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2020年5月現在、コロナウイルスのパンデミックにより、インバウンド業界は深刻な状況にあります。今はプロモーションを打っても焼け石に水でしょう。
では、今できるのは何なのか?ひとつは、コロナウイルスの収束後、いち早く誘致施策に取り組めるように、受け入れ体制を整えておくことです。
そして、その時に訪日する人々の目的は、「外出制限といった閉塞的な日常からの開放」であると考えられます。騒動の沈静化後も当面は感染に用心が必要ですが、旅行によるリフレッシュ効果は大きいはずです。
となると、誘致する側は、相応の体験を提供しなければなりません。いわゆる「コト消費」への対応です。
本記事ではコト消費について、その定義や、モノ消費との違い、インバウンド市場での現状と注目される背景、そして具体事例を解説します。
コト消費とは?モノ消費との違いは?
コト消費とは、商品やサービスを通じて得られる「体験」に重きを置いた消費形態のこと。
経済産業省は、以下のように定義づけています。
「コト消費」とは、製品を購入して使用したり、単品の機能的なサービスを享受するのみでなく、個別の事象が連なった総体である「一連の体験」を対象とした消費活動のことである。
経済産業省 地域経済産業グループ/平成27年度 地域経済産業活性化対策調査 (地域の魅力的な空間と機能づくりに関する調査) 報告書
インバウンドでは、たとえば和装体験や寿司握り体験、田舎巡りなどがありますね。
このトレンドを更に深堀したい方は、『訪日韓国人集客の鉄則 – NAVERブロガーで9年間成功し続けているノウハウ公開』をダウンロードしてご覧ください。
コト消費とモノ消費の違いは何?
コト消費とよく対比されるのが「モノ消費」。経済産業省の定義は次のとおり。
個別の製品やサービスの持つ機能的価値を消費すること。
同上書
つまり、モノ消費での価値の基準は機能というわけです。一方コト消費では、価値の基準は体験になります。
モノ消費→物質的豊かさ重視
コト消費→精神的豊かさ重視
とも区別できますね。
インバウンドにもコト消費の波が!現状を解説
コト消費の現状と対策をもっと具体的に理解するために、『訪日韓国人集客の鉄則』の資料をぜひご覧ください。
近年のインバウンドでは、コト消費がひとつのトレンドになっています。その現状について、今から解説していきます。
コト消費需要は年々高まっている
上図は、訪日インバウンド客の消費内訳のうち、コト消費の色合いが最も濃い「娯楽サービス費」の購入率の推移を表したものです。
これを見ると、2012年には21.5%だったのが、2018年には約2倍の40.9%になったのが分かります。コト消費コンテンツに興味を示し、実際に楽しむ外国人が増えているのです。
コト消費の舞台は地方
上の図は、各コト消費コンテンツの体験率が高い地域をランキング化したものです。ここから分かるように、コト消費は都市部よりも地方で盛り上がっています。
訪れるのに時間と交通費がかかる分、地方のインバウンド客誘致には、都市部にはない相応の価値提供が必須です。それを実現する手段として、コト消費はカギを握るといってよいでしょう。
他国に比べると日本のコト消費総額は低い
前述のように、訪日インバウンドにおけるコト消費需要は年々高まってはいますが、海外に比べるとまだまだなのが現状です。
上図にある左のグラフは、OECD加盟国での旅行消費額内訳を表したもの。青枠で囲まれた項目がコト消費を指し、全体の12%を占めています。
そして、右のグラフが日本での旅行消費額内訳で、こちらも青枠で囲まれた項目がコト消費にあたります。訪日客のコト消費額は全体のわずか3.3%と、海外の4分の1程度です。
日本のコト消費対応は海外に比べ大幅な遅れをとっており、ニーズを満たすには全く至っていないことが読み取れますね。コンテンツの拡充が今後の課題です。
インバウンド客の消費がモノからコトへ変化している理由
そもそも、なぜインバウンド客の消費がコトからモノへ移っているのでしょうか?
理由は、彼らが物質的な豊かさよりも、精神面の豊かさを求めるようになったからです。
海外旅行というのは、経済的に成熟していないとできません。物流網やテクノロジーが発達した現代、そういった人にとっては、身の回りにすでにモノがあふれていて、新しく何かを買う必要性が低くなっています。
そこで次に、楽しさやスリル、感動などを体験し、心を充実させたいと彼らは考えはじめたのです。
これがコト消費拡大の背景です。もちろんモノの需要はなくなりませんが、今後はコトも同時に考えていく必要があります。
インバウンドにおけるコト消費の具体事例
コト消費といっても、いまいちイメージしにくい方も多いはず。ここからは、インバウンドにおけるコト消費の具体事例を2つご紹介します。
長野県飯山市・外国人向け観光農園「日本旅行ファーム」
1つめは、株式会社日本旅行とりんご農園「塩崎農園」が連携し、長野県飯山市にオープンした観光農園「日本旅行ファーム」の事例。
まさにコト消費需要への対応を狙いの一つとしていて、主なコンテンツはりんご狩りとサイクリングです。大きくて甘い日本のりんごは、近年海外で話題になっています。そして、日本の原風景を満喫できるサイクリングは、ほかの地域がすでに集客に成功しています。どちらのコンテンツも、インバウンド客にウケる素養があるわけですね。
実際、ある1日でアジア圏の訪日客30人が同園を訪問し、りんご狩りを楽しんだそう。食や地方ならではの景色は体験と組み合わせやすく、今後のコト消費コンテンツの主流になるでしょう。
参照:観光経済新聞/「日本旅行、りんご園に在日外国人を招待」
中部・北陸地方の新たな観光コース「昇龍道」
2つめは、中部・北陸地方の推進協議会が開発した、新たな観光コース「昇龍道(ドラゴンルート)」の事例。
東京〜大阪間の観光スポットや都市を結ぶ「ゴールデンルート」は、すでにインバウンド界の周遊ルートの定番でした。これに加え、愛知・岐阜・富山・石川の4県を縦断するドラゴンルートも、近年注目を集めています。能登半島の形が龍の頭に似ているため、その名が付きました。
ドラゴンルート上には名古屋城や白川郷、金沢城など多くの人気スポットがあり、観光客は寄り道をしながらいろんな地域の自然や文化を体験できます。ルートの名前に「龍」が入っていて縁起が良いということで、特にアジア人からの人気が高いようです。
大きな規模でみると、地方を丸ごとコト消費コンテンツにする事例もあるわけですね。
まとめ:訪日客に「体験」を提供しよう
訪日韓国人の具体的な集客方法については、『訪日韓国人集客の鉄則』のダウンロード資料でしっかり学んでいただけます。
新型コロナ騒動の収束後、インバウンド客にわざわざ足を運んでもらうには、やはり相応の価値提供が欠かせません。そこで必要なのがコト消費への対応だというのは、ここまでお話してきたとおりです。
自社が訪日客に提供できる、価値ある「体験」とは何か?これを考える際、豪華な体験が必要と考える方も多いのですが、そうではなく価値ある体験です。飲食店であれば記念撮影とか、そういう小さなコトからはじめていくのも良いと思います。
日本のコト消費需要はこれからですから、インバウンド対策の一環に、取り組みをぜひ検討してみてください。
ご興味のある方は、以下リンクからダウンロードしてご活用ください。
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