目次
はじめに:弊社では、東南アジア越境ECを支援することができます
初めまして、株式会社LIFE PEPPER の大和田と申します。私たちは東南アジア現地におけるマーケットシェア拡大のため、日本企業様のご支援をしております。
弊社では、上記の画像のように東南アジアにおける様々な日本企業様の課題を解決する術を持っておりますが、今回は東南アジアへの越境EC の文脈でお話をさせていただこうと思います。
東南アジア越境ECと東南アジア現地ECの違い
まずはじめに、スマートフォンの普及や越境 EC 事業者の増加などにより、国を跨いだ商取引を行うeコマース、いわゆる「越境 EC」 の市場規模は年々拡大しています。経済産業省が発表した調査によると、全世界の越境ECの市場規模は2016年に44兆円、2020年までに109兆円まで拡大すると言われています。
その中でも日本は独自の商品展開により、海外ユーザーから人気の購入先となっています。下図の通り、経済産業省によると越境 EC を通じた購入金額は「米国から日本」で約7.1億円、「中国から日本」で約1.2兆円となっており、前年比成長率 15% 以上のペースで拡大しています。
■越境EC市場規模
■東南アジア全体のインターネット市場とEコマースユーザー数
また、2019年時点の東南アジア全体のインターネット市場は1兆ドル推定されており、2025年までに3兆ドルまで成長すると予測されています。Eコマースの利用者は2019年時点で1.5億ユーザーであり、2015年の4,900万ユーザーと比べると3倍近くに増加しています。
現状日本から東南アジアに向けた越境ECの市場規模は報告がありませんが、1年で倍近くまで拡大する東南アジアインターネット市場には注目が必要です。
東南アジアの主要越境ECって
東南アジアで広く利用されているECのランキングは以下になります
■東南アジア地域、ECサイト訪問者数ランキング(2019年)
この中で日本からの越境EC出店を公式にサポートしているECサービスはShopeeのみになります。
iPrice GroupとApp Annieの調査によると、Shopeeはインドネシアとタイのユーザーからのアクセスの伸びによりShopeeは東南アジアで最もユーザー数の多いECサイトとしてランクインしており、2位のLAZADAと3位Tokopediaを引き離し、2019年第1四半期の合計でデスクトップ、モバイル合わせて2億600万人セッションを記録しています
一方、LAZADAは2018年の第一四半期と比較して全体の訪問数が12%減少し、2019年第1四半期の訪問者数は1億8,440万セッションになっています。ですが依然として影響力は強く、国別で見るとマレーシア、シンガポール、フィリピン、タイで最もセッションの多いECサイトになっています。
一方、インドネシアのTokopedia、Bukalapak、ベトナムのTikiは、各国ローカルのECにもかかわらず多くのユーザーを集めています。
東南アジア各国で使われている越境EC
■2019年第1四半期東南アジアのECアプリユーザー数ランキング
東南アジア各国でECアプリのユーザー数ランキングを見てみると、ほとんどの国においてもLAZADAもしくはShopeeが上位に入っています。全体のシェアから見ると小さくなっていますが、越境ECとしては
- Ali Express
- AMAZON
- eBay
- ZALORA
- Taobao
が主なプラットフォームになっています。
この中で日本法人を持っているのはAMAZON、eBay、Shopeeであり、 TaobaoやAli Expressを運営しているアリババも日本に法人はありますが上記サービスにおいてアリババジャパンからの出店サポート等の業務は現状行っていません。
それではEコマースプラットフォームの特徴を解説してゆきます。TaobaoやeBay、Amazonについてはリンク先の記事をご参照ください。
■LAZADA
LAZADAは2012年にサービスを開始したECサービスで、2016年に中国のアリババグループの傘下に入りました。LAZADAの特徴としては、LAZADA自身で在庫を管理し販売する直販モデルであることです。
基本的に商品はLAZADA独自の流通網を活用し配送するため到着までが早く、キャンセル等の連絡はLAZADAのカスタマーサポートが対応しているため、他の東南アジアのEコマースプラットフォームに比べてスムーズであるという評価が多くなっています。
その分、出店料や送料が高くなることが欠点とされており送料・出店料ともに安いShopeeと比較される部分になっています。
■Shopee
ShopeeはLAZADAから3年遅れて2015年にサービスを開始したECサービスであり、親会社であるSEAには中国のテンセントが出資しておりLAZADAのライバルとして急激にユーザー数を伸ばしています。
特徴としてはShopeeは自社で在庫を持っておらず日本でいうと楽天のような、プラットフォーム型のビジネスモデルを採用しています。
出品者はカスタマー対応が必要であるという点や、他社の物流網を利用しているため配送までに時間がかかるという欠点はありますが、送料の一部をShopeeが負担するためユーザーは出品価格、購入価格共に抑えることができます。
■ZALORA
ZALORAは2012年にサービスを開始した、シンガポールを本社に置くファッションに特化したECサービスです。現在のメインの展開国としては東南アジア各国に加え、台湾、オーストラリア、ニュージーランドとオセアニアにも広くサービスを提供しています。
各国合計で2,600万のアクティブユーザーを獲得しており、今後の成長が期待されるサービスになっています。
東南アジア各国でシェアを持つローカルEC
前述したように、東南アジア各国では様々なECがシェアを争っており、特にベトナムではTikiが3位、インドネシアではローカルECのTokopediaがトップシェアを持つなど独自の市場を持っています。それでは、それぞれECについて特徴を解説していきます。
■Tokopedia(インドネシア)
Tokopediaは歴史の古く、2009年にサービスを開始しLAZADAやShopeeを抑えて月間のアクティブユーザー数9000万人以上をもつ、インドネシア市場で長年最も多くのユーザーを抱えているECサービスです
BtoCとCtoCのビジネスモデルを採用しており、新品の商品のみが販売されるLAZADAなどのECに比べて、CtoCの出店のハードルが低く中古品などが安く取引されています。
インドネシアから他国には進出はしていませんが、アリババグループや日本のソフトバンクグループを始めとして、ベンチャーキャピタルから何度も多額の資金調達をしており、これを原資にユーザーに対して安く高品質なサービスを提供しています。
2019年第4四半期の月間ユーザーでは6,790万人と、ついに月間7,197万人のユーザーを獲得したShopeeに抜かれてしまいましたが、依然としてインドネシア国内で強い影響力をもつECとなっています。
(出典:CNBC Indonesia|Shopee Nomor Satu, Tokopedia Kedua, Bukalapak Apa Kabar?)
■Bukarapak(インドネシア)
Bukarapakは2010年にサービスを開始したECであり、月間ユーザー数は2019年の第4四半期で平均3,900万人でした。
基本的なビジネスモデルとしてはTokopediaとほぼ同じであり、BtoCとCtoCの両方の出店が可能です。Tokopediaのライバルとしてユーザー争いをしていましたが、直近ではShopeeにユーザーを奪われ、徐々にシェアが下がっています。
(出典:CNBC Indonesia|Shopee Nomor Satu, Tokopedia Kedua, Bukalapak Apa Kabar?)
■Tiki、Sendo(ベトナム)
ベトナム市場において3位、4位のユーザー数を持つTikiとSendoですが、特徴としては両社ともBtoCとCtoCの出店が可能であること、機能としてはオーソドックスなECサイトになっています。
完全にライバルのように見えますが、Tikiはホーチミン、ハノイの大都市のユーザーが多く、Sendoはそれ以外の都市のユーザーが多い、というように互いに補完するようにサービスを展開しています。
ユーザー数ランキングを見ると2019年第一四半期時点で1位がShopee,2位がLAZADAと、他国のサービスに押されていることから、対抗するために2020年5月にTikiとSendoは合併を発表するなど、ECサイトの生き残りが激化しています。
(出典:Vietnam Times|E-commerce giants, Tiki and Sendo, reached a merger agreement)
東南アジア越境ECの基本的な考え方と戦略
ここまで東南アジア越境EC のうち、主にEC周りの説明をしてまいりましたが、ここからは主に「売るために必要なこと」(= マーケティング、プロモーション、デジタルマーケティング)に関して説明をしていきたいと思います。
東南アジアに限った話ではないのですが、「越境ECで売れるようになる」ことは容易ではありません。
初年度から黒字を達成することはかなり困難だと弊社はご説明を差し上げております。初年度から黒字になるケースは「初期投資を抑えることができる特殊なルートを有している」「出費は可能な限り抑え、売り上げるための特殊なプロモーションルート・方法を有している」「大きく勝負しないと決める」「越境EC の開設前から、現地に顧客を有している」のいずれかだと思います。
いずれにしろ、これらの道をれる方はごく少数ですし、中長期で見たときに必ず躓きます。ゆえに進出前〜初年度からしっかりと、「自社製品の顧客候補は誰で」「その人とどうやってコミュニケーションを取るべきなのか」
というコミュニケーション戦略をしっかり立て、仮説を持って検証を行うことで、成功への道が開かれると、私は考えています。
その戦略をマトリクスで整理し、議論の叩き台としてご用意しているものが、こちらの画像です。
こちらの画像では、「ターゲットが明確であること」と「コミュニケーションが成功していること」の2軸で整理してあります。
往往にして、最初に進出して見出した消費者および貴社のファンになっている消費者はマーケット全体で見ると小さいものです。
ゆえにまずはすでにお客様になっている方々をしっかりと見えるようにし、その後でネクストターゲットを決め、その方達の顔をクリアにし、コミュニケーションを成功させ、徐々にマーケットを大きくすることが弊社の考える「ターゲットとコミュニケーション戦略」です。
そもそも、この「ターゲットの顧客の顔が見えない」という現象は、日本市場ではあまり見受けられない現象だと考えています。もちろんそんなことはない!と言われる方はいるかと思いますが、海外に比べると、圧倒的に解像度が違うのです。
理由は、「島国・単一民族である日本」だから、「海外」という、海の外の他人に関しては全然別物だと考えてしまうこと、それから単純に接触頻度の問題です。
次に、今まで日本企業が海外展開する際の得意技が、「現地に販売代理店 / 支社 / 現地・日本の商社 などにお任せする」だったために発生した現象です。現地の企業からすれば扱っている商品の1つであり、既存の商流に乗せるだけなの「売れているか売れていないか」「どこに商品を卸しているのか」だけが分かっていればそれでいいわけです。
極論、ブランドとしての成長よりも、「売れるか売れないか」だけが重要であり、かけた工数に見合った利益を生んでくれればそれで良いのです。そんなマインドの現地企業に対し、あれこれ指示をしてももちろん動きは悪いですし、最終的には「現地のことは現地が一番わかっている」という便利な言葉で諦めるしかない。
これが、多くに日本企業が置かれている現状なのではないでしょうか?もちろんこのような関係ではなく、良好な関係を築き、言葉は悪いですが上記のように「金の卵」状態の現地パートナーを有している企業様も、もちろんいると思います。
しかしながら多くの企業様は「消費者の顔が見えない / どんな人が自社の商品のファンなのかわからない」という状況に陥っているのではないでしょうか?特にこれは、東南アジアで多く見られる現象なので、ここで書かせていただきました。
さて、話を越境 EC に戻します。弊社の考える一番最悪の戦略が、以下の画像のような戦略で進められている場合です。
このように、「ターゲットが明確でないのに」「コミュニケーション手段の1つである越境EC を作る」というケースは、意外と多いのではないでしょうか?なぜこのような戦略を取られるのか、そこにはいくつかの理由があります。
- 理由1)手軽に越境EC に出店できるようになった
- 理由2)日本のものはいいものだから、出せば売れるだろう という幻想のまま出店をする
- 理由3)補助金・委託費 等が出るから出店を進める
弊社が相談をいただく場合、これら3つの理由が多いと感じています。一つ一つ見ていきましょう。
理由1)手軽に越境EC に出店できるようになった
近年、手軽に越境EC に出店できるようになったことが大きく影響をしていると思います。それを後押しするのが東南アジアで主に使われてる「Shopee」「LAZADA」などのモール系EC。それから各市場へローカライズされた EC カートサービスです。
ついでに触れると、「Made in Japan 輸出ビジネス」などと謳いさも気軽に海外に販売し、成功を収められるだろうというマルチまがいのビジネスを提供している方々がいて、その方々も「気軽な海外展開」を後押ししているという現状があります。こちら、弊社にお問い合わせいただく際はきちんとお伝えしておりますが、海外、特に東南アジアに関しては成功例も少なく、誰もが進出し、必ずうまくいくという簡単な市場ではないです。
さらにいうと、インターネットの成熟により「誰もが手軽に、成功事例にアクセスできるようになった」ということも挙げられます。が、冷静に考えていただきたいのですが、「成功事例や有効な手法を、誰もが見れるネット上にあげる人」が信用できると思いますか?無料で得られる情報には、無料の価値しかないのです。
さらに、成功事例も失敗事例に関する情報も少ない東南アジアの越境EC 市場においてだと、さらに事例の稀少性が増します。まとめると、実は実態は世の中と真逆で「本当の成功事例は、インターネット上には存在せず、一部の企業だけがノウハウを持っている」にも関わらず、少ない情報・不確かな情報で意思決定をしている企業様が多いのが現状です。
まとめると、「東南アジアの越境ECとは、手軽なものでもなく、簡単に成功事例が手に入るようなものものではない」ということです。
理由2)日本のものはいいものだから、出せば売れるだろう という幻想のまま出店をする
こちらも理由1「手軽に越境EC に出店できるようになった」と重なる部分が多いのですが、よく見る理由です。
高度経済成長、その後のバブルなどの時代の栄光を引きずり、「日本のものはいいものだから、何も手を打たずともうまくいく」という幻想を抱かれている方がかなりの割合で存在しています。
このような状態は非常に危険で、今すぐに「海外と日本の商品の差は、無思考を補ってくれるほどない」という事実を受け入れ、適切な市場の分析としっかりとした戦略をもとに、「どのくらい投資し、どのくらいのリターンを、いつ得るのか」を練り、投資を行っていく必要があります。
何度も言いますが、「東南アジアの越境ECとは、手軽なものでもなく、簡単に成功事例が手に入るようなものものではない」ことに加え、「東南アジアの人々も、価格も高く、正体もわからない製品を 日本製だからという理由で購入することはない」ということです。このことは最初にご認識いただきたいです。
理由3)補助金・委託費・助成金 等が出るから出店を進める
最後に。この3つめの理由は、少しポジティブです。費用の一部もしくは全部を行政の方で面倒を見てくれるからです。これは「どのくらい投資し、どのくらいのリターンを、いつ得るのか」と前向きに戦略や計画を練られていた企業様にとっては朗報としか言いようがなく、活用するべき制度と言えます。
その一方で、この制度を活用しきれない,作っても結果が見えているパターンもあります。例えば「行政の方から声をかけられた、地域の中小企業が、補助金・委託費の期間だけ場当たり的に実施する」場合や、「担当の方が熱心に進め、補助金・委託費・助成金 等の採択を受けたが、その後異動が決まり、話が立ち消えになった」という話もよく聞きます。
少し話は逸れますが東南アジア向けの事業は属人化しやすく、「この人がいないとまわらない」という状況に陥りがちです。その割に海外事業を新規で立ち上げられるバイタリティーのある方は社内でも貴重な存在なので、異動の対象になりやすいです。その人が異動したら海外はそのまま止まってしまいます。
こうなる要員としては、国内と海外での売り上げ比率の差が挙げられます。どの企業も「20〜30年後、もしかしたら10年後には現在の売上規模を保つほどの売り上げを維持できない」ということを心の底ではわかっていながら、海外に向けた意思決定をできずにおります。その結果、そもそもの投資の意思決定ができず、さらに優秀な担当者がつかない、という結果が起きてくるのです。
今現在、メーカーで海外担当をされている方々はそのような過酷な状況の中でいかにして市場の牌を取っていくのか?という大きな命題だけではなく、
- 既存の海外代理店とのコミュニケーションの問題
- 販路・商流の維持
- 現地で使用する販促物の提供
- 現地の小売店向けの営業
などなど、本当に大変なご苦労をされていると思います。
このような苦労をされ、日本のブランドは世界で成功するための挑戦を続けられている。それなのにも関わらず、越境EC を少し触ってすぐ売れる。こんな都合のいい話はありません。「東南アジアの越境ECとは、手軽なものでもなく、簡単に成功事例が手に入るようなものものではない」「東南アジアの人々も、価格も高く、正体もわからない製品を 日本製だからという理由で購入することはない」に加え、「補助金・委託費・助成金 等だけが財源とするのではなく、しっかりとマネタイズまでの計画を立てること」もつけくわえさせていただきます。
以上をまとめると、
- 理由1)手軽に越境EC に出店できるようになった
→「東南アジアの越境ECとは、手軽なものでもなく、簡単に成功事例が手に入るようなものものではない」 - 理由2)日本のものはいいものだから、出せば売れるだろう という幻想のまま出店をする
→「東南アジアの人々も、価格も高く、正体もわからない製品を 日本製だからという理由で購入することはない」 - 理由3)補助金・委託費 等が出るから出店を進める
→「補助金・委託費・助成金 等だけが財源とするのではなく、しっかりとマネタイズまでの計画を立てること」
の3つを心がけ しっかりと東南アジアの方々に向け、販売をしていくこと。商売の原理原則のような内容ですが、そこへ「デジタルの力」を掛け算することで、現地での成功が見えてくる。それが東南アジア越境EC の面白いところだと私は考えています。
超基礎:越境EC にも役立つプロモーションのTips
こんな方に読んでいただきたいです。「初めての東南アジア進出の方」「代理店任せから脱却し、自社で何かを始めたい方」。東南アジア地域における、マーケティング事情を「体系的」に理解する為に役に立つ情報を書いていきたいと思います。特にビジネスチャンスの大きい一部の市場にフォーカスし、「効果的」なプロモーション手法を書かせていただきます。
まず、東南アジアの市場をプロモーション目線で見ると、以下の画像のようになります。
- スマホを中心にネット普及率が加速
- SNS の利用率が高く、ネットアクセスのあるユーザーの大半は活用する
- 訪日外国人観光客の伸び率が著しい
➡︎ コロナにより状況は激変。今後の動向が注目される。
次に、東南アジアの越境EC を理解する上で重要な、3 つの最注意ポイントをご紹介します。
1)ターゲティング
東南アジア地域における「多様性」を理解することから東南アジア諸国におけるマーケティングが始まると言っても過言ではありません。「言語」「年齢による文化の違い」「性別による違い」など、日本と比べると細かくターゲットが分かれていることから、かなりターゲティングが重要になってきます。
例えばマレーシアを例に挙げると、「どのユーザー層をターゲティングすべきか?」が最初の重要命題になってきます。マレーシアにおいては、以下の画像の通り、
- マレー系
- 中華系
- インド系
と、大きく分けて3つの人たちが住んでいます。
中華系の特徴は、
- ①:最も高所者層、
- ②:英語をメインに利用、
- ③:宗教的な制限が少ない
の3つです。これらのユーザーとのコミュニケーション手法は主に英語になり、グローバルスタンダードなブランディングで攻める事が有効であると考えています。
次にマレー系の特徴は、
- ①:比較的低所得
- ②:マレー語をメインに利用(中でも高所得者層は英語を利用)
- ③:宗教的な制限がある
の3つです。ユーザーとのコミュニケーション手法は主にマレー語になり、宗教的観念に沿ったブランディングで攻める事が有効だと考えております。マレー系は攻めるのが難しく、初期のリターンが薄いので、初期のターゲットとしてはオススメできません。ただし、マレーシアにおいてはマレー系のユーザーが一番のマスマーケット(中華系のみは900万人で小規模)なので、長期的にマレーシア市場で売上を拡大するためにはマレー系ユーザーへのアプローチは必要不可欠です。
最後のインド系に関しては、市場が小さいことから、割愛します。マレーシアの例になるように、東南アジアにおけるマーケティングではターゲットの選定が「要」となります。
2)メディア
東南アジア地域の人々が接触するメディア媒体の「特異性」を理解し、適切な媒体選定を行うことが重要。1で触れたとおり、東南アジアにおいては、
- 「言語」
- 「年齢による文化の違い」
- 「性別による違い」
など、かなりの違いがあるので、「誰にターゲットを絞るのか?」「それとも絞らないのか」によって、プロモーションをする媒体を変える必要があります。
例えばタイにおいては、特殊なメディアで情報蒐集していることを念頭に置いておく必要があります。それは、タイ最大規模のウェブサイト(PANTIP)です。月間訪問者数:2億3千万で、月間のPV数が7億以上ある、“タイ人は毎日利用するウェブサイト”です。主に質問投稿/スレッドの作成などを前提にした、「掲示板サイト」なのですが、40 種類近くのジャンルが設置され、各ジャンルに関連性のあるスレッドをユーザーが自由に作成することができます。(中にはブログ記事として利用するケースも)
このパンティップの存在により、Pantip で調査をしている膨大な量の見込みユーザーに効率的にアプローチすることが、タイでのプロモーションを成功する上で最も重要になります。バナー広告などの掲載や、スレッドの掲載(キーワード対策)[SR]などの活用を行うことが重要です。さらに、Pantip で比較検討をしているユーザーを情報不足で取りこぼさない
[SR][CR]の活用と、自社にてスレッドの作成 & ユーザーによる自然の口コミを促すことも非常に重要です。まとめると、現地ユーザーのウェブ習慣に合わせたメディアの選定がキモになってきます。
3)メッセージ
誰に、何を、どのように「伝える」のか統合的なブランディング戦略が東南アジアでの勝敗を決する。こちらも上記同様で、
- 「言語」
- 「年齢による文化の違い」
- 「性別による違い」
により、メディア媒体が別れてくることから、メッセージすらも変えていく必要があります。東南アジア諸国はその他の諸外国と比較しても、ブランドメッセージのローカライズが不可欠ということです。ここではインドネシアを例に、メッセージの重要さをまとめていきます。インドネシアにおいては、割合87%が、
- 言語:インドネシア語
- 所在地:全国
- 習慣:ハラール
です。
ハラールとは、イスラム法上で食べることが許されている食材や料理を指しますが、近年では化粧品などにも解釈が拡大しています。細かく、調理方法などにも規定があり、代表例としては、豚や豚に由来する成分が含まれていない、お酒が含まれていない事などの条件です。世界に 200 以上あるハラール認証機関が発行する、ハラールのルールに則って商品が開発されたことを保証する制度。世界的な統一基準はないが、認定機関により厳しい選定が行われ、一部の商品のみが取得が可能となります。
インドネシア人の「ハラール」も細分化しようと思えばいくらでも細分化が可能ですが、ここでは2つに大別し、「ハラール厳格層」と「ハラール寛容層」と分けて考えていきたいと思ってます。
まず、「ハラール厳格層」に関しては、ハラールの規定に厳しく、ハラールをアピールするメッセージ / ブランディングが効果的となります。
その一方で、「ハラール寛容層」に関してはハラールの規定に比較的寛容で、ハラールフレンドリーを最低限担保した上で、グローバルスタンダードなブランディングが効果的となります。この違いを抑えることから始まります。まとめると、ターゲットユーザーの文化的背景に基づいた、ブランドメッセージの発信を行うことが重要であり、一つの地域・文化圏でも多様性があるため、その特徴を理解した上で「包括的な」ブランディングを行う事が注意点と言えるでしょう。
さらにデジタルマーケティングの視点でいうと、これら3つに加え、東南アジアは各国ごとに特殊なデジタルの使われ方をしていることがあるので、さらに注意が必要です。
まとめ
ここまで、長い記事をご覧いただきまして、ありがとうございます。
弊社では、日本企業の東南アジアでの成功を少しでもサポートできるよう、様々なサポートメニューを持っておりますが、その根幹にあるのは「戦略設計」「現地の方とのコミュニケーションサポート」です。
東南アジアにおける 正解の答えは我々でも企業様でも、ましてやインターネットの中にもありません。答えは、そこで暮らしている消費者の方々が持っており、我々は「成功する確率を上げる」お手伝いができればと考えてます。
詳しくは、お問い合わせくださいませ。
専門家集団が貴社の海外ビジネスの成功をサポートします
お気軽にお問い合わせください。
