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2018年に113万人、2019年には132万人と年々増加していた訪日タイ人観光客。コロナ禍の続く2020年7月現在は渡航制限がなされているものの、JIMCの調査によると、収束後の訪日旅行を前向きに考えるタイ人は70%以上になります。
とはいえコロナ禍の先行きは依然として不透明です。そんな中で打てる施策には何があるのか?
これについて、本記事では旅行者数の推移といったデータとともに解説していきます。
2020年の訪日タイ人観光客の動向
まずは、2020年の訪日タイ人観光客の動向について、人数や消費額の推移をみていきましょう。
2020年5月までの月別旅行者数


2020年1〜5月の月別旅行者数は以下のとおり。
1月:11万2,534人(前年85,718人)
2月:9万7,957人(前年103,045人)
3月:4,805人(前年140,219人)
4月:30人(前年159,604人)
5月:10人未満(前年101,260人)
タイでは4月に旧正月があり、これにともなう長期休暇で訪日数が増加します。しかし2020年4月といえば、タイでも日本でも緊急事態宣言が出されており、国内での移動すらままならない状況だったため訪日もほぼありませんでした(タイでは緊急事態宣言が8月末まで延長されています)。
訪日タイ人全体の消費額
2020年1〜3月期、タイ人全体のインバウンド消費額は301億円でした。前年同月期の457億円から30%ほどのダウンです。
人数に比べると、消費額の減少幅はまだマシといったところでしょうか。では次に、1人あたりの支出と内訳を解説していきます。
1人あたりの支出と内訳
出典2:観光庁/訪日外国人消費動向調査 2019年1-3月期の全国調査結果(2次速報)の概要
訪日タイ人1人あたりの支出と内訳は上の画像のとおり。
2020年は、前年に比べて6.2%アップしました。内訳を見ると、ほとんどの項目が増えていますね。いろいろなスポットを回るようになっているのが分かります。
旅行目的
タイ人の旅行目的1位は日本食を食べること。和食だけでなく、ラーメンやカレーなども人気です。2位はショッピングで、場所は百貨店やコンビニ、ドラッグストア、100均、免税店などさまざま。
ただ、日本の歴史・文化に対する関心はそれほど高くありません。訴求ポイントを外さないようにしたいですね。
人気の都道府県(訪問・宿泊)
ゴールデンルート上の都道府県と北海道が人気上位です。直通便があり、グルメ・ショッピング・観光の場所が揃っている地域は強いですね。
一方、それ以外の県ではあまり誘致が進んでいません。2019年に仙台とタイを結ぶ直通便が就航したように、今後の施策に期待がかかります。
旅行情報源
*これまで出典にしてきた訪日旅行データハンドブックには2018年までのデータしかなかったため、最新の情報が載っていた訪日外国人消費動向から引用
観光庁の訪日外国人消費動向によると、タイ人の旅行情報源の1位はSNS。同国ではFacebookやInstagramが普及しています。
また、動画サイトはYouTube、口コミサイトはPantipやトリップアドバイザーが人気です。これらの活用については後述しますね。
タイ人向けの訪日ビザ発給が再開!


2020年7月29日から、ビジネス目的に限りではありますが、タイ人向け訪日ビザの発給が再開されました(*)。
観光客の受け入れは依然として厳しいものの、産業の立て直しが少しずつ行われつつあります。旅行が再開される日に備え、打てる誘致施策は今から打っておきましょう。具体的に何があるか、次章で解説していきます。
訪日タイ人観光客へ向けて今できる施策


先行きが不透明な中、あまり費用をかけられない企業や店舗が多いはず。そこで今回は、低コストでできる情報発信の媒体を紹介していきます。
①SNS:FacebookとInstagram
1つめはSNSです。前述したようにタイ人の旅行情報源1位ですから、活用は必須です。
利用率上位は以下のとおり。
1位:Facebook(94%)
2位:Instagram(65%)
3位:Twitter(55%)
Facebookが席巻していますね。ただ、InstagramはFacebookと投稿を連携できるので併用しやすいでしょう。
投稿内容としては、
・店舗や周辺の様子
・キャンペーン情報
・ハウツー系の情報
などが考えられます。どんなコンテンツがウケるのか、すでに運用中の自治体や企業のアカウントを参考にしてみてください。
*:We Are Social/DIGITAL 2020 THAILAND
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②動画サイト:YouTube
動画サイトも活用したいですね。タイでは日本と同じくYouTubeが最も普及しています。
動画の利点は、情報量が多いことと、言葉をあまり必要としないこと。極端にいえば、無言でも視聴者へメッセージを伝えられます。
今はスマホでも綺麗に撮影でき、さらに細かい編集も可能です。iPhoneだと手ブレ補正が強力なので使いやすいはず。
制作の際には、視聴者が旅行を疑似体験できる内容やアングルが重要になります。
・ただ景色を写すだけではなく、旅行者の目線で歩きながら撮影してみる
・ただ食べ物を写すだけではなく、実際に食べる様子も撮影してみる
こうした方が、視聴者は動画の内容をより自分事としてとらえやすくなり、訪問への興味が増すわけです。
③口コミサイト:Pantipやトリップアドバイザー
3つ目は口コミサイトです。「実際のところはどうなのか?」という第三者の感想は、タイ人にとっても重要な情報になります。
押さえておきたいのは「Pantip(パンティップ)」という同国最大のWeb掲示板です。
PantipはタイでSNS並の利用率を誇り、幅広い年齢層の人々に利用されています。旅行のトピックも人気で、ユーザーが訪日旅行に関するスレッドを立てるだけでなく、企業自らが立ててPRできるほか、広告出稿も可能です。
ただし、企業が投稿する際にはPRであることをタイトルに明記しなければなりません。またタイ語への理解も求められるため、活用のハードルは少し高いといえます。
ほかのサービスだと「トリップアドバイザー」も人気です。こちらは世界最大の旅行口コミサイトで、食べログのような使用感になります。多言語化が進んでおり、日本語や英語でページを作成してもタイ語に自動翻訳されるので、Pantipよりも活用のハードルが低くておすすめです。
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まとめ
今回は、訪日タイ人観光客の動向を解説し、コロナ騒動の中で打てる施策の例を紹介しました。
まだまだインバウンドは厳しい状況にあり、需要回復も見通しが不透明です。しかし、日本政府は少しずつ外国人の受け入れを再開しており、産業の回復の兆しも見え始めています。
SNS・動画サイト・口コミサイト、これら3つを通じた情報発信はコストがかからず手軽にできるので、将来のために今からでも行っていただければと思います。