5年前の2012年836万人だった訪日外国人数は、2016年には2,403万人とおよそ3倍にも膨らみ、近年、訪日外国人数が右肩上がりに増え続けています。

そんな中、多くの日本企業がグローバルビジネス、特に訪日外国人の集客に目を向けるようになりました。注目の的は「爆買い」で話題になった中国人観光客ですが、実は隣国の韓国も中国に次いで2番目、訪日外国人全体の21%の訪日数を誇ります。そのためインバウンド業界では注目をされている国の1つです。

韓国では、「NAVER」というGoogleとは仕組みが全く異なる検索エンジンが最も利用されています。そのため、NAVERの仕組みから生じた韓国独自の情報収集や購買文化が存在します。

今回の記事では、その韓国の特殊なWEBマーケティング事情で必ず押さえるべきポイントを2つ紹介していきます。

目次

  1. 韓国NO.1検索エンジンNAVERとは
    1. NAVERでは日本のSEO対策が通じない?
  2. 韓国No.1検索エンジンNAVERの仕組み
  3. WebサイトのSEOが効果がないNAVERで、韓国企業はどう集客をするのか
    1. リスティング広告
    2. NAVERリスティングの広告運用上の違い
  4. NAVERブログSEO
  5. NAVERブログの特徴と知っておくべきSEO対策の基本3点
    1. NAVERブログの特徴
  6. 知っておくべきNAVERブログSEO対策の基本3点
  7. まとめ:王道の韓国プロモーション方法はリスティングとブログSEO対策

韓国NO.1検索エンジンNAVERとは

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海外向けにWEBマーケティングをする上で欠かせないのは、「その国でどのような情報収集方法が存在しているか」というポイントを押さえることです。韓国の場合は、"検索エンジンNAVER"が様々な検索エンジンやSNS、メディアの中でも最も利用されているWEBの情報収集源です。

●韓国NO.1検索エンジンNAVERとは

韓国では検索エンジンNAVERが最も利用されている情報収集源です。NAVERはNAVER Corporationが運営するポータル型の検索エンジンで、韓国国内では3,700万人が利用する最大手の検索エンジンとなっています。ポータル型の検索エンジンであるため、検索機能以外にもNAVERが提供する多数のサービスを利用できます。

NAVERでは日本のSEO対策が通じない?

検索エンジンを基準としたマーケティング施策としては、SEO対策・リスティング広告ディスプレイ広告などが存在おり、NAVERも例外ではありません。しかし、この検索エンジンNAVERには、日本で一般的に言われているWebサイトSEO対策がまったく通用しないという癖が存在しています。

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韓国のWEBサービス別利用者数人口(2016年)

それでは一体どのようにNAVER上で集客を行えばいいのでしょうか?その鍵ははNAVERの検索のアルゴリズムの特徴と韓国の検索文化を知る必要があります。
  

韓国No.1検索エンジンNAVERの仕組み

韓国のNAVERはポータル型の検索エンジンのため、たくさんのサービスを検索エンジン上で利用できます。見た目はYahoo!Japanに少し似ているかもしれません。NAVER上に掲載されているコンテンツには全てカテゴリーが決められており、ブログ・画像・動画・ショッピング・WEBサイト・知識IN(Yahoo!知恵袋のような機能)・マガジン(出版社が発信するメディア記事)など総数50近くのカテゴリーに分類されています。

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NAVERのコンテンツカテゴリー一覧

NAVERは検索エンジンのユーザービリティ向上のために、全てのコンテンツをこのカテゴリーのどれかに分類をしています。そのため、「〜の使い方」や「〜の値段は」などと調べれば、知識INのカテゴリーが検索結果の上位に表示されるが多く、「〜おすすめ」と調べれば、NAVERブログのカテゴリーが上位に表示されることが多いという仕組みになっています。

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「日本 お土産 おすすめ」と調べた際の検索結果

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「iphone 値段」と調べた際の検索結果

お気付きの方もいるかもしれませんが、NAVERの検索結果は各カテゴリーごとに3~5つずつコンテンツが表示されるという検索結果の構成になっています。検索者の検索意図に合わせて表示されるカテゴリーは異なり、そもそも上位に表示されないカテゴリーは露出が激減するという特徴があります。

企業のWEBサイトや自社制作のECサイトなどの場合は、WEBサイトというカテゴリーに分類されます。しかし、NAVERではWEBサイトのカテゴリーが検索結果の上位にはほとんど表示されません。

企業のWEBサイトや自社制作のECが表示されるケースは、ブランド名や企業名・サイト名を直接検索した時のみです。それ以外の場合はほとんど上位には表示されないという傾向があります。

このような検索の仕組みになっているからこそ、韓国にマーケティングを行う際にはNAVERの仕組みに合わせたマーケティングを展開する必要があると言えます。
  

WebサイトのSEOが効果がないNAVERで、韓国企業はどう集客をするのか

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ここまでの話で、韓国の検索エンジンNAVERの仕組みを知り、WebサイトSEO対策ができないというのがおわかりいただけたのではないでしょうか。

では、NAVERではどのように集客を行えばいいのか……その手法はリスティング広告とNAVERブログの主に2つになります。
  

リスティング広告

韓国のNAVERの場合、検索キーワードに応じてリスティング広告が最大20個表示されます。さらに広告表示エリアは下図のように黄色く区別され、視認性が高い特徴があります。先ほど検索結果のカテゴリーは、ユーザーの検索語句に応じて順番が入れ替わると紹介しました。しかし、リスティング広告はその影響を受けず常に一番上に表示されるため、ユーザーに認知されやすいという特徴があります。

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「iphone価格」と調べた際に表示されるリスティング広告

Webサイト検索結果に表示されづらく、広告が目立つNAVERのシステムによって、韓国ではリスティング広告をじっくり比較検討して企業やWebサイトを選ぶという検索文化が発達しました。

このような文化背景と検索システムの仕組みによって、韓国では日本以上に自社の見込み客になり得るキーワードに対して広告で集客を行う手法が主流となっています。
  

NAVERリスティングの広告運用上の違い

NAVERのリスティング広告はいくつか運用上でもGoogleやYahoo!とは異なる点が存在します。主な違いを2つご紹介します。

1. 最大45文字の広告
NAVERで出稿できる広告文は最大で45文字となっているため、説明できる強みは2つ程度となります。そのため、見込み客の反応のいい強みを発見しやすい特徴があります。

2. 完全一致方式での広告出稿
NAVERの広告出稿方式では完全一致が採用されています。完全一致とは、広告主が指定した言葉に一致した言葉が検索された場合のみ広告が表示される仕組みです。そのため、広告運用開始初期の広告設定で膨大なキーワードの組み合わせ・言い回しの登録が必要です。その代わり、運用を開始してからはキーワード毎にクリック率の変化を検証できるため、的確な改善を行いやすいという特徴があります。
  

NAVERブログSEO

リスティング広告の他に有効な集客手法がNAVERブログSEOです。NAVERブログとは、NAVERが提供しているフォーマットに従って作成されたブログサイトのことを指します。WordPressの統一テンプレートでホームページを作成するような感覚に近い利用が可能なサービスです。検索結果ではブログというカテゴリーにNAVERブログが表示されます。

実は韓国NAVERでは、様々なカテゴリーがある中で、このブログカテゴリーが最も利用されているカテゴリーです。韓国インターネット振興院消費者調査によると、様々な検索方法がある中でトップページでの検索を24%も上回ってブログでの検索がされているというデータが発表されています。

日本人としては、何かあったらブログを読むという感覚はあまり理解できないかもしれません。しかし、韓国ではブログをすぐに見る文化が形成されているのです。

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出典:韓国インターネット振興院消費者調査

このNAVERブログSEOがリスティングと同様に効果の出やすいプロモーション手法になります。

この統計データには様々な検索ニーズが含まれていますが、インバウンド業界や海外の商品情報を調べる際には、このデータ以上にブログを閲覧する傾向が強くなります。日本政府観光局(JNTO)が発表する平成28年の訪日外国人消費動向調査によって、訪日韓国人が日本を訪れる前に役に立った情報が発表されています。

数ある情報収集源の中で、1位 個人のブログ(54.2%)、2位 SNS(22.8%)、3位 旅行ガイドブック(19.1%)と、インバウンドではブログにて情報収集を行う比率が増えていることがわかります。

NAVERブログの特徴と知っておくべきSEO対策の基本3点

NAVERブログが韓国人にとって重要な情報収集源とわかったところで、NAVERブログの特徴とSEO対策で知っておくべき点についてご紹介します。

NAVERブログの特徴

NAVERブログはNAVERのブログ作成機能を使用して作成されたブログサイトのことを指します。そのため、ホームページのデザインもある程度フォーマットに従って作成されています。

大まかにサイト最上部と最下部で、バナー・プロフィール写真・カテゴリー一覧・SNS・PV数などを自由にレイアウトできる仕組みとなっています。メインの記事コンテンツに関しては、下の画像のようにタイトル・中央揃えのテキスト・画像で構成されるシンプルな形です。韓国人に読まれやすい構成としては、画像とテキストを交互に使用することが1つ挙げられます。

下の画像は実際に韓国で活躍する著名なブロガーが大分旅行をした際の体験談ブログです。

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韓国著名ブロガーYさんの大分旅行体験談

韓国人を集客するためには、このようなブログ作成の仕組みを理解しSEO対策を施す必要があります。 

知っておくべきNAVERブログSEO対策の基本3点

ブログカテゴリーの検索結果は、NAVERのアルゴリズムによって表示される記事が選ばれています。このアルゴリズムがGoogleやYahoo!とは異なる点が多々あります。SEO対策をやる上で、まずは押さえておきたいポイントと韓国企業が実践するSEO対策を3点紹介します。

1.記事を定期的に更新する
まず、1つ目の違いとして検索結果として表示されるコンテンツは「情報の新しさが大切」という点です。NAVERの検索結果を見るとわかりますが、上位表示されている記事はどれも公開日が新しい記事ばかりです。

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「大阪 旅行」とブログカテゴリーで検索した際の検索結果

このように公開日の新しい記事が上位に表示されるのは、NAVERのアルゴリズムが「情報の新しさ」を重要な指標として評価しているためです。それにより、古い記事の露出は徐々に減っていきます。そのためブログSEOで集客を行うためには、継続的にコンテンツを更新する必要があります。

2.言い回しのパターンを網羅する
ポイントの2つ目は「1つ内容を意味する言葉を、複数の言い回しで文字にする」という点です。NAVERでは、関連語句を予測するアルゴリズムがGoogle、Yahoo!に比べて少ないという特徴があります。

例えば、レンタカーという言葉は韓国では2つの書き方があります。「렌트카(レントゥカー)」と「렌터카(レントカー)」の2つの言い方です。英語が起源のためどちらも言葉としては間違っていません。しかし、NAVERの仕組みでは、この少しのスペルの違いで、検索の表示結果が大きく異なります。それは2つの言い回しを違う言葉としてNAVERが認識しているため、このようなことが発生します。

つまり、韓国でSEO対策を行う際には、見込み客が検索するキーワードを考えうるだけ記事の中に盛り込まないと、別の言い回しで検索したユーザーを取りこぼしてしまうという特徴があります。

3.画像をふんだんに使う
ポイントの3つ目は「記事内にオリジナルの画像を多用すること」です。NAVERブログ検索結果では、記事のタイトルや紹介文の他にブログに使われている画像が1枚ピックアップされます。

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「大阪 旅行」とブログカテゴリーで検索した際の検索結果

各画像の右下に小さく、「+21」など数字がありますが、これがブログ内で利用されている写真の枚数を表しています。この機能がブログ検索に付いているため、写真の多いブログの方がクリックされやすいという傾向があります。

また、SEO面では、オリジナルの画像(WEBで未公開の画像)の利用が推薦されています。そのため、オリジナルの画像をできるだけ多く記事に使用することが重要になってきます。  

まとめ:王道の韓国プロモーション方法はリスティングとブログSEO対策

韓国でのプロモーションにおける基礎知識とそのポイントについてご説明してきました。いかがでしたでしょうか。

検索エンジンNAVERが発達する韓国では、いかに韓国人の情報収集文化やNAVERの仕組みにあったプロモーション手法を取ることが重要になります。

WebサイトSEO対策が有効ではない点やリスティング広告ブログSEO対策で韓国企業はプロモーションを行っていることを押さえて、韓国プロモーションに取り組んでいきましょう。