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インバウンド客はどんな決済方法を使ってる?現状と課題、各国の主要サービスなどを解説

コロナ禍により大打撃を受けた訪日インバウンド需要の早期回復に向けて、緊急事態宣言の解除後、日本政府観光局や民間企業らは訪日プロモーションを再開しています。2021年初頭から需要が回復していくという見方もありますね。

これに合わせてやっておきたいのが、受け入れ環境の再整備です。不便なく過ごせるかどうかは、お客様の訪日体験の良し悪しに直結します。

そして、その環境整備で外せないのが決済手段。馴染みのある方法で決済できないのは不便であり、満足度低下や機会損失につながります。

以上を踏まえ、本記事では訪日インバウンドにおける決済事情をテーマに、その現状や課題、各国の主要決済手段などを解説していきます。

訪日インバウンド客の決済事情│現状と課題

まずは、訪日インバウンド客の決済事情における現状と課題をみていきましょう。

決済手段の不満はまだまだ多い

年々改善してきてはいますが、決済の利便性に対するインバウンド客の不満はまだまだ高めです。

観光庁が実施した調査*によると、クレジットカード/デビットカードの利用に関する不満は2017年:14.2%→2018年:10.0%へと減少はしています。しかし、10人に1人は困っているわけで、引き続き対策が必要でしょう。

また、モバイル決済への不満は2017年:2.7%→2018年5.5%へと増加。モバイル決済の普及とともに、店舗側には対応が求められています。

*:観光庁/「訪日外国人旅行者の受入環境整備に 関するアンケート」結果

インバウンド客が決済で困るのはいつ?

具体的にどんなシーンで困るのか。クレジット/デビットカードの利用を例にとると、多いのは

・観光地(73.6%)
・公共交通機関(30.6%)
・宿泊施設(24.0%)

の3つです*。

特に観光地での対策ニーズの高さが読み取れますね。対応が急がれます。

*:同上

決済手段が使えるか分からないのも不満の種

カード決済に関する不満には、

「サービスを使えるかどうかの表示が、店頭の入り口やガイドブック、Webサイト、旅行代理店などになかった」

という声も(*)。

これにより、使えなかったときのために現金を用意する手間をかけさせたり、場合によっては訪問を諦めさせたりといった弊害が予想されます。

ですので、ただ対応するだけでなく対応している情報を発信することが、店舗側には求められるのです。

*:JACCA・MRI・社会公共マネジメント研究本部/観光立国実現に向けたクレジットカード業界としての取り組み

カード決済だと消費額が1.6倍に!

日本クレジットカード協会が浅草・仲見世商店街で行った調査*では、こんな結果が明らかになりました。

現金払いに比べ、カード決済だと1.6倍も消費額が増えるのです(飲食に限定すると3.3倍)。

クレジットカードだと残金を気にする必要があまりないからだと考えられます。ここまで消費を促す効果があるとなれば、手数料を鑑みても導入する価値があるといえるでしょう。

*:JCCA/観光立国実現に向けた業界としての取り組み

訪日インバウンド客の決済方法は何が主流?【国・地域別】

次は、訪日インバウンド客の間で主流の決済方法をみていきましょう。訪日客数の多い中国・香港・台湾・韓国・アメリカに焦点を当て、各国の事情を解説します。

中国

出典:JTB/インバウンド 市場動向 2019 インバウンド消費の決済動向は?キャッシュレス対応策を考える

中国人の決済手段として最も多く使われるのはクレジットカードで、ブランドは「銀聯」がメイン。同国でクレジットカードを持つのは裕福層の人々です。

一方、昨今では中所得層の人々も訪日旅行をするようになっていて、彼らが使う決済手段はモバイルアプリデビットカードとなります(デビットカードは4位:11.7%)。モバイルアプリは「WeChatペイ」や「アリペイ」、デビットカードはクレジットと同じく銀聯がよく使用されます。

訪日インバウンド消費額の1/3は中国人によるもの。ランキングでは1〜3位までの数字にあまり差がありませんし、同国の人々をターゲットにするなら、銀聯、WeChatペイ、アリペイの3つを導入しておきたいですね。

香港

出典:同上

中国本土の人々と違って、香港からの旅行客は現金を最も多く使い、次にクレジットカードの順番です。デビットカードが3位にありますが、上位2つに比べると利用率に大きな差がありますね。

クレジットカードのブランドも中国本土とは異なり、「VISA」と「Mastercard」が広く普及しています。同地の歴史的経緯が背景にあるのでしょう。

これら2つのブランドには日本でも多くの店舗が対応していますから、既存の決済システムを流用しやすいと思われます。

台湾

出典:同上

台湾も香港と似たような結果となっています。クレジットカードのブランドも、VISAかMastercardがメイン。

また、台湾では「JCB」もそこそこ普及しています。日本の店舗がクレジットカードに対応するなら、自国発のJCBは外さないはずです。

台湾だけでなく国内外の観光客全般のために、これら3つのブランドには対応したいですね。

韓国

出典:同上

キャッシュレス決済率96%と、世界一キャッシュレス化が進んでいる韓国。ただし訪日旅行では、韓国人は現金をもっとも多く使っています。

次に多いのがクレジットカードで、ブランドはVISAとMastercard、そして銀聯がトップ3です。韓国での普及率の割に、訪日旅行での使用率がさほど高くないのは興味深いですね。

アメリカ

出典:同上

訪日アメリカ人がよく使うのはクレジットカード。ブランドはVISA、Mastercard、そして「American Express」の3つがメインです。

VISAとMastercardは強いですね。今回のランキングでは、中国以外の4カ国で高いシェアを持っています。また、アメリカではデビットカードのシェアも、この2ブランドで占められています。

インバウンド客向けの決済システム・サービスを用意しよう

国によって利用率に差はあれど、クレジットカードはどの国の人々も使う決済手段でした。現金払いよりも消費額が増えるのもあって、対応は必須です。

ブランドについては、

・VISA
・Mastercard
・銀聯
・JCB
・American Express

あたりは押さえておきましょう。

最近では「楽天スマートペイ」や「Square」といった安価で簡単な決済端末も登場し、以前より導入のハードルが低くなています。

加えて、中国人向けの対策をとるのなら、モバイル決済導入も。シェアの高いWeChatペイアリペイには対応したいですね。

各種決済対応をアピールするのも重要

各種決済に対応するだけでなく、そのことをアピールするのも重要です。

前述のとおり、サービスが使えるかどうか分からなかったことがインバウンド客の不満点になっています。消費の抑制や失客が発生しているかもしれません。

対策として、クレジットカードのブランドを表示するアクセスタンプマークや、モバイル決済のマークなどを目立つ場所に貼り付けましょう。レジ付近や店の入り口だけでなく、Webサイトなどにも表示が必要です。

まとめ

今回は訪日インバウンドにおける決済事情についてお話してきました。

馴染みのある決済方法が使えるというのは、旅行者にとっては利便性だけでなく安心感にも関わることです。現金払いとカード払いでは消費額に1.6倍の差がある事実からも、対応の重要性がわかりますね。

昨今では端末が安価になってきていますし、ぜひ導入を検討してみてください。

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