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グローバルマーケティングは、世界でビジネスを展開する上で欠かせないマーケティング手法です。新しい地域や国へ商圏を拡大する時にも、あらたなグローバルマーケティング施策が必要です。
グローバルマーケティングといっても、初めて海外展開する場合どこから手を付けていいのか分からないことも多いでしょう。
当記事では、グローバルマーケティングについての詳細を網羅的に解説しています。事業の海外展開を考えている人は、ぜひ記事内容をご確認ください。
グローバルマーケティングとは
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セグメンテーションとは
グローバルマーケティング戦略を導入する企業の多くは、グローバル市場で事業を展開している企業です。
グローバル市場とは、世界でユーザーのニーズや要望、好みがよく似ている市場のことをいいます。
一般的なカテゴリとして、テクノロジー製品やブランドの高級品、エンターテイメントなどです。
このカテゴリは、特定のセグメントで多くの人がグローバルに均一化された商品を求めています。一方で、食品や飲料品などで構成されるマルチドメスティック市場では、好みが文化によって決まる傾向が強く、グローバルな協調がみられない分野です。
グローバル市場のマーケティング担当者は、最初に似た地域ごとに国をグループ化し、均一なサブグループを見つけられるよう準備します。具体的には、EUのような一つの貿易貿易ブロックを選び、形成することです。
名称はグローバル戦略ですが、実務としてはローカル戦略にちかい形で遂行されます。
企業が地域ユーザーの好みを変更できれば、グローバル・マーケティング戦略の成功といえるでしょう。
新しい商品がローカル市場へ投入されると、新機能やプロモーション、価格設定によって、地域である程度、好みに変化が起こります。
スウェーデンを拠点に家具販売を行うIKEAは、多くの国の家具市場に変化を与えています
自社のシンプルかつ機能的な家具と、年次カタログやウェアハウスストアを拠点として、こまかく均一化と調整が行き届いたマーケティング戦略を行っています。
アメリカのコーヒーチェーン店スターバックスも、新作コーヒーのラインナップや、斬新な店舗レイアウトをフルに活用していくつかの国で成熟した市場を形成し、拡大中です。
標準化を目指すたまの環境の変化の過程で、好みに変化を与えたケースもあります。
カロリー控えめのビールやミネラルウォーター、ワインの他に、環境にやさしい商品もグローバルなセグメントのターゲットです。
グローバルセグメントの存在は、企業にグローバル・マーケティング戦略の導入を促進するのです。
ポジショニングとは
グローバルなポジショニングに関する問題は、さまざまな場所において、商品のポジショニングを統一するかどうかという点です。
この問題をわかりにくくしているのは、マーケティング・ミックスに完全な統一性があっても、結果的な位置づけは国ごとに異なるという点です。
伝統的な例は、LEVI’Sのジーンズです。アメリカの主流となっているライフスタイルセグメントでLEVI’Sは、無骨なアウトドアのイメージを持つジーンズとして認識されています。しかし、他の国でのLEVI’Sはスタイリッシュなアイコンです。
ブランドがグローバルなイメージを目指しても、ブランドのポジショニングは、よくも悪くも原産国の影響を受けると考えるのが一般的です。
欧米ではリンゴはヘルシーなおやつとして消費されるケースがみられますが、日本ではリンゴは贈答品としての人気が高く、色やパッケージ、価格が重視されています。
また、使用方法に大きな違いがない場合でも、経済の発展状況や文化の距離の違いがポジショニング統一の障壁となることがあります。
新興市場の初回購入者と好みが確立している成熟した市場の消費者を比べると、商品の見方が大きく異なることに気づきます。
例えば新興国を代表するBRICsは、商品は同じでも、中国の顧客へおまけ商品をつけることで販売成果をあげています。
各地域の競合の強さも国によって異なります。少なからずポジショニングへの影響は現れるでしょう。
対象国の競合が強い場合は、自国内ではメインストリームとなる商品でも、ニッチなターゲティングを行いましょう。グローバル・マーケットでは、主要外国市場で同じグローバルプレイヤーがしのぎを削っているケースが多く、成熟した市場でのポジショニングは一定の状態が維持される傾向が多く見られます。
多くの市場で、グローバルプレイヤーが似たポジショニングを維持している自動車業界は良い例です。成長段階にある新しい商品カテゴリに、この傾向は当てはまりません。場所によってブランドの認知度にも差があります。
季節の移ろいも国ごとに異なり、特定のポジショニングをどの程度、効果的に伝えることができるかに影響します。好みが流動的な早期段階では、主要国でのポジショニングに基づく戦略は、新興国ではあまり効果的でないケースもあります。
キャノンが初めて販売したAF一眼レフカメラは、日本では王道商品の位置づけで発売されましたが、よりプロ志向の海外では、専門的な商品として位置づけられました。
しかし、良いものを長く使いたいと考える新興国の人々は、他国でメインストリームとなる最高の商品を求めます。そのため、欧米の一部の企業は、新興国でも自社商品をトップとして位置づけることがあります。
グローバルで統一されたポジショニングを実現するには、文化や競合、ライフサイクルが似ている方が良い、という戦略的仮定を立てることができます。
しかし、条件が揃っていない国でも、グローバル・マーケティングが浸透してブランディングが出来ている場合、統一されたポジショニングが実現可能です。
グローバルブランドとは
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全世界においてブランド名を統一することは、販売戦略上とても重要です。多くのグローバル企業がグローバルブランディングに躍起になっています。
グローバルブランドとは、世界の腫瘍市場すべてにおいて、広く認知されているブランドのことを指します。リージョナルブランドは特定の地域全体で統一されているブランドを指し、ローカルブランドは、1つか2つの地域で認知されているブランドのことを指します。
資本を多くもつトップブランドの多くはグローバル展開をしています。各地で確固たるブランドの地域を築き上げるには、ユーザーからの支持を集めなければいけません。グローバルブランドが事業規模を拡大し、資本を築き上げていく一方で、ローカルブランドはユーザーに寄り添い、親近感を演出することで、ニッチな需要を細かく確保しています。
グローバルブランド企業は、各地のユーザーの信頼や、ちいさなマーケットを獲得するために、優秀なローカルブランドを買収することもあります。
グローバルブランドの強みは、費用対効果の良さです。長期にわたって、製品を大量生産でき、パッケージできるのは、資本を持つ企業ならではの強みとなっています。また、グローバルブランドでは、統一感のある、グローバルプロモーションを展開できる点も見逃せない強みです。
需要の拡大は、多くの場所で同じブランドの露出を増やすことで獲得できます。ユーザーが世界各地に点在していると、最大の効果を発揮することも可能です。
海外旅行の増加は、グローバル ブランドの大きな促進要因です。特に新興国で地位や評判のアップに効果を発揮します。
トランスクリエーションとは
現在グローバル・マーケティングに携わっている人の中には、「トランスクリエーション」という言葉を耳にしたことがあるのではないでしょうか。
ローカライゼーションは、言語や文章コンテンツ以外に、ビジュアル、ユーザーエクスペリエンス、価格戦略なども含めた、幅広い要素を含む詩作を指す言葉です。
一方トランスクリエーションは、基本的に、文章をメインとしたコンテンツを対象としています。トランスクリエーションとは。翻訳(トランスレーション)創造(クリエーション)を組み合わせた造語です。対象となる文化やユーザーに合わせて文書を書き換えることを指します。
トランスクリエーションが効果を発揮するのは、クリエイティブな要素を現地文化に適応させる時です。具体的には、スローガン、タグライン、ジョーク、シンボル、ストーリーテリング、場合によっては絵文字までも活用し、現地の文化に合わせてアレンジします。
例えば、日本では赤ちゃんに関するストーリーとして、西洋で親しまれているコウノトリが運んでくるという寓話よりも、川を流れてきた大きな桃から生まれた、という昔話のほうがよく知られています。
したがって。日本での売上拡大を目指す英国のおむつメーカーは、コウノトリの話よりも桃太郎を使ったマーケティングを行ったほうが、成果をあげやすい可能性があります。
現地に適したストーリーにトランスクリエーションすると、その地域に沿った広告のキャンペーンを実施できるのです、
グローバルな広告について
グローバル化は、グローバルブランドを掲げる企業にも影響を及ぼしています。世界中で反グローバリーゼーションや親ローカリゼーションのトレンドが強まる中でも、グローバル広告は勢いを維持しています。
考えられる要因は、インターネットの拡充とYou Tubeなどのサイトで多数の広告が流れるようになったことが挙げられます。
それによって、ローカルな広告キャンペーンでも、掲載対象をグローバルに展開できるようになりました。
総合型のグローバルな情報発信がトレンドになっている背景には、さまざまな事象があります。広告配信を仲介する広告代理店が台頭し、グローバル広告の増加における重要な役割をになうようになりました。
ユーザーのグローバル化も見逃せないポイントです。旅行の費用が下がって旅行者が増加したことで、消費者の旅行の頻度が多くなっており、BtoB商品では、グローバル企業からの問い合わせや販売の増加につながっています。
しかし、一般的にグローバル企業のマーケティング・コミュニケーションがすべて、世界を捉える視野で運営されているわけではありません。メディア広告はさまざまなプロモーションツールの一つに過ぎず、メディア規制は国によってことなります。
例えば、抽選は小売規制によって許可されていない国もあります。多くの国では、店頭でクーポン割引を受けることはできません。
メディア広告が完全にグローバル化されている例は少ないです。それぞれの国や地域の支店、支社でそれぞれにクリエイティブな広告を作成しようという意欲があるためです。
国によって利用できないメディアがあり、コストや効果にも大きな違いがあります。新興国では印刷メディアの効果が薄くなりつつある一方、ヨーロッパの各国では、印刷メディアがとても重要とされています。
インターネットは新しい通信技術で、世界へ広まりをみせていますが、世界のあらゆる地域で浸透するにはまだ時間がかかります。
そして、広告メッセージは各地域や国に適合させる必要があります。言語や文化、宗教の違いで広告メッセージの標準化が妨げられる可能性も念頭においておきましょう。
さまざまな課題によって、多くの企業では広告費の一部のみをグローバルキャンペーンに充てています。ローカライズされたキャンペーンは地域の代理店が実施しますが、グローバルなキャンペーンは、大手グローバル代理店が一手に引き受けます。
グローバル企業はブランドロゴに、フォントや色など厳格な決まりを設けています。しかし、グローバルキャンペーンには、ある程度のバリエーションがあるのが一般的です。
テレビ業界におけるグローバル広告の一般的な形に、パターンの標準化があります。地域で有名なタレントや俳優を起用したり、地域への強い訴求ができるストーリーを使用することで、広告の印象を地域の文化や言語に適用させる手法です。
ブランド名やロゴは同じで、最終的な決め手となるスローガンは直接翻訳されます。俳優に直接話をして貰う方法と、吹き替えをつかって地域の言語の説明をコマーシャルに重ねることも効果的です。
現在では、この形態のグローバル広告が広まっており、企業やブランド、国、地域で統一されたイメージが作り出されています。
多くの企業はグローバルな統一感をある程度維持しています。資金の大部分を各地域の最適化された情報発信にあてることで安全策をとっています。
グローバル化した商品の特徴
グローバル化された商品の特徴は、標準化されたサービスや商品です。商品の標準化とは、商品やサービス、機能、デザイン、スタイリングを統一させることを指します。
メリット
商品のグローバル化のメリットはコストです。同一ユニットを大量に製造することで、行程が均一化され、製造コストを抑えることができます。品質面でのメリットも欠かせません。
長期的な視野に立つと、専門的なテクノロジーや工作機械、コンポーネント、部品に投資するメリットが拡大し、品質の向上と均一化につながります。品質やデザインなど訴求ポイントの向上によって、最周囲的にはユーザーの満足度や需要拡大にもつながるのです。
デメリット
商品の標準化のデメリットは、需要面です。新興国に商品を長く使う需要があるケースを除いて、新興国市場では、標準化された商品をもってターゲット層を正確にセグメントできません。ターゲティングを行っても、少しズレが生じてしまいます。しかし、多少のズレがすぐに成功への障害になるとも言い切れません。
なぜなら、人の好みは変わるからです。標準化された商品が対象の市場にそれまでなかった機能を提供することも考えられます。
強いブランド名があればポジショニングを間違えても挽回の余地もあり、低価格での販売戦略を立てられることも強みとなるでしょう。
地域に合わせた調整が必要
マーケティングの観点から考察すると、統一性のある商品やサービスは地域によって受け入れられないケースもあります。
ある市場では好評を得ていたのに、別の市場では反響が得られなかった、という現象はよくあることです。
高級品は世界全体で同じ商品が展開されます。車のタイヤや歯磨き粉、調理器具など実用品も標準化は可能です。
一方で、シャンプーや石鹸、パーソナルケアといった商品は、確たる成果を得るために髪質や肌の色、水質まで考慮しなければいけません。コカ・コーラは甘さが国によって異なり、マクドナルドのメニューは国ごとの好みに合わせて作られています。
アパレルでは、欧米人とアジア人の身体の違いを十分に考慮し、調整を行う必要があります。
企業が各地域や国ごとの対応を進めつつ、ある程度の規模の販売を継続していくには2つの方法があります。
1つ目は、商品の基本的な設計やプラットフォームを統一したままで、製造過程の終盤で地域や国に対応できる改善を加える方法です。
2つ目は商品を大量生産できる金型をうまく分散し、組み合わせを変えつつ複数の商品を製造する方法です。様々な金型の製造を外部に委託したり、海外に移転したりできるため、大企業向けの優れた製造戦略の一つとして認識されています。
製造行程は簡単になり、必要に応じて各地域で実行できるため、関税率を引き下げることも可能です。
この方法によって企業は、それぞれの国の市場に合わせて機能を自由に組み合わせて、地域ごとの好みに合わせることができます。
企業は全地域で同じ商品を共有する必要はなく、商品の標準化による規模の製造を活かすことが出来ます。
ただし、強いグローバルブランドがないとグローバル・マーケティング戦略の設定は難しくなります。
グローバルマーケティングにおけるローカライゼーションについて
ローカライゼーションとは、グローバルマーケティングの施策のコンテンツを対象とする市場に対応させる過程のことをいいます。対象とする国や地域のニーズやトレンド、背景をマーケティングに取り入れる活動ともいえます。
ローカライゼーションは、単にキャンペーンのコンテンツをその国の言語に翻訳するだけでなく、社会的な価値観や、経済や世の中の動向、テクノロジーや法律など地域ごとの違いを理解しなければいけません。
ブランドが新しい市場へ参入する時に、地域や国への理解度が高いほどユーザーからの好感を得られることが、複数の調査によって示されています。
「2021 Hispanic Digital Fact Pack」は、新型コロナウイルスによる景気後退の影響を受けつつも、あらためて成長を続ける米国のヒスパニック系消費者市場について、些細な違いや意識、習慣などを分析した調査です。
その報告書によると、企業が時間をかけてヒスパニック系の消費者にとって何が本当に重要なのかをよく理解して、ユーザーとのコミュニケーションの場において文化的要素を取り入れることで、ヒスパニック系消費者の71%がブランドに好感を持ち、製品の購入に至ったとされています。
ローカライゼーションに当たって最初にやるべきこと
ローカライゼーションを進める上での初歩的なポイントを抑えるためにも、当社の提供する国別対応施策一覧資料をご利用ください。
理想としては、WEBサイトのランディングページのデザインや、コミュニケーション、キャンペーン、製品提供にいたるまで、グローバルマーケティングのプランのすべての要素をローカライズすることです、
ローンチイベントや、広告キャンペーンを行うときの環境も重要です。
最初のステップは、ターゲットとする地域の消費者に対して、何が最も大きな影響を与えるのか、考えることです。市場での差別化や、成長の促進を促すものを特定します。
発見する出発点となるのが、マーケティング・ミックスです。
マーケティング・ミックスには、製品やサービスのマーケティングや販売、ブランディングに必要なマーケティングの4Pと呼ばれる要素がまとめられています。4つの要素は以下のとおりです。
製品(Product)製品やサービスのローカライズは、現地の状況に合わせて製品やサービスを対応させることです。例えば、カリブ海地域でデジタルカメラを販売したい光学系の企業が、地域に特化した製品にするために水中モードの機能を追加する、という施策です。
価格(Price)価格のローカライズには、通貨を合わせるだけでなく根本的な価格調整も考慮します。コストの高い市場では価格を上げて、消費者に余裕がない市場では価格を下げることが検討されます。
場所(Place)グローバル・マーケティングでは、対象地域での販売方法を検討する必要があります。主な手段は小売店として店舗を構える、WEB上で販売網を構築することです。美容品メーカーは現地パートナーと提携することで、現地で人気の美容室に商品を置かせてもらったり、WEB上でコラボ商品を展開できたりする可能性もあります。
プロモーション(Promotion)従来の対面型のプロモーションの他にオンライン上でのプロモーションをローカライズする必要があります。WEBサイトやSNS、広告、広報などさまざまなチャネルを活用できます。
単に言語を変更しただけの広告のほかに、現地の行事に合わせたタイミングを調整したキャンペーンなど、いろいろな切り口からローカライゼーションが考えられます。
グローバルマーケティングを成功させるポイント
マーケティングチームの教育
社内の各部門へむけてローカライゼーションの重要性を、十分な時間を掛けて行いましょう。会社の全体的な目標との関連性を理解することで、強固な協力体制を築くことができます。
グローバルローカライゼーションの綿密な計画の立案
マーケティングコンテンツやランディングページ、WEBサイトのコピーなどの運用上重要なテキストの翻訳から、ツールの技術要件の見極め、複数言語WEBサイトの作成、キャンペーン施策など、マーケティングに関わるすべてをカバーする計画を策定します。
ローカライゼーション施策を一元化する
マーケティングの最高責任者など、マーケティングに直接関係している管理職への報告を行う担当者やチームを一元化しましょう。一元化によってグローバルローカライゼーションの計画から実行、キャンペーン後の評価まで関係部門間で一貫したアプローチが可能となります。
適合性をスコア化したカードを作成
グローバル・マーケティングの施策ごとに、個々の要素についてローカライゼーションの適合性を評価する適合性のスコアカードを作成します。スコアカードの精度を上げて結果を有効に活用してもらうためにローカライゼーション部門にも携わってもらうと良いでしょう。
フィードバックを収集し評価する
顧客へのアンケートを行い、集めたフィードバックをもとにキャンペーンの要素を調整することで各市場でのローカライゼーション効果を最大化することができます。うまくいったことや、うまくいかなかったこと両方とも、キャンペーンのあとに定期的な評価を行い、獲得したノウハウを、将来のキャンペーンに応用できるようにします。
テクノロジーにも投資する
テクノロジーの活用は欠かせない重要項目です。ローカライゼーションツールから強固なインフラまで、テクノロジーは工程を合理化し、最終的には時間や労力、資金の節約につながります。
ローカライゼーションの工程を一括で管理できる翻訳管理システムは、運用の効率化にとても有効です。導入を検討する価値は十分にあるでしょう。
注意したいグローバルマーケティングの失敗要因
現地のリサーチを十分に行っていない
グローバル・マーケティングでよくある失敗例の一つに、キャンペーンを展開する時に、十分な現地調査が行われていない点が挙げられます。
具体的には、キャンペーンプロジェクトの計画にユーザーからの意見が反映されていない点です。現地の市場に合わせた訴求のローカライズが十分に検討されていないのです。
市場や現地のユーザーの分析をしなければ、現地の人々の動機やニーズを十分に把握できず、結果として文化的なつながりを持たない、不完全なキャンペーンに終わってしまいます。
実情に沿わない誇大広告
実際のビジネスと適合しない、話題が先行するキャンペーンになってしまうこともあります。製品自体にグローバルなユーザーへ訴求できるポイントがない、キャンペーンをローカライズする時間がない場合に、誇大広告を出してしまうことがあります。
誇大広告や、押し付けがましいアピールは、多くのコストをかけた割に、結果として一過性の売上げアップにしかならないこともよくあります。
長期的に作用する本来のプロジェクトの成功は、明確な戦略や時間を掛けて初めて生まれるのです。
目的の明確化ができていない
グローバルキャンペーンにおいても、他のキャンペーンと同様に、明確な目標と達成するための計画が必要です。
例えば、ある企業が複数の市場でブランディングのために、グローバル・マーケティングキャンペーンを展開すると仮定します。
その時に、キャンペーンそのものが、ユーザーの心に響く説得力のあるものでなければ、ブランドの認知度や市場のシェアは高まりません。本来の意味で、会社の利益に貢献できる取り組みでなければ、マーケティングのためのマーケティングに成り下がってしまうでしょう。
ツールやプロセスの最適化がされていない
グローバル・マーケティングのキャンペーンを成功させるには、目的にあったツールやリソースを活用する必要があります。
国を横断するマーケティングキャンペーンは、企業にとってとても重要なタスクです。成功に導くためには適切なプロセスやテクノロジー、インフラを確保しなければいけません。
たとえば、マーケティングコンテンツの翻訳を、エクセルシートやメールなど手作業で行っていると、業務の質とスピードが低下してしまいます。
やり直しが伴う作業では、より時間がかかるでしょう。ローカライゼーションに最適化されたツールを取り入れることで、プロセスの合理化を進めることが可能です。
現地と戦略の共有ができていない
キャンペーンの目的やグローバルブランドの戦略が現地に正しく伝わっていないと、グローバルマーケティングの失敗につながることがあります。
例えば、製品の使いやすさに重点を置くグローバルブランド戦略がありながらも、現地の担当者が製品価格に充填をおいていると、戦略の辻褄があわなくなりキャンペーンが失敗となる可能性を高めます。
失敗を回避するために、グローバルマーケティングの担当者は、ブランド戦略がどの層にも正しく伝わるように務める必要があります。
グローバル・マーケティングの担当者が細かい分析や調査を行い、優れたロードマップを作成しても現地のチームに伝わっていないと意味がありません。
戦略を明確に伝えて、整合性を維持することが重要です。
グローバルマーケティングの成功事例
メルセデス・ベンツ
世界最古の自動車メーカーである、ダイムラー・モトーレン・ゲゼルシャフト社とベンツ社が、1926年に合併して誕生したのがダイムラー・ベンツ社です。
合併前の両社の設立社であるゴットリーブ・ダイムラーとカール・ベンツは1980年代から自動車の設計に携わっていました。レース好きの実業家エミール・イェリネックはDMG車最大のディーラーとして活躍しています。
ダイムラーの死後、イェリネックは娘の名前にちなんで新しいクルマを命名します。それが1900年のメルセデス35hpです。
1925年にメルセデス・ベンツは商標登録されました。ダイムラー・ベンツという社名を残しつつ、社名にはメルセデス・ベンツの名前を冠します。
メルセデス・ベンツの名を冠した理由をイェリネックは、いかにもドイツ語的なダイムラーでは国外では売れないため、と語っています。
この優れたローカライゼーションは、1世紀たった今でも多くのことを教えてくれる事例です。
コカ・コーラ
コカ・コーラ社が2011年に実施した「Share a Coke」キャンペーンは、大きな成功をおさめたグローバルマーケティングです。
コーラの缶やボトルに人の名前を記載する、というシンプルながらも斬新なアイデアから生まれたキャンペーンによって、消費者どうしの共感を大きなつながりにしようと考えました。
キャンペーンでは人々の感情を動かして、コカコーラは世界中の消費者の認知度と接触率を大きく飛躍させ、売上増加に貢献しました。人口2,300万人のある国では、その夏に2億5,000万本以上の名前入りボトルが売れたとされています。
このキャンペーンを70カ国以上でグローバル展開するにあたって、各国のマーケティングチームは、ボトルや缶をパーソナライズするという基本的なコンセプトさえ守っていれば独自のアレンジを加えることも許されていました。
表示される名前のローカライズをして、親近感を持ってもらうには、ある程度の許容範囲が必要とされるのです。
ローカライズ戦略によって、地域とのつながりが深まり、消費者のエンゲージメントは増加しました。ローカルかつアットホームな雰囲気と、一貫性のあるコアメッセージを両立させたキャンペーンは、小さな街から大都市までおおくの市場で成功を収めています。
適切なローカライゼーション戦略もなく、大規模なグローバルキャンペーンが失敗していたら数百万ドルが無駄になった可能性もあります。
アブソルート
米国のグローバルブランドAbsolut Vodka(アブソルート ウオッカ)による#SexResponsiblyキャンペーンも、わかりやすい成功事例です。
レイプ・虐待・近親相姦に関する全米ネットワークの報告によると、米国では68秒に1件の性的暴行が発生しているとされています。
アルコールの摂取が暴行の原因に挙げられたり、言い逃れに使われることもしばしばです。この問題に対処するため、上記のキャンペーンを実施しました。
具体的には、2020年のバレンタインデーにアブソルート社とベルノ・リカールUSA社が、責任ある飲酒と同意に基づく性行為に対する人々の認識を変えるために「Drink Responsibly #SexResponsibly(責任ある飲酒、責任あるセックス)」と題したキャンペーンを展開。
このキャンペーンでは、あえて米国内の問題に商店を合わせることによって、成功しました。性的暴行に関するニュースが国内で報道されている間に、キャンペーンを実施しています。
タイミングを間違えば、ブランドの認知度や市場での影響力はそれほど高まることはなかったでしょう。
このような事例から、ブランドアイデンティティと、コアバリューを維持しつつ、地域の状況に合わせたマーケティングメッセージを出すことが、グローバル企業にとっていかに重要かわかります。
結果として、それぞれの市場でブランドの認知度や好感度が上がり、売上の増加や顧客とのつながりも確保できるのです。
グローバルマーケティングの失敗事例
BMW
BMWが2016年にアラブ首長国連邦向けに、同国の国家をつかったCMを流したところ、国民から抗議が殺到しCMは放送中止に追い込まれました。
CMの内容は、国家を斉唱していた地元のサッカーチーム選手が途中で歌をやめて、スタジアムの外においてあるBMWに向かって走り出す、という内容です。
国内では、国家より車のほうが重要と言いたげな内容で、国家をないがしろにしているという抗議がトレンドとなりました。結果、BMWはCMの放送を中止して、歌を差し替える編集にて対応します。
現地の事情を深く理解し、文化を尊重した宣伝を行っていれば、抗議をうけることもなかったかもしれません。CMの差し替えという手間や費用も無駄になりました。
ドルチェ&ガッバーナ
2018年に中国で放送されたCMに対して多くの反発がおこりました。内容は、中国人をステレオタイプ的な見方で表現したドルチェ&ガッバーナの短編動画広告です。
ドルチェ&ガッバーナの豪華なドレスを着た中国人モデルが、箸でピザを食べようとするのに対して、男性ナレーションによって上から目線で食べ方を正すという内容でした。
動画広告には、中国の人々から強い抗議が寄せられました。中国のソーシャルメディア、Weiboでは、露骨な人種差別、などコメントが投稿され、ブランドの不買運動にまで発展します。
世界の高級品市場の3分の1を占める中国市場で、ドルチェ&ガッバーナは大きな機会を逃しました。文化的な感覚に配慮したローカライゼーション戦略があれば、失敗をふせぐことはできたでしょう。
海外マーケティング・ブランディングならLIFE PEPPERにご相談ください
LIFE PEPPERは海外マーケティングやブランディングの戦略支援を行う会社です。
創業以来6年間で600社あまりの企業を支援してきました。
多くのノウハウは体系化され、BtoB、BtoCそれぞれの企業に応じたメソッドとして提供されています。
グローバル・マーケティングでは主にアジア圏の展開に強みをもっています。参考資料では、多くの成功事例が収められており、今後の展開に役立つ情報を確認できるでしょう。
海外で確固たるビジネス拠点の構築を検討している場合、一度相談してみてはいかがでしょうか。
まとめ
グローバル・マーケティングは、各地域ごとのローカライゼーションが出来ていないと、思わぬ反響を招き、逆効果となってしまいます。
ブランドのイメージはそのままに、枝葉末節の部分で、各地域の人々に親しまれるような細かい調整が必要です。
うまくローカライゼーションが完了すると、マーケティング施策で思わぬ失敗を招くことも少なくなるでしょう。
過去の事例をもとに、入念な準備と計画の立案は重要なポイントです。
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