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ビジネスニーズが国内から海外へと広がっていく中で、多くの企業が導入を進めているのが多言語化 Web サイトです。Webサイトの多言語化を進めていく上では、既存の日本語サイトを機械的に翻訳するだけでは至らない部分もあります。(というより、機械翻訳は多くの場合、デメリットの方がメリットに勝るのです…)
ご覧の通り、多言語化Webサイト構築には多くの考慮が必要です。さらに詳しく知りたい方は、弊社が提供する「会社概要・事例集・対応可能な国&施策まとめの3点資料セット」をダウンロードしてご覧ください。この資料セットでは、実際の支援事例を通じて、海外展開に関する様々なインサイトを得ることができます。こちらからお手に取れます。
今回は、多言語化Webサイトから上手に集客を集めるために、押さえておきたい制作のポイントをご紹介します。
多言語化サイトに必要な要素
まずは、多言語化サイトに必要な要素から確認していきましょう。
言語翻訳
多言語化というだけあり、まず大切なのは言語のローカライズです。海外向けに Web サイトで情報発信を行うとなると、一番に想起されるのが英語への翻訳対応ではないでしょうか。
確かに英語はグローバルスタンダードな言語であるため、少しでも多くの国の人々に立直したいとなると、有効な方法です。ただ、日本では日本語が公用語として浸透しているように、必ずしも全ての国で英語が等しく利用されているとは限りません。
中国では中国語が、韓国では韓国語が、フランスではフランス語が公用語であるように、一般大衆にまで英語が浸透している事例は、実は意外と少ないと言えます。
もちろん、英語が堪能なビジネスマンや研究者向けにアプローチするなら英語だけで問題はありませんが、一般の消費者に向けてECなどを展開する場合、現地の公用語に合わせるのが有効です。そのため、展開する地域に最適化された言語で、サイトを構築するのが理想的です。
余裕があれば、翻訳より「リライト」
また、余裕があれば「翻訳」ではなく、「リライト」をより強くお勧めします。
多言語 Web サイトでは、そもそも見る人が全く異なります。当たり前の話ですが、海外の消費者は、日本の消費者と比較して、ただ使う言語が違うというだけでなく、文化背景や、日本に対する理解なども、そもそも前提の部分が異ります。
多くの場合、日本語の Web サイトにある文言は、日本人を想定して書かれているもので、それは「日本人であれば当然わかるよね?」という前提条件のもと書かれているものが多いです。しかし、それをただ訳してしまうと、「言葉足らず」で Web サイトを見る海外の消費者にとっては理解できない場合が多いのです。
そして、そういったケースは、日本特有のサービスや製品にこそ多く発生しますので、多言語化 Web サイトを作る際には、「翻訳」に加えて、さらに「加筆・リライト(書き直し)」を強くお勧めします。
デザインのローカライズ
地域が違えば言語が異なるだけでなく、文化や慣習も違います。感覚的な問題と思われることもありますが、地域差が大いに現れている例としてWebデザインが挙げられます。
Webサイトのデザインは、国内外で比較してみると様々な違いが見て取れます。フォントの違いや構成、配色、サイドバーの位置など、地域によって好まれるデザインは様々です。それらが現地の人にとっての「見やすさ」につながるので、情報をより効果的に伝えたい場合、ここは押さえておくべきポイントになります。
また各国では、その時期に流行しているデザインがあります。デザインをローカライズすることで、よりその国の消費者に、ブランドのイメージを効果的に伝えることができますし、さらには、現地消費者に「あ、このブランドはちゃんと私たちの国へ進出しているんだ(ちからを入れているんだ)」という、信頼感にもつながります。
したがって、Webサイトの集客力をさらに高めるためには、デザインのローカライズも実施する必要があります。現地の消費者に親しまれているデザインを用いることで、より地域密着型のサイト運営を進められます。
海外向け運用体制の構築
既存のWeb運用環境が国内に特化している場合、新たに海外向けの運用体制を整える必要があります。
プライバシーポリシーの作成や問い合わせ環境の拡充、決済システムの最適化や発送体制など、国内向けとは異なる対応が求められます。
また、どんな体制を整えなければいけないのかについても、国によって違いがあるため、サービスを提供する国に応じた環境構築も必要です。
言語ごとのSEO対策
検索結果上位に表示させるためのSEO対策は、言語が違えば日本語とは異なる対策が求められます。
基本的なアルゴリズムについてはどの言語でも同様の仕組みが採用されていますが、逆に言えば外国語に対しても日本語同様の分析と、詳細なアウトプットが求められるということです。
その国の言葉に精通していなければ対応は難しいため、新たな人材確保や委託先の調査などに取り掛かる必要があるでしょう。
言語翻訳のポイント
ここから、多言語サイトに必要な要件を満たすためのポイントをご紹介します。まずは言語翻訳からです。
ネイティブ人材を起用する
言語翻訳において重要なのは、まず現地の言葉を理解できる人材の確保です。
ネイティブ人材を招き入れることができれば、言語のローカライズにおいて強力な力を発揮してもらえるでしょう。
ネイティブ人材の魅力の一つが、言語感覚が現地の消費者と同じであるという点です。どんな言葉遣いを好むのかだけでなく、時代によって変化する言葉の使い方にも柔軟に対応できるため、ターゲットとする年齢層に合わせた、最適な訳語を当てはめてもらうことができます。
日本語と外国語では言葉の成り立ちが大きく異なるため、中国語や韓国語以外の言語ではコピーライティングなどの場面では異なるノウハウが求められます。
ネイティブ人材であれば言葉の音感など、現地の人に馴染みやすい言葉選びのサポートもしてくれるので、より親しみを持ってもらいながら現地に最適化することができます。
こういったアプローチでのローカライズは、その国の言語の初歩的な知識や、機械翻訳だけでは非常に困難です。
翻訳データベースを拡充する
多言語サイトの構築においては、翻訳データベースを拡充することも大切です。
これは日本語でも同様ですが、基本的に単語や言葉遣いにおける表記ブレは良いものではなく、サイトを通して一貫性を持たせることが重要です。
しかし、複数人でサイト内コンテンツを拡充しようとすると、各々が異なる言葉遣いや表現方法で情報を発信してしまうケースもあります。
そのため、あらかじめマニュアルなどを共有して、コンテンツの統一を進めなければなりません。
これは、翻訳作業においても同様です。日本語を他の言語に翻訳する際、表現の仕方は必ずしも一通りではないので、時として表現のギャップが大きくなってしまうケースも考えられます。
特に固有名詞や数値表現などには違いが出てしまいやすく、あらかじめ翻訳データベースを作成し、そこへ準拠させる必要があります。
多言語サイトを運営する上では、コーポレートサイトだけでなく、Webメディアやオンラインショップ、スマホアプリなど様々なチャネルへの展開も想定されます。
新たなチャネルにおいても元のサイトとの翻訳内容に差が生まれないよう、そして翻訳効率を高める上でも、翻訳データベースを早期から構築しておくことは重要です。
海外向けデザインのポイント
続いて、海外向けデザインを展開するためのポイントをご紹介します。
国ごとに最適なデザインの提供がベター
海外向けのデザインを意識する際、こちらも言語と同様、その国に合わせたデザインの提供が求められます。
例えば、日本とアメリカのサイトデザインの特徴を見ていきます。日清食品が提供する「カップヌードル」の商品ページを覗いてみると、両者に微妙な違いが見られます。
日本の「カップヌードル」の紹介ページでは、テキスト主体で1ページに様々な製品情報がギュッと詰まっている設計になっています。
一方、アメリカの商品紹介ページを見てみると、一枚のチラシのようにシンプルで、キャッチーな配色や商品紹介が掲載されているのが特徴です。
もちろん、後者のサイトにも成分表示などは存在するものの、別途ポップアップで表示する仕組みを採用しており、ビジュアルでのわかりやすさを強調していることが明らかです。
このように、例え同じ商品でも読み手のニーズに即してサイトデザインを変更することは、非常に重要です。
多言語化を前提としたグラフィックを作成する
グローバルに通用するデザインを一つ用意し、ユーザーに合わせて表示言語を変更するという手法も有効です。
ただし、この場合はテキストをデザインにそのまま流し込むことになるため、言語によっては日本語向けに用意していたスペースでは不足してしまう可能性もあります。
スペースが対応言語に合っていないと、文字が被ったり表示されなかったり、Webデザインが崩壊してしまうケースもあります。
あらかじめ表示言語も想定したデザインを採用しましょう。
運用体制構築のポイント
運用体制の構築においては、以下の2点が重要です。
一元管理可能な運用体制を実現する
一つは、一元管理可能な運用体制の実現です。対応言語に合わせてサイトを複数持つことは大切ですが、それらを別個に管理すると、後の作業が大変になります。
顧客情報がサイトごとに分離したり、ローカライズ対応にズレが生じたり、問い合わせを別個に対応しないといけなかったりと、多くの混乱が懸念されます。
こういった事態を防ぐためにも、言語やデザインこそ異なるものの、バックオフィス業務は一元化できる仕組みを整えましょう。
問い合わせ環境を拡充する
問い合わせフォームの設置やメールの受付などは、顧客と直接コミュニケーションが行える貴重な機会です。
この機会を無駄にしないためにも、その国のユーザーに最適な問い合わせフォームの設置と、対応スタッフを備え、高い満足度を実現しましょう。
ネイティブ言語に堪能なスタッフに業務を依頼することで、円滑なコミュニケーションが期待できます。
SEO対策のポイント
最後に、SEO対策のポイントです。
機械翻訳を避け、うまく外注を活用しましょう
上でも少し触れいていますが、機械翻訳はSEO対策の面でも適切でない方法です。
SEO対策はその国のユーザーに必要な情報提供が行えることで達成できます。機械翻訳だと表現が適切でないばかりか、情報を正しく発信できない可能性もあるため、有効ではありません。
人間のローカライズ担当者を配置し、テキストの翻訳を進めましょう。
どうしても難しい場合は、翻訳のクラウドソーシングサービスなどを活用して、安価にプロの翻訳者に翻訳してもらいましょう。外注で多言語 WEB サイトの翻訳を依頼する際に、重要なのはそのサイトのメッセージや、トーン、ブランドのイメージなどをしっかりと伝えることです。
例えば、高級ホテルの翻訳であれば、翻訳のトーンは丁寧な口調ですし、ポップなアパレルブランドであれば、そのブランドイメージに合うように、言葉もすこしくだけた感じが良いなど、ただ言葉を訳せばいいというわけではありませんので、ここは意外と見過ごしがちな重要なポイントです。
対象国の検索エンジンやキーワードを調査する
SEO対策をより確実に進めるためには、その国のユーザーがどんな情報を求めているかを調べることも大切です。
地域によって検索キーワードのトレンドは大きく異なるため、トレンドワードや検索される機会の多いフレーズを知っておくことは重要です。
現地の感性に即したキーワード選びを実施し、必要とされる多言語サイトへとアップデートしましょう。
あらゆる角度から多言語サイトのSEO対策を考えることは非常に重要です。「会社概要・事例集・対応可能な国&施策まとめの3点資料セット」では、これらの対策に役立つ具体的な情報を提供しています。より充実した戦略を構築するための重要なヒントを手に入れたい方は、資料をダウンロードしてみてください。無料ダウンロードはこちら。
おわりに
多言語サイトの構築は、単に機械翻訳でローカライズするだけでは不十分です。
この記事でご紹介した各ポイントは、成功に導く多言語Webサイトのローカライズを始めるにあたってのスタートラインです。実際の事例やより詳細なストラテジーが必要な場合、弊社の「会社概要・事例集・対応可能な国&施策まとめの3点資料セット」がきっと役に立つでしょう。今すぐダウンロードして、ご自身のビジネスに活かす情報を見つけ出してください。ダウンロードページへ。
ネイティブによる言語チェックや、デザインの最適化、運用体制の構築など、実施すべき項目は様々です。一つずつ必要な要件を満たし、満足度の高いサイト構築を実現しましょう。
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