成長著しい「インバウンドビジネス」(訪日外国人向けビジネス)。新たにインバウンドビジネスに取り組もうとしたとき、やるべき課題は山積みです。
「何から手をつければいいのだろう?」「果たしてうまく行くのだろうか?」
こんな疑問を抱いて立ち尽くしてしまう方も多いのではないでしょうか。細かな手順よりも大切なことは、成功のイメージをつかむことです。
この記事では、訪日外国人需要の取り込みに成功したインバウンドビジネスの成功事例を3つ紹介します。

ドンキホーテがインバウンド売上を伸ばした要因

円高の進行や中国での関税強化などの逆風にも関わらずインバウンド売上を伸ばし続けている(※1)総合ディカウントチェーンのドンキホーテ。ドンキホーテがインバウンドビジネスで成功した要因は以下の3つに分類できます。
※1:2016年7月~9月の免税売上高前年比10.4%増。2017年6月期・第1四半期連結業績説明資料|「ドンキホーテHLDGS

1. 各種「ようこそ」サービス

ドンキホーテは、訪日客向けに「YOKOSO! JAPAN PASS」という割引カードを無料配布しています(※2)。このカードは、旅行会社やホテルを通じて訪日客に配布されています。このカードを利用して買い物が行なわれると、売上の一部が旅行会社やホテルに還元される仕組みです。この仕組みは、ドンキホーテの認知度を高めるためのプロモーション活動の一環として機能しています。また、訪日客の売上データを蓄積することもできるため、商品開発や品揃えに活用することも可能です。
ほかにも、店舗周辺の飲食店や特典情報を掲載した「ようこそ!マップ」。テレビ電話システムと多言語対応コールセンターを組み合わせた「ウェルカムデスク」。訪日前に希望商品の予約ができる「ウェルカム予約サイト」など、多くの訪日客向けサービスをドンキホーテでは提供しています。
※2:旧「ようこそ!カード」。2014年10月に「YOKOSO! JAPAN PASS」へ変更。

2. 決済サービス(免税カウンター・外貨対応)
訪日外国人は一定の条件を満たせば、消費税の支払いを免除されます。ドンキホーテは店内に免税カウンターを設置しているため、その場で免税の恩恵を受けることができます。
またドンキホーテは外貨決済にも対応しています。店内ではアメリカドル、人民元、ユーロ、タイバーツ、韓国ウォン、香港ドル、台湾ドルの7通貨を利用可能です(※3)。
※3:2016年12月現在。

3. 本来持っていた魅力

ドンキホーテがインバウンドビジネスで成功できた理由は、上で挙げた訪日客向けサービスだけではありません。日本人向けに提供してきたサービスが成功の前提になっています。例として、24時間営業、豊富な品揃え、割安な価格、テーマパークのような外観と店内などが挙げられます。これら本来のサービスが訪日客の心を捉えることができたからこそ、ドンキホーテはインバウンド向け売上を伸ばすことができたのです。本来の実力の上に、インバウンドビジネスを意識した「ようこそ精神」を積み上げることができた点にこそ注目すべきです。

マツモトキヨシにはなぜ外国人のお客が絶えないのか

ドラッグストアチェーンのマツモトキヨシ。主要都市にある各店舗のレジでは、外国人観光客が列を作っています。マツモトキヨシがインバウンド売上を飛躍的に伸ばしたきっかけは、大きく2つあります。

1. 銀聯カードへの対応

銀聯(ぎんれん)カードは中国で発行されているデビットカードです。中国では自国通貨・人民元の海外持ち出しが規制されています。口座からお金を引き出すことなく買い物ができる銀聯カードは、海外旅行中の中国人にとって非常に便利な決済手段です。マツモトキヨシでは、2008年からこの銀聯カードでの支払いに対応しています。

2. 免税対象品の拡大

2014年10月、薬品・化粧品・食品・飲料が免税対象品に加わりました。これらの商品を多く取り扱っているマツモトキヨシには、それまで以上の外国人観光客が訪れるようになりました。マツモトキヨシでは免税カウンター設置店舗を増やすことで、インバウンド需要の獲得に成功しています。

「料理旅館 白梅」が外国人観光客に愛される理由

最後の成功実例は、京都の老舗旅館「白梅」です。「日本文化を肌で感じたい」「和食を味わいたい」と考えている外国人観光客にとって、日本旅館は最上の経験を提供してくれる場所です。料理旅館白梅は、京都・祇園という由緒ある土地に立地していて、その接客の質の高さから多くの外国人観光客から高い評価を得ています。クチコミ旅行サイト「トリップアドバイザー」では、2016年のNo.1旅館としてランクインしています(※4)。
※4:2016年12月現在。

料理旅館白梅へのクチコミに共通している点は、

  • スタッフの対応の素晴らしさ(英語対応含む)
  • 歴史を感じさせながらも清掃の行き届いた館内
  • 古き良き日本の町並みが感じられる立地

の3点です。立地以外の点を考えたとき、インバウンドビジネスであってもサービス業の本質は変わらないことが分かります。顧客が日本人であっても外国人であっても、満足度はスタッフの熱意や思いやりに掛かっているのです。

まとめ:本来の魅力×外国人観光客への対応力=インバウンド売上

上記で挙げた3つの成功事例に共通する点は、

  • もともと日本人顧客の間でも支持されていたお店である。
  • 本来の魅力の上に外国人顧客への対応力を付加している。

という2点です。規模の小さな会社にとってこの2点を同時に達成することは難しいかもしれませんが、まずは成功事例の一部をマネすることから始めてみてはいかがでしょうか。

 

参考: