外国人を採用したい企業の担当者であれば知っていたい留学生の日本語レベル。その基準になるのが日本語検定で得られる資格です。「N1」(日本語能力検定1級)などの略称でも知られています。この記事では日本にある日本語能力検定と、資格を持つ外国人の日本語能力について書いています。
代表的な日本語検定試験
日本語能力を測る代表的な手法として『日本語能力検定(JLPT)』と『BJTビジネス日本語能力テスト』があります。日常会話や日本語コミュニケーション能力を測るのがJLPT、ビジネス上の日本語コミュニケーション能力を測るのがBJTというイメージです。
ここからは二つの試験と、取得している外国人の日本語レベルのイメージについて説明します。
日本語能力検定(JLPT)
日本語能力検定(通称:JLPT)は、日本語能力試験は、日本語を母国語としない人の日本語能力を測定し、認定する試験として、国際交流基金と日本国際教育協会(現日本国際教育支援協会)が1984年に開始し、2011年時点での受験者数が全世界で約61万人にのぼる、世界最大規模の日本語の試験です。
能力の目安
日本語能力検定はN1〜N5の5段階で、「読む」と「聞く」言語行動で表します。N5が一番優しく、N1が一番難しいです。
N5 基本的な日本語をある程度理解することができる
N4 基本的な日本語を理解することができる
N3 日常的な場面で使われる日本語をある程度理解することができる
N2 日常的な場面で使われる日本語の理解に加くわえ、より幅広い場面で使われる日本語をある程度理解することができる
N1 幅広い場面で使われる日本語を理解することができる
期待される能力
N5レベルはゆっくりの日常会話であれば理解することができ、N1レベルであれば、読む、聞くの日常会話が問題なくこなせるとされています。日本で医師免許を取る場合、N1がないと取得できません。企業が外国人を採用する場合、N1レベルの学生を採用すれば社内での言語面でのコミュニケーションは問題ないと言えるでしょう。
ビジネス日本語能力テスト(BJT)
BJTビジネス日本語能力テスト(通称:BJT)は、受験者が受験時にどの程度の日本語によるビジネス・コミュニケーション能力を持っているかを測る能力テストです。結果は項目応答理論に基づいた統計処理により0~800点で採点され、J5~J1+の6段階のレベルで評価されます。日本語の能力もさることながら、ビジネスマナーなども織り込んで評価対象になるため、より実践的な試験であると言えます。企業でも採用時の指標や昇進の基準になっているなど、広く活用されている試験です。
能力の目安
BJTでは、合格/不合格ではなく、TOEICのように点数によるスコアで階級が決まります。受験数などでレベルが上がるのではなく、あくまで受験生の能力が上がらなければグレードも上がらないようになっています。
J5 日本語によるビジネスコミュニケーション能力はほとんどない。
J4 限られたビジネス場面で日本語による最低限のコミュニケーション能カがある。
J3 限られたビジネス場面で日本語によるある程度のコミュニケーション能力がある。
J2 限られたビジネス場面で日本語による適切なコミュニケーション能力がある。
J1 幅広いビジネス場面で日本語による適切なコミュニケーション能カがある。
J1+ どのようなビジネス場面でも日本語による十分なコミュニケーション能カがある。
期待される能力
スコアによるグレードだけではなく、受験者の自己評価により点数を出す「Can do レポート」という指標があり、そのレポートでおおよそのビジネス能力を見ることができます。
自己評価項目には「日本語でのプレゼンスキル」などもあり、J1以上で高い実現能力があります。おおむねJ1以上の方であれば、十分に日本語でビジネスが行えるでしょう。
おわりに
代表的な日本語検定二つについてまとめてみました。JPLTは日常会話、BJTはビジネス日本語とそれぞれ日本語の範囲が異なります。ただ、どちらもあくまで指標であり、試験に合格しているからといって必ずしも良好なコミュニケーションが取れるわけではありません。基準に頼り切るのではなく、まずは本人と話し、コミュニケーションを確認する方法も行う必要があります。