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日本企業の海外展開の成功と失敗|具体的な解説付き

日本企業が海外展開するために必要なこと

はじめに

本記事の対象は、以下のような方です。

  • 海外市場における最新情報を収集する方法がない
  • 海外展開が予定しているが、どこから手をつけるべきか分からない
  • 信頼できる現地代理店が見つからない
  • 現地のパートナーとの意思疎通が難しい
  • 売上に天井が見え、さらなる市場拡大の案がほしい
  • ブランディングを強化したいができていない      etc

 主に、現地での代理店契約や自社展開による販路拡大、現地消費者に向けた販売促進、リピート顧客やファン獲得、中長期での市場確立を狙ったブランディングについて説明します。厳密にはToB企業とToC企業では、海外展開の方法が異なりますが、本記事では戦略的な内容として、いずれの企業でもおおよそ当てはあまる網羅性を優先した内容になります。

海外展開の全体像と進出

上記の構図が、日本企業の海外展開におけるフェーズと、フェーズごとの課題を大きく区切ったものである図です。この全体像を描き、起こりえる課題に先んじて戦略を立てていくことが重要です。ただし、上記は各フェーズでの具体的な課題です。物流や法律については専門家の意見を踏まえて、展開を決定している前提になります。

海外展開に必要なこと

市場選定

 まず、はじめに大切になることが「市場選定とターゲティング選定」です。定量的・定性的指標に基づき、市場評価を実施し、展開する市場について調査を実施する。さらに、その市場においてターゲットになる可能性が高いユーザーを定める。あらゆるデータから仮説を設定していくことになります。この時点では、確からしいユーザー特定ができなくても、仮説を立てることで、今後の海外展開でのプロモーション実施での評価が可能になります。

 海外市場では、数%(1桁)のシェアを日本企業の競合との争いがあり、現地の最大手とのシャアとは大きく離れたスタートになります。その際に重要になることが、市場全体を取りに行きつつも、最初の顧客となるユーザーを確実にとっていき、徐々に市場を拡大させることです。
それが日本企業の海外戦略における王道です。資金のある大手企業であればM&Aで急拡大したり、グリーンフィールドなどで現地に腰を据えて展開する場合もありますが、多くはこの方法で展開します


ターゲティング選定

 自社製品のターゲットとなるユーザーについて分析します。多くの場合、現地の物価など外的要因と、製品特性や企業理念により内的要因でターゲットはおおよそ定まるでしょう。例えば、A酒という商材があった場合、日本市場では100円〜200円で販売されており、誰でも楽しめる嗜好品だとしても、海外現地では関税で卸値が上昇するだけではなく、物価が安いと庶民では税前価格の100円でも手が出せないことがあります。その場合、自然と「富裕層の贅沢品」や「現地高級レストラン」などがキーワードになるでしょう。また、日本製という訴求で勝負する場合、自然と富裕層などのターゲットになります。

 このように、市場や商品特徴からおおよそのターゲティング仮説を立てることができます。加えて、定量・定性調査を挟むことで、ターゲットの特性や消費行動を見える化することができます。

販路整備、拡大

 多くの場合は現地代理店や現地支社からの展開が現地での主軸になるでしょう。企業規模関係なく、現地企業との連携が販路を確保・拡大する上で最低限の基盤になっています。しかし、ここに課題を抱える企業は多く存在しています。例えば、以下のような課題が代表例でしょう。

・信頼できるパートナーが見つからない

・日本から現地代理店や現地支社とのコミュニケーションが取りづらい

・現地の卸し業者、小売店様、流通業者様から消費者に商品価値が伝わりづらい

・現地での販促のための営業武器(ex,コンテンツ)がない

 極端な話をすると、現地代理店の販売力がある場合、本社で実働する必要はありません。しかし、そのような代理店は多くありません。例え運よくそうであったても、さらなる市場拡大のためには、本社主導の次なり一手になる戦略を打ち出していく必要があります。

さらなる海外市場拡大を狙う

 既に海外に展開している企業の課題は、さらなる市場拡大になるでしょう。弊社にお問い合わせ頂く企業様で最も多いケースになります。現地での一定数の販路を確保し、一定数の売り上げが出ているが、新しい販路獲得やターゲットの拡大が課題と言えるでしょう。

海外展開の現状

 多くの日本企業は現地での展示会参加、独自のコネクション、現地営業活動が最も実施されている販路拡大を目的とした施策を打っています。どれも多くの予算が必要であるか、属人的な展開手法になっています。これらを無くして、日本企業の海外展開は達成されませんが、継続的に実施しながらも、さらなる市場拡大という文脈では、従来の方法だけでは厳しいのが現状です。昨今では、コロナウイルスの影響もあり、以前実施していた対面での営業活動に効果が期待できないこともあります。

 これらの現状を踏まえて、今後はマスメディア戦略とデジタル戦略が中心になることでしょう。

マスメディア戦略

 上記の現状から、オフラインでのコミュケーションが取りづらい中、テレビCMはまだまだ効果の高い手法と言えるでしょう。特に、台湾、韓国、ベトナムなどテレビに対するエンゲージメントが高い国民性と文化を持つ国があります。このような国には、認知度拡大による市場拡大は効果的と言えます。しかし、認知度が6ー8割を超えると効果が弱まる傾向にあり、マスメディアに依存した戦略は注意が必要です。また、マスメディアは接触ユーザーが限定的になることが多く、例えば若年層への訴求に弱い場合もあります。

デジタル戦略

 マスメディアほどの母数はありませんが、ターゲットを狙い撃ちできる手法がデジタル戦略です。国によっては、コミュニケーションチャンネルのチューニングが必要になりますが、幅広い年代に訴求することができるだけでなく、ターゲットに向けたカスタマイズした訴求が可能になります。

ターゲット調査を実施していれば、そのターゲットに向けた最適な方法でアプローチしていくことが可能です。また、マスメディアとは違い、コンテンツに対するエンゲージメントが非常の高く、消費者が自社製品を理解する重要な機会になります。したがって、自社ファンの醸成という戦略も可能にしていきます。

 昨今ではBtoC企業だけでなく、BtoB企業のデジタル戦略での成功事例も増えてきており、オンラインで海外現との取引や商談を醸成する座組みや、オンライン展示会のようなアプローチ方法も有効です。現地に行かなくても、商談ができるとくことで、費用対効果が高いプル型な施策になっているため、システムが解決することで、属人性を無くし、継続的な販路確保にも繋がっています。

現地でのブランディング

顧客起点の分析

 ソーシャルメディアがマーケティングの概念を変化される近年、日本国内だけではなく海外においてもソーシャルメディアから得られる情報は精度が高くなっています。調査会社に調査を依頼するだけ出なく、自社でのデスク調査が現地市場や現地顧客を理解する大切なデータになります。デスク調査では、現地の検索エンジンを活用した調査、現地SNSでのターゲット分析が可能です。マスから入るのではなく、個人の分析になるため、具体的で明確な定性データを獲得できます

データの活用

 海外市場における一定の顧客情報を取得ができたら、次はターゲットにどのように訴求をしていくかの戦略を決めていきます。弊社での様々な取り組みで見えてきたブランディンにおけるキーワードは「共感」と「顧客視点」です。

共感とは「顧客と関連性が高め、自分のことであると認識して頂く訴求」と言い換えることもできます、つまり、顧客にとって必要不可欠であると感じてもらうために、共感を覚える仕掛けをしていきます。その際に、訴求をしていくべき軸(ニーズ)やトレンド(顧客・市場特性)を定義付けるために、上記のデータを活用することができます。

顧客視点訴求

 ブランディングの際に、企業の信頼と言う意味では、企業側からの広報活動は欠かせません。しかし、企業発信であるプッシュ型の広告では上記の「共感」を得ることは難しくなっています。

国内外関係なく、信頼獲得が容易ではありません。そこで重要になることが顧客の生活になぜ必要不可欠なのかを理解して頂くことです。それを訴求するためには顧客の生活様式、カスタマージャーニー、文化背景を企業は理解しなくてはいけません。

多くの企業は、直近の数字目標を達成することに注力するあまり日本で成功したやり方を貫いたり、莫大な広告費用の投下で解決しようと試みることが多いではないでしょうか。

 顧客視点に立つためには、現地代理との連携、自社内での定性調査、市場理解、顧客理解など多くの要素が必要になります。

日本企業の海外展開の成功例

【大手文具メーカー様の海外展開例】

課題

現地法人と販売代理店があるが、現地のユーザーに商品の価値がうまく伝わらず、量販店に卸して、販売数を追うだけに終わっていた。具体的な本社主導のブランディングやマーケティング活動は弱かった。海外展開はしていて、さらなる市場拡大を狙うフェーズになります。

実施した施策

消費者視点での共感を醸成するため、消費者の生の声をコンテンツ化することにしました。今までは量販店での販売促進に留まっていたため、ブランディングを意識した施策を実施しました。販売力と商品力のある企業であるため、共感を得ることができれば、指名購買にも繋げることも可能です。

そこで、ワークショップを実施し、それらを動画コンテンツ化させました。特に大切にしたポイントは単なる動画制作ではなく「その商品を買わない理由」の仮説を立て、「購入頂くにためは?」に注目してコンテンツ化させました。「商品のよさを伝えられていない」課題に対してテキストではなく、顧客体験と顧客の声をそのままコンテンツ化させると言う試みでした。

その結果、以前のコンテンツより高いエンゲージメントを記録しただけでなく、このコンテンツ自体が営業ツールとして、現地でのさらなる市場開拓の武器になっています。

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【大手化粧品メーカー様の海外展開例】

課題

現地法人と販売代理店があり、芸能人を招聘したり、メディアタイアップなどは既に行っていました。海外展開と言う意味では既に成功的な実績はあるが、商品数が多いことと、次なる一手になる戦略を検討中でした。海外展開はしていて、さらなる市場拡大を狙うフェーズになります。

現状をディスク調査した際に、実施している施策の多くは企業からの商品紹介(プッシュ型な広告・広報)に留まっていました。そこで、顧客視点と市場ニーズにフォーカスしました。

実施した施策

まずは、顧客ニーズと消費者深層心理を理解するため、調査を通して顧客理解に努めました。化粧品商材の市場を2軸で言語化し、どのユーザーを狙っていくのかを明確にしました。このプロセスを踏むことで、目指すゴールや訴求軸が定まるため、海外展開において有効な軸になります。

その上で、消費者視点での共感を醸成するため、消費者目線での情報発信として、現地ブロガーの起用を実施しました。今までにもメディアタイアップなどの実績がありましたが、消費者にフォーカスした施策はありませんでした。消費者の生の声をコンテンツ化(記事)にすることで「共感」を狙いました。

調査結果から、実は現地での購買が可能であることがそこまで知られていなかったこともあり、最終コンバージョンポイントとして、百貨店で買えることを伝えることで、現地でも購買可能であることを伝えました。企業からすると、現地で販路拡大に注力し、認知も取れている企業ですから、現地で買えることは当たり前の前提でブランディング活動を行っているでしょう。しかし、実際には消費者には、当たり前のことではなかったことが分かりました。

このように、顧客起点での分析が非常に大切であり、さらなる市場拡大には必要条件になります。

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日本企業の海外展開の失敗例

 1. 工業メーカー様(BtoB)

  日本での製造・梱包している企業であり、海外からのお問い合わせが増加傾向にある企業でした。主には公式ホームページと現地展示会での参加が主な開拓手法でした。展示会での一定数の効果がありましたが、毎月開催されるわけでもなく、頭打ちな展開に留まっていました。また、コロナの影響もあり、現状はやや滞っている状況。

課題

 属人的な営業基盤に依存してしまい、不測の事態に対応仕切れませんでした。オフラインの展開での信頼獲得は非常に強かったのですが、オンラインでの対策が十分ではなく海外展開が滞ってしまっていました。どちらかの販路に依存するのではなく、双方での戦略が必要になります。

解決

 極端なことをいうと、オフラインで実施していたことをオンラインで実施可能であれば、この企業は起死回生することができます。現地への直接的な展開無くして、現地からの引き合いがあるほどに営業力は強いことが分かります。この営業力や企業の強みを、オンラインでも伝えることができる基盤を構築すれば良いのです。

つまりはオンライン展示会の構築です。商材の価値が分かるコンテンツサイトを構築して、オンライン上でのプレゼンを可能にします。これによって、サイト上に訪問して頂ければプレゼン機会を得ることができます。

今までは、展示会への参加が直接に集客としての機能をしており、自社での特別な対策は取らなくても問題ありませんでした。しかし、オンライン施策では集客までも自社の責任範囲として、実施しなくてはいけませんが、この課題さえ解決することができればオンライン対策になります、

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LIFE PEPPERが提供する海外展開支援とは

LIFE PEPPERは海外展開サポートにおいて、様々な海外プロモーション施策の実行が可能です。ご相談いただければ、貴社のマーケティング・事業戦略などをお伺いし、ビジネス全体を俯瞰した上での戦略的なご提案が可能です。海外向けのマーケティング等で課題感がございましたら、お気軽にご相談いただけますと幸いです。以下が具体的な施策・手法になります。

海外展開についてよくあるご質問

Q 海外展開における戦略設計にかかる期間はどの程度ですか?

A 一般的には実働まで1ヶ月〜を頂いております。企業様との打ち合わせでの進捗によって変わります。また、複数国ある場合には、もう少し長くなる可能性がありますので、早めのご相談をお願い致します。

Q 国によってフェーズが異なるのですが、対応できますか?

企業の方針として、優先順位が国によって異なるかと存じます。弊社では、まず優先度の高い国から攻略していくことを推奨しております。ただし、最優先国が複数の場合は、それぞれの国フェーズによって戦略や手法を分けて、攻略して行きますので、各国の進捗をお伺いさせて頂きます。

Q まだ相談したい内容が漠然としているのですが、相談可能でしょうか?

A 問題ございません。貴社のマーケティング・事業戦略などをお伺いし、ビジネス全体におけるマーケティング戦略を擦り合わせることが可能です。

Q 実際のプロモーションを実施して成果がでないこともありますか?

A 確実に成果が出るとは断言できませんが、弊社は常に創業以来培ってきたノウハウを元にベストプラクティスな提案をさせていただいております。仮に成果が出なかった場合でも、現地目線で検証と改善をスピーディーに回すことで、トータルでの成果出しには確実に寄与できるものと考えています。

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