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GDPRとは?日本企業への影響や対応策、違反した際の罰則について解説

GDPRは、EU加盟国が守らなければならない法律です。しかし、GDPRがどういったものなのか分からない場合も多いのではないでしょうか。

本記事では、GDPRの概要や日本企業への影響、取るべき対応などについて解説します。

事業を経営している方や、これからビジネスに挑戦していきたいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。

GDPRとは

EU一般データ保護規則(GDPR:General Data Protection Regulation)とは、欧州連合(EU)加盟国で個人情報の保護とプライバシーの確保を目的とする法律です。2018年5月25日に施行されました。

GDPRは、EU内およびEU市民のデータを取り扱うすべての組織に適用され、個人データの収集、処理、保存、転送などに関する規定が含まれており、個人の権利を保護するための基準を設けています。

GDPRで規制されている重要事項

GDPR(EU一般データ保護規則)には、個人データの管理に関する以下のような重要な事項が含まれています。

まず、個人のプライバシーを保護するための重要な権利として、本人は自身の個人データの削除を個人データの管理者に要求できます。個人は自身の個人データを簡単に取得し、別のサービスに再利用可能です。これを「データポータビリティ」と呼びます。

また、GDPRはサービスやシステムがデータ保護を基本概念として設計されることを求めているほか、法令違反時の罰則を強化しており、最大で売上高の4%または2,000万ユーロの罰金を科される可能性があります。

万が一個人データの侵害が発生した場合は、規制当局への通知、そして個人への迅速な通知が必要です。

最後に、GDPRでは監視、暗号化、匿名化などのセキュリティ要件を明確にしています。これにより、個人データのセキュリティが強化され、不正アクセスや漏洩のリスクが低減されます。

GDPRが施行された背景

GDPRが施行された背景は、1995年にEUデータ保護指令が採択され、EU加盟国では個人データ保護のための国内法を制定する指針とされたことにあります。

しかし、実際に制定される国内法は各国で異なったため、EU加盟国間で統一された規則を作る必要性が高まり、GDPRが制定されることになりました。

GDPRはEUデータ保護指令と異なり、「規則(Regulation)」として位置づけられ、法規則として直接効力を持つ特徴があります。これにより、EU加盟国間のデータ保護に関する規制が統一され、企業や組織による個人データの適切な管理と保護が求められるようになりました。

GDPRによる影響は?

GDPRによる影響は、EUデータ保護指令と異なり、GDPRではEU域内に物理的施設を保有しない場合でも適用の対象となる可能性があります。

具体的には、GDPRの第1章第3条で規定されており、EU域内に拠点のない管理者による個人データの取り扱いは、加盟国の国内法の適用がある場所で行われる場合にも、国際公法の効力によってGDPRが適用されるというものです。

つまり、GDPRはEU圏内の組織だけでなく、EUと取引を行っている全ての組織に影響を与えます。これにより、個人データの保護と管理に関する厳格な要件が課され、組織は適切なデータ保護措置を講じる必要があります。GDPRの遵守は、企業の信頼性向上や法的なリスクの軽減につながる重要な要素です。

GDPRの対象となる企業

対象となる企業は、次の通りです。

  • EU圏内に子会社・支店・営業所を有する企業
  • 商品やサービスの提供を日本からEU圏内に行う企業
  • 個人データの処理に関する委託をEU圏内から受ける企業

これらのGDPRの対象となる要件を満たす企業は、一般的な日本企業に当てはまるでしょう。企業はGDPRの要件を順守し、個人データの保護を適切に管理する必要があります。

GDPRに日本企業が対応するべきポイント

GDPRに日本企業が上手く対応するポイントとして、次の3点が挙げられます。

  • データ暗号化の導入
  • 適切なデータ管理措置
  • 制裁金リスクの認識

それぞれのポイントを確認し、GDPRに適切に対応していけるようにしましょう。

データ暗号化の導入

GDPRに対応するため、日本企業では個人データの暗号化が重要視されています。データ暗号化は、個人データの保護を強化するための重要な手段です。

日本企業は機密性を確保し、データ漏洩のリスクを軽減するために、保存や送信される個人データを暗号化する技術を導入し、データ保護を強化する必要があるでしょう。クライアントPCや記録メディア、共有フォルダなどでの暗号化を実現するために、専用ツールの導入の検討が求められます。

適切な暗号化技術でデータ暗号化の実施と管理を行い、個人データのセキュリティを向上させることが重要です。

適切なデータ管理措置

GDPRに準拠するために、日本企業は個人データの適切な管理が求められます。これには、データの正確性と最新性の維持、データの目的外利用の防止、データ保管期間の遵守、データ主体の権利の尊重などが含まれます。

日本企業はデータ保護責任者の指名やデータ処理に関する記録の作成・保持、安全管理対策の強化などを実施する必要があります。また、データの収集、処理、保管、削除に関する明確なポリシーや手順を策定し、従業員に対して適切な教育と訓練を行うことが重要です。

適切なデータ管理措置を整備し、法令要件に準拠する体制を整えましょう。

制裁金リスクの認識

GDPR違反には厳しい罰則があります。日本企業はGDPR違反による制裁金のリスクを認識し、適切な安全管理対策を講じるとともに、基本的な取扱い原則やデータ主体の権利の遵守が必要です。

違反による制裁金のリスクを最小限に抑えるため、内部コンプライアンス体制の確立や個人データの処理記録の保持、データ保護責任者の適切な配置など、GDPRの要件を遵守するための体制を整える必要があります。

GDPRへの対応策を継続的に評価し、適切なトレーニングやガイドラインの普及を行うことが重要です。さらに、制裁金の可能性に備え、法的アドバイスを受けることも推奨されます。

GDPRの具体的な施策例

企業内での具体的な施策例として、以下の方法があります。

  • データ暗号化ツールの導入
  • トランスポート層セキュリティ(TLS)の使用
  • データベースの暗号化
  • アクセス制御の導入

まず、自動的に暗号化を行うツールの導入を検討しましょう。また、データの転送時に漏洩や改ざんを防ぐため、TLSを使用して通信を暗号化することが大切です。データベースを暗号化することで、外部からの不正アクセスに対しても保護を強化します。

そして、アクセス制御を導入することで、データの不正利用や漏洩のリスクを低減できます。

GDPRを違反した際の制裁金

GDPRに違反した場合、厳しい制裁金が課せられる可能性があります。制裁金の額は、企業の全世界年間売上高の4%以下、もしくは2000万ユーロ以下のいずれか高い額です。

2000万ユーロは2023年6月現在のレートで約31億200万円に相当します。年間売上高の4%や31億円の制裁金と聞くと、一部の企業にとっては驚くべき額に思えるかもしれません。

しかし、実際にはすでにこのような莫大な制裁金が科された例が複数存在しています。

例えば、英国のデータ保護機関である情報コミッショナーオフィス(ICO)は、英国の航空大手であるBritish Airwaysに対して、GDPR違反の罪で1億8,300万ポンド(約250億円)の制裁金を科すと発表しました。これは2018年9月に発生した顧客情報流出事件に関連しています。

さらに、巨大プラットフォームであるGoogleも、個人データの収集やターゲット広告への利用に関する情報を適切に開示していなかったとして、5000万ユーロ(約62億円)の制裁金を科されました。

これらの例からわかるように、GDPR違反による制裁金は実際に存在し、企業にとって深刻な経済的影響をもたらすことがあります。そのため、企業はGDPRに対する遵守とデータ保護の重要性を認識し、予防策とセキュリティ対策に予算を投じることが不可欠です。

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まとめ

今回は、GDPRの概要や日本企業が対応する際のポイント、具体的な施策例、違反した際の制裁金などについて解説しました。

GDPRへの対応は多くの企業に求められており、違反した場合の制裁金負担も大きいため、正しい知識を持って対応することがポイントです。GDPRの遵守とデータ保護の重要性について再度確認し、対策していく必要があるといえます。

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