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世界80億人への挑戦者 vo7 アジアフューチャー株式会社 松清 一平 さん

株式会社LIFE PEPPER の高橋が、海外マーケティング、訪日インバウンドのキーマンにインタビューを行い、海外へ挑戦する生き方を選んだ背景や、仕事へのこだわり、今後の展望を聞くことで日本のグローバル化のヒントを掴むシリーズです。

第7弾のインタビューは、アジアフューチャー株式会社の松清さん。今の時代の韓国インバウンドマーケティングの基礎となる概念を日本に持ち込んだ方であり、福岡が韓国人ゲストにとって大人気の街になった礎を作った方だと、高橋が勝手に尊敬している松清さんへインタビューしました。

まずはじめに、松清さんとインバウンドの関わりについて教えてください

私は 2007 年に会社を始め、一貫して韓国に関する訪日インバウンドのプロモーション・マーケティングに携わってきました。ただし、私が創業時から志しているのは、「人材紹介事業」。弊社の人材紹介事業は、韓国生まれで日本語を勉強している韓国人を日本企業に就職させることがミッションです。

そもそも日本の企業が韓国人を採用するためには、就労ビザを出す必要がありますが、ビザを得るためには韓国向けに事業を行なっていることが要件です。その事業で利益が出ている状態でないと日本企業では新規採用枠の用意が難しいため、韓国向けの訪日インバウンド事業の立ち上げ支援を行なっているのが背景です。

韓国向けのインバウンドを本気で行い、利益が出ているからこそ言語対応ができる人材が欲しいというニーズが生まれ、ビザが出せるようになります。

松清さんが韓国人向けの人材紹介事業を立ち上げた「ルーツ」を教えてください

私と韓国との関わりのルーツは、江戸時代までさかのぼります。

そもそも江戸時代の松清家は、対馬藩の御家人クラスの武家だったんです。

江戸時代の貿易、つまり日朝貿易で一番儲かる品目は、朝鮮人参。対馬藩は朝鮮人参を買って薬にして販売することで儲かっている藩でしたが、廃藩置県でただの離島になってしまいました。そこで私のご先祖様が明治38年に移住し、その移住先が朝鮮半島の統営(トンヨン)市。私のご先祖様は、そこで時計宝石業&電化製品の卸売業を始めたそうです。

あまり自慢できることではありませんが、地元で雇った朝鮮人に横柄な態度をとることもあったそうで、終戦と同時に統営(トンヨン)市を追い出されてしまいました。

そんなことがあったので、家では韓国への悪口をずっと言っているような家庭でした。それなのに食卓にはお手製の「朝鮮漬け(= キムチ)」が並ぶ。そこに少し違和感を感じながら、実家のあった福岡で、大学まで過ごしました。

ここまでのお話だと、韓国とはむしろ縁が遠そうに聞こえますが

転機になったのが、大学進学時に取得した戸籍の本籍地を見たことです。私の実家は、福岡市の新天町商店街にあるのですが、本籍地に「長崎県下県郡厳原町」という記載があり、「どこなんだろう」という興味が湧きました。そこでいろいろ自分で調べたところ、対馬にあることがわかり、驚愕しました。

この2つの事実と違和感を抱えながら、大学を無事に卒業し、朝日系の放送局メディアへ就職しました。当時の日本では、メディアくらいじゃないと韓国に行けないとアドバイスされたこともメディアを選んだ理由の一つです。

取材をしながら感じたことは、通訳さんがいるような環境で話を聞いても深い話が聞けないということ。だから思い切って、学校に行って、韓国語を学び始めました。

当時、韓国語を学びたい日本人も少なかったからか、私が学べる環境がなかったので、特別講座を作ってもらい、もう勉強。無事に韓国語が話せるようになりました。

そのときの恩師から、「韓国人の学生を日本に呼ぶ、就職の斡旋をしてくれないか」と相談されました。恩師が言うには、韓国の当時の職業ブローカーはインチキばっかりで、日本で就職する間口は狭く、方法がないとのことでした。このことが、今の事業につながるルーツです。

このようなルーツなので、純粋に韓国が好き、という風に言い切れない自分がいます。

自分がいつも考えるのは、「過去の恨みを未来に持ち越してはいけない。」ということです。両国間には様々な課題がありますが、自分の代でそれを解決したいと思います。その恨みを持ち続けて、双方喧嘩をし続ける理由もないと考えています。

松清さんの考える課題解決の方法を教えてください

私は、2つの方法があると思っています。

まず一つ目は、ビジネスの力。両カ国間でビジネスが活発になり、双方に利益があれば、争いは起きないと考えています。

まずはお互いの持っている強みと弱みを合致させ、分析をしました。経営でいうとソート分析ですね。

ビジネスを分解すると、重要な要素はヒトモノカネ情報の4つ。日本企業だと人、情報が不足する傾向があります。日本企業にはいいものがありますし、お金もあります。

その一方、韓国は教育、とりわけ日本語教育の力が強い。韓国国内でN-1 できる人が100万人いる。

韓国の大学では、日本語と同時に日本の文化も学びます。

だから韓国人で日本語を学ぶ学生は、俳句も作れ、着物も着れて、日本の歴史も知っている人が多い。関西弁の活用語尾まで学んだりする。そういう日本人よりも日本のことを知っている学生が一定数存在するんです。

このように、日本企業が持っているものと韓国とマッチングすることが重要です。

二つ目は、文化の力。

相手の国の文化を好きな人間を顧客にすることで、文化の交流が生まれる。これは私の持論です。

双方の持っているものでは、食文化、サブカルチャーが文化としての売れ線です。これは韓国人が日本に来て楽しむという一方通行ではなく、韓国文化が好きな日本人にも売れる。このように少しづつお互いの国を好きな人間同士が文化交流することで、少しづつお互いの国の生活習慣の中に文化が織り込まれる。そうすることで平和が継続する。元から韓国と日本は距離が近く、戦前は朝気軽に出発して日帰りで帰る みたいなことができていたという話を色々なところから聞きます。

このように、解決方法は政治や綺麗事ではなく、ビジネスと文化の中にあると考えています。

今まで韓国インバウンドをやってきて印象的だったことを教えてください

印象的だったのは、明太子に関するマーケティングですね。

明太子は福岡を代表する名産品で、今は訪日韓国人にも大人気ですが、プロモーションを始めたときは全然売れなかったんです。売れなかった理由は、明太子を韓国語の「ミョンナンジョ」といっていたからだとわかりました。その後、韓国のパワーブロガーと話しながら、「日本の明太」という売り出し方に変えたら売れるようになりました。

このように、どうやって「売れるように伝えるか」を大事にしています。学術的に正しいとかそういうことはどうでもよくて、「売れるか売れないか」にこだわってます。理想なのは、店員さんが何もしなくても売れるようにすることですから。

それと、ハンバーグが売れるようになったことも印象的でした。

両国の輸出入に着目すると、未来永劫輸出入が行われないだろうなと思うものがお肉。これは両国の関係云々ではなく、双方の国で疫病が出たことが原因です。つまり、日本の肉、すなわち和牛は日本に来ないと食べることができない。

さらに、韓国人が価値を感じてくれるのは牛肉、さらにハンバーグが売れるということに気づかせてくれたのは、韓国人のパワーブロガーでした。

少し売れ始めてから韓国人のビジネスマンが、「福岡ハンバーグ」と命名をしてくれたので、さらに人気が加速しました。

このように、今まで売れなかった食べものが売れるようになることで、飲食店さんが潤うし、そうすることで、観光地としての価値も上がるし、地域の事業者も潤い、さらに地域が有名になる事に気付きました。2012年、福岡という地名を知っているパワーブロガーは20名のうち3名だけでした。

福岡の明太子やハンバーグの例からも分かる通り、その地域に鉄板の食べ物があるということはチャンスが増える事だと確信を持っています。

今後の展望、意気込み、サービス を教えてください

今後、人材紹介事業にアクセルを踏んでいきたいと思っています。

そのために、日本で働きたい韓国人向けの「講座」も複数の企業と仕込み始めています。きちんと日本のことを知ってもらえれば、韓国人が活躍できるフィールドは広いはず。

例えばホテルや旅館。フロントでの語学業務だけじゃなくて、マルチタスクで働いてくれる韓国人材を積極的に紹介するようにしています。

韓国人材のいいところの一つは、地方都市に行ってくれる事です。

私は韓国人の就職希望者へ、地方都市に行くことを推奨しています。就職後5年間は勤めたとして、次の転職先を探す際、田舎の方が職務経歴書が書きやすいからと。

もう少し詳細にお話をすると、例えば大阪のホテルに就職し、自分の5年間の実績として、韓国人の宿泊客を0から何倍にしましたと言っても、たこ焼き、LCC のおかげでしょと言われたら、何にも言えない。

一方で何もない田舎だと、その子の持つ力が際立つ。簡単な理屈です。

そういった日本の事情も理解してもらいながら、日本で活躍する韓国人を増やしていくことに使命感を燃やしています。

もう少し先の話になりますが、人材紹介を事業として行いながら、日本で生活する韓国人向けの身元保証の代行サービスを行っていきたいと考えています。これにより、日本企業に対しても、韓国人の人材に対しても安心感を与えられます。

今仕込んでいる紹介業、韓国人材向けの教育事業に身元保証が加わることで、その子がどういう勉強をしてきて、どういう心意気を持っているのかというところを日本企業がわかるようになり、会社での活躍の幅が広がる。

韓国人に限らずだと思うんですが、人間って単純な仕事だけ振られるとやめちゃうと思うんですよね。

このような取り組みを通じ、就職した企業へ使命感を感じてもらう。ミッションを与え、長く働けるような環境を作る、そのための仕掛けをしていきたいと思っています。

韓国向けのビジネスは、韓国向けのインバウンドに取り組みたいというニーズからでも、人が足りないというニーズからでも、どっちから入ってもいいんです。

日本企業さんへは、「私たちは博多に会社があるので、貴社の代わりにサクッと韓国行きますよ。安心して採用の選考を進めてください」とお伝えしたいですね。

アジアフューチャー株式会社

編集後記

取材中、想像以上に濃い内容で胸焼けを起こしそうな、ノウハウや学びの宝庫でした。

松清さん自身の韓国との関わり、「今の関係を未来に持ち越さない」という言葉が取材中なんども発せられ、松清さんがもたれる強い信念のようなものを感じました。

松清さんのような考え方をする方が日本 / 世界に増えれば世界がもっと平和になるかもしれないと考えさせられるほど、影響を受けました。弊社でも韓国インバウンドマーケティングを事業として持っていますが、絶妙に食い合わないポジションであり、これからも共に成長し、日本と韓国の関係を盛り上げていきましょう。ありがとうございました。

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