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外国人採用においても、その採用手法は新卒・中途採用と分かれております。新卒採用における外国人採用はここ数年でメジャーな採用手法の一つになってきたと言えるでしょう。本記事では、特に外国人中途採用にフォーカスして、そのメリット・デメリットを紹介します。
中途採用の状況
本題に入る前に、中途採用市場の概況とその中における外国人中途採用の立ち位置を整理しましょう。目下のところ、中途市場マーケットではアベノミクスなどを受けて企業でも人員増強が図られており、中途での募集も拡大している状態です。更に、海外展開も視野に入れた企業も増えているので、海外ビジネス強化のために外国人採用を推進している企業も多く見られます。
日本全体では中途採用は拡大中!
2016年に引き続き、中途採用の人員は増え続けている傾向にあります。欠員補充や部門強化を目的とした採用が多い傾向にありますが、2016年上半期では中途採用における必要な人員数を確保できなかったとする企業が少なからず存在しているため、2017年も引き続き中途採用で人員定数を満たすためのアクションが取られることでしょう。
【参考情報:2017年中途採用見通し】
2016年に引き続き、中途採用見通しは「増える」とする企業の割合が多いです。「減る」の回答に対して10%近く上回っていることから、中途採用を増やして人員定数確保を図る企業が増えるでしょう。
引用元▶中途採用実態調査(リクルートワークス研究所・2017年1月)
【参考情報:2016年上半期中途採用における人員の確保状況】
約半数近くの企業が中途採用では人員を確保できなかったとしていることから、今後も中途採用を継続して実施する企業は増える見込みだと言えるでしょう。
引用元▶中途採用実態調査(リクルートワークス研究所・2017年1月)
外国人中途採用も伸びる見込み
では、中途採用の中でも外国人に対してはどうでしょう。外国人採用に対しての意識はこの数年で深まってきたことと比例して、中途・新卒問わずで外国人の採用は増えていると言えるでしょう。
【参考情報:外国人社員採用の有無】
引用元▶2016 年度日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査~JETRO 海外ビジネス調査~
【参考情報:外国人採用の方法】
依然として外国人留学生の採用が多いですが、日本国内での外国人採用の割合も高く、上記の中途採用増加の傾向と外国人採用の意向と合わせて、中途採用のフィールドでも外国人採用は増えていくであろうと予想できるでしよう。
引用元▶2016 年度日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査~JETRO 海外ビジネス調査~
外国人中途採用のメリット
外国人中途採用のメリットとしては、「即戦力としてのグローバルな活躍」が挙げられるでしょう。新卒に比べて育成コストが掛からずに済むので、ミッションを達成するためにフルコミットして頂け、すぐに成果が見えてくるはずです。
メリット1:即戦力として、海外戦略で活躍可能
まず、通常の中途採用と同様に即戦力として海外の市場展開で活躍してもらえるでしょう。特に、海外市場にバックグラウンドを持ち、人脈やコネクションを持っている人材を採用できれば、海外展開への労力が削減できるでしょう。
【事例】海外での市場開拓
サラヤ株式会社[業種:製造業(化学工業 <家庭用洗剤の製造・販売等>)]
中国人、フィリピン人、ウクライナ人、タイ人、アメリカ人等約 20 名を海外市場開拓、品質管理等幅広い分野で雇用。
メリット2:豊富な経験を活かしたダイバーシティの推進
加えて、海外や外資系で「当たり前」となっているダイバーシティ施策を理解した外国人社員を採用することができれば、従来のドメスティックな社風を一変し、グローバルな市場に対して対応が可能になるダイバーシティ施策を強化することができるでしょう。
こちらのIBMのように全世界で拠点を展開している企業(アクセンチュア、GE、ヒューレットパッカード等)の施策は数十年培われてきた知見が蓄積されており、海外企業出身者や海外大学(経営系を中心に)出身者には当然の知識として広まっているはずで、一つのロールモデルとして検討対象足り得るでしょう。
【例】IBMのダイバーシティ方針
グローバルな市場動向の反映
機会均等への社会責任
管理者層の多様性の促進
文化的相違の受容と認知(民族的マイノリティー、多言語、個人的な相違)
女性の能力活用
障がいのある人々およびLGBT(レスビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー)の能力の最大化
ワーク/ライフ・バランス
メリット3:ブリッジ要員としての活躍
最後に、ブリッジ人材としての活躍が見込まれます。メリット1と重複しますが、外国人社員を登用することで、現地法人からの情報収集や現地法人に対してのマネジメントも円滑になり、日本人のみの視点からの脱却が可能になるでしょう。
外国人中途採用のデメリット
デメリット1:採用コストが高騰する可能性
中途採用マーケットではエージェントに対して支払うフィーが高騰になってしまう可能性もあります。成功報酬モデルを取っているエージェントもありますが、イニシャルでサーチ費用から掛かってしまうエージェントも存在します。それゆえに、獲得したい人材を採用するのに数百万円掛かっていまう場合もあるので注意が必要です。
【フィーの事例】
年収1000万円クラスのマネージャーを採用する場合:
成功報酬レート35%・イニシャル100万円としたら、【合計:450万円】が採用費用として掛かる。
それゆえに、リファーラルリクルーティングによる知人からの紹介やリンクトインなどを用いた直接採用のチャネルを持っておいたほうが、費用は高騰しなくて済むでしょう。
デメリット2:待遇面での折衝や交渉に手間が掛かる
加えて、外国人の場合は、日本人よりも条件交渉においては過敏になる傾向にあるので、想定外に条件交渉に時間を要す時もあります。外国では契約社会が当たり前となっているので、日本人のようにぼかして年収交渉や待遇を交渉することはなく、毅然とした態度で交渉に臨んできます。ですので、日本人とは気質が違うのだという大前提を抑えて交渉に臨みましょう。
デメリット3:文化摩擦や短期でのジョブホッピング懸念
外国人採用に付きまとう問題ではありますが、母国への帰国やさらなるキャリアアップを求めてジョブホッピングされてしまう可能性もあります。それゆえに、条件面やキャリアアップのスケジュールなどを示して定着率を高めるできるように仕組みづくりを行う必要があるでしょう。
【参考:外国人社員の退職理由】
引用元▶「外国人留学生/高度外国人材の採用に関する企業調査」<2016 年 11 月調査>(株式会社ディスコ)
最後に:理想の外国人社員を採用するために
ここまで、中途採用市場における外国人採用の立ち位置、そのメリットデメリットを紹介してきましたが、重要なのはあなたの会社において外国人社員がどんな役割を担ってほしいか鮮明になっているかどうかということです。そうすれば、ミッションも明確になりますし、必要な人材のスコープも定まり、中途か新卒かの採用手法も定まるはずです。本稿を外国人採用の参考としてもらえれば幸いです。