のさらなる成長に期待がかかります。

日本企業の進出状況

このような活況にわく中国市場に合わせ、日本企業の進出も進んでいます。現在、中国関連のビジネスに携わる企業の数は3万を超えており、2020年1月時点で1万3646社もの企業が中国本土へ進出しています。

長期的に見れば今後も本土進出を目指す企業は増えるとされていますが、昨年は新型コロナウイルスの影響が大きかったこともあり、過去最高を記録するにはいたりませんでした。

過去の調査で最も進出社数が多かった2012年(1万4394社)からは748社減少しているとされていますが、コロナショックが落ち着けば、再び増加に転じることも十分に考えられます。

参考:帝国データバンク「日本企業の中国進出動向(2020年)」
https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/p200208.html

中国の経済活動そのものが、コロナ以前から停滞はしていたものの、今後も世界最大規模のマーケットという地位が揺らぐことはそうないでしょう。

広がる「脱・中国」中国進出している日本金業数は、過去10年で最低の1万2千社に。

※2022年11月追記

帝国データバンクの調査によると、中国に進出している日本企業は2022年6月時点で、1 万 2706社とは明しました。2022年の調査段階からの変化では、「撤退・所在不明」が2176社、「倒産・廃業」が116社と、累計2292社の日本企業が中国市場から撤退しています。一方で、新たに中国に拠点などを開設した企業数は1352社となっています。

引用:https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p220705.pdf

輸出基地としての価値が下がる中国

中国の経済発展の速度は著しくそれに伴い人件費の高騰が発生したり、環境規制強化、輸出管理法やデータセキュリティー法などの施行もあり、従来に比べて日本企業や外資企業が中国でビジネスを行う際のリスクが高まってきています。また、中国ではコロナ感染者数を0にする方針により、ロックダウン期間が長期的に発生していたことから、中国でビジネスを行う企業数が減っている原因になったと考えられます。

以前に比べてビジネス参入のリスクは高まっているものの、それでも日本国内需要が縮小していくなか、中国市場に自社製品を広めていくことは、大きな市場を手にできる機会であることには変わりありません。

成功事例

多くの企業が中国進出に挑戦する中、どのような企業が現地で受け入れられ成功しているのでしょうか?ここではいくつかの企業をご紹介いたします。

・サービス業「株式会社ダイアナ」

女性の国際的な活躍をサポートするトータルビューティーソルーション事業を手掛ける。2011年より中国での事業を展開し、富裕層の顧客を多く持つ。アジア各国の経済発展に伴うアジア女性の社会進出に目をつけ、国際水準で認められる女性の美しさづくりのサポートを行っている。成功までに行ったこととして次のようなものを挙げている。

①名を浸透させるため積極的に展示会出展 ②現地消費者のニーズを把握するため、消費者向けイベントやセミナーの開催

■参考 https://www.digima-japan.com/jirei/china/8741.php

・卸売 / 小売業「まくら株式会社」

枕を始めに、寝具・睡眠グッズの企画開発及びインターネット販売を行っている。2017年中国大手ショッピングモール「天猫国際」に初出展。同年11月中国最大の商戦日に、6000万超の売上を達成する。成功のヒントとして、パートナー企業の存在をあげている。まくら株式会社は「天猫国際」に出展前、サイトを運営するアリババグループから情報をいくつかもらっていたという。事前に中国EC市場の特殊かつ有益な情報を得られたことにより、対策を練ることができたとのこと。

■参考 https://www.digima-japan.com/jirei/china/8136.php

・リユース事業「株式会社アクティブソナー」

ハイブランドのオンラインリセールプラットフォーム「RECLO(リクロ)を展開。事業内容は高級ブランドアイテムを対象とし、ブランド品を売りたい人と買いたい人がそれぞれクローゼットをシェアしあうサービス。2016年中国版「RECLO」をスタートさせ、売上を毎月倍増させている。日本で商品を鑑定し日本から中国に直送することで、顧客がクオリティーに安心できる点がポイントだという。成功のヒントとしては、ローカル人材を採用し国の規制や現地のニーズなど生の情報を得ること。

■参考 https://www.digima-japan.com/jirei/china/13401.php

中国進出が注目を集める理由

このような中国市場と日本企業の進出状況がある中で、中国進出を目指す理由はどこにあるのでしょうか。改めて確認しておきましょう。

高まる消費意欲

一つ目の理由は、中国の高い消費意欲です。中国が世界最大の小売市場を形成していることは前述の通りですが、それは中国国民の経済的な豊かさが高まりを見せ、多くの消費者が高い購買意欲を持っていることに起因します。

中国と比較すると、日本の消費は大きな減退期に差し掛かろうとしています。総務省が発表した2020年の家計調査によると、2人以上の世帯の消費支出は月平均で27万7926円となり、減少の一途を辿っていることがわかります。

参考:日本経済新聞「20年の消費支出、落ち込み最大5.3%減 月27万7926円」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODF048AV0U1A200C2000000/

新型コロナの影響だけでなく、以前から縮小傾向にあった日本市場では、いまだ消費活性化の決め手に欠けているため、多くの企業の成長が頭打ちになっています。

このような状況を打破するため、日本企業は成長意欲と消費欲求の大きな中国へと進出し、売り上げの確保に動いているということです。

人口の増加

中国が日本と異なるもう一つの特徴は、人口増加が顕著に進んでいるということです。日本では少子高齢化に拍車がかかり、消費を支える若者が減少し、経済活動に従事できる労働人口も減少の一途をたどり、高齢者が過半数に届こうとしています。

一方の中国は経済成長を継続するかたわら、人口の増加も続いています。中国における2020年の総人口は14.1億人に達し、出生率は鈍化しているものの、いまだ世界最大の人口規模を誇ります。

この10年で7,000万人もの増加を達成している中国が、どれほどの伸び代を残しているかは不明ですが、それでも多くの若者が現地で誕生し、経済活動や消費へ積極的に参加していることは明らかです。

参考:ロイター「中国の2020年総人口は14.1億人、「一人っ子政策」導入以来最低の伸び」
https://jp.reuters.com/article/china-population-idJPKBN2CS084

現地で人気の高い日本商品

また、中国本土では日本製の商品や日本ブランドの商品も相変わらず高い人気を誇ります。かつては日本における中国観光客の「爆買い」が社会現象となりましたが、今はEC市場が発達したことで、オンラインでの購入にシフトしつつあります。

新型コロナウイルスの影響もあり、日本での買い物ができなくなっている分、越境ECの需要はますます大きくなっているのも特徴です。

中国進出のメリット

中国進出を進めていくことで、魅力的な恩恵を受けられるようにもなります。以下の二つのメリットに目を通しておきましょう。

新しい販路を開拓できる

一つは、新しい販路の開拓による売り上げの確保です。日本では小さすぎるマーケットの商品やサービスでも、中国向けの展開に舵を切ることで、新しい集客を得ることが可能になります。

中国には日本になかった需要が存在するケースもあるため、挑戦して見る価値はあるでしょう。家電や高級フルーツなど、景気に湧く中国ではあらゆる日本の商品が注目を集めています。

長期的な市場開拓の可能性

中国進出の最大のメリットが、長期的にマーケットを形成し、新たな得意先を開拓するチャンスに溢れているという点です。

日本の市場は縮小傾向にあり、高齢化が顕著であるため、今はよく商品を買ってくれている顧客が、いつまでも注文を維持してくれるとは限りません。

一方で中国はいまだ成長が衰えることもなく、経済発展を続けている大国です。開発の余地は大きく、人口増加も続いているため、何世代にもわたって顧客となってくれるマーケットを得られる可能性があります。

早いうちから現地に得意先を作っておくことで、安定した企業経営を実現できます。

日本企業の中国進出事例

中国に進出している企業の業界は、製造業と卸売業が多くを占めています。いくつかの地域では、製造業の割合が60%を超えている地域もあり、工場進出の拠点として多くの日本企業が進出しているそうです。

引用:https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p220705.pdf

中国進出事例を紹介しているサイト

A&Cアソシエイツ

経営コンサルティングや中国進出支援をしている企業さんで、現在16企業の中国進出事例のインタビュー記事を読むことができます。

Digima~出島~

海外進出に関する情報発信に力を入れている企業さんで、こちらでも30記事以上のインタビュー記事を読むことができます。

中国進出に成功するためのポイント

このような中国の強みを最大限引き出すためには、以下の二つのポイントを最低限押さえておくことが大切です。

競合との差別化を強化する

一つは、競合との差別化に入れるという点です。日本企業の中国進出はまだ伸び代があるとはいえ、すでに多くの業種で参入が始まっています。

日本の商品であればなんでも買ってくれるということも少なくなっており、少しでも多くの商品を買ってもらうためには、競合と差別化し、シェアを確保しなければなりません。

競合と差別化を行う上では、広告戦略にも力を入れる必要があります。リスティング広告やSNS広告、インフルエンサーマーケティングを併用することで、どのような点で他社との強みに違いがあるのかを、積極的にアピールすることが大切です。

自社の強みを生かした、適切なマーケティングで現地へ進出しましょう。

丁寧なローカライズの実践

自社の強みをよく理解してもらうには、ローカライズにも力を入れる必要があります。単に中国語に翻訳するだけでなく、中国でこちらの意図通りに通じる翻訳を考え、パッケージデザインやロゴ、商品の雰囲気を形作る必要があるでしょう。

そのためには、現地の風土を理解した人物や、ネイティブ人材の力を借りる必要があります。日本と同様、中国もトレンドの移り変わりが激しいため、最新の流行にキャッチアップできる仕組みを整える必要があります。

また、常にトレンドを押さえるためには、現地でのリサーチを定期的に行う必要も出てきます。海外コンサルタントなどを利用し、現地調査やインタビューなど、情報収集をサポートしてくれる組織に依頼すると、戦略策定において強みを発揮してくれます。

おわりに

中国進出に多くに日本企業が取り組んでいるのは、中国市場の景気の良さや成長力に魅力を感じているだけでなく、日本市場の縮小という深刻な問題に直面していることが要因に挙げられます。

日本国内での消費が減退している以上、従来の方法で売り上げを伸ばすことは困難を極めるため、新しいマーケットの開拓が必要です。

中国は成長力があるだけでなく、距離も欧米に比べて近く、文化や人種も近しい国であるため、ハードルは決して高くありません。適切な進出戦略の策定と調査を実施し、競合との差別化を図りましょう。

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