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中国の社会では、インフルエンサーたちが日本とはケタ違いの影響力を持っています。
2018年のインフルエンサーマーケティングの市場規模は、日本が219億円だったのに対し、中国では1兆7,000億円にものぼりました。その差、実に77.6倍です。彼/彼女らの影響力は、訪日インバウンドや越境ECにも活用できるでしょう。
そんな中国インフルエンサーの中には「網紅(ワンホン)」という人たちがいます。同国へ向けたマーケティングでは重要な存在なのですが、一体どんなインフルエンサーなのか知らない方も多いのでは。
本記事では網紅について、その概要や実態、影響力のほか、企業の活用方法などを解説していきます。
網紅とは?
網紅とは、動画投稿やライブ配信をメインに活動するインフルエンサーのこと。「ワンホン」と読み、網はインターネット、紅は人気を意味します。中国版YouTuberといわれることもありますね。
動画やライブでフォロワーに向けて商品・サービスの紹介をし、出演料や紹介料といった報酬を受け取るのが網紅の主な収益モデルです。内容は
・美容
・旅行
・ガジェット
・料理
・学習
・スポーツ
・お笑い
などさまざま。用いられる媒体も幅広く、
・Youku
・Bilibili
・抖音(TikTok)
・快手(Kuaishou)
・小紅書(Red)
・淘宝直播(Taobaoライブ)
・Weibo
・WeChat
などが挙げられます。
網紅とKOLは何が違う?
中国のインフルエンサーには「KOL」と呼ばれる人たちもいます。網紅とは何が違うのでしょうか。
KOLは「特定分野に関する専門知識が豊富なインフルエンサー」を指します。網紅にも知識は求められるものの、KOLほどではありません。また、KOLは動画以外の媒体でも活動しています。
ただ、両者の境界は年を経るごとに曖昧になってきました。実際、あるサイトでKOLと紹介された人が、別のサイトでは網紅とされているケースもあります。そのうち同じような意味合いで解釈されるようになるかもしれません。
網紅の実態・影響〜網紅の属性や有名人〜
冒頭で述べたとおり、網紅の市場規模は2018年に1兆7,000億円に達しました(*1)。2020年には3兆円にまで拡大すると見られています(*2)。
網紅は「網紅経済」と呼ばれるほどの一大市場を形成しており、現在の中国では彼/彼女らを活用しないと購買に結びつかなくなっているほどです。
そんな網紅はどんな属性の人たちなのか、iResearchの資料をみていきましょう(*1)。
【生年】
2000年代:6.6%
1990年代:31.8%
1980年代:54.0%
1980年より前:7.6%
【性別】
男性:49.9%
女性:50.1%
【地域】
一級都市:35.3%
二級都市:27.6%
三級都市:17.3%
四級以下:14.3%
香港・マカオ・海外:5.4%
【学歴】
高校・中学:5.5%
大学専科:16.9%
大学本科:63.0%
修士:12.8%
博士:1.8%
「都市部に住む20〜30代の比較的高学歴な人」というのが典型的な網紅像です。
有名な網紅には、例えばこんな人がいます。
・タオバオライブの開始4ヶ月で15億円を売り上げ、フォロワー2,500万人を抱えるアパレル系女性網紅「薇娅(ウェイヤー)」
・年間最大の買い物デー・ダブルイレブンの日に口紅を32万個(10億円相当)売り上げた美容系男性網紅「李佳琦(リー・ジアチー)」
売り上げの数字を見ると、網紅の影響力の大きさがお分かりいただけるはずです。
ただ、網紅全体の収入のうち、68%を上位0.7%が独占しており、まさに弱肉強食の世界だといえます(*3)。
*1:iResearch・微博/2018年中国网红经济发展研究报告
*2:中国产业研究院/2020年中国网红经济市场前景及投资研究报告
*3:今日网红/2018直播行业半年报:火山收入超映客,市场格局变化中;冯提莫、摩登兄弟走红
なぜ網紅の影響力はここまで強いのか
なぜ、網紅の影響力はここまで強いのか。
理由の一つに、国内企業への不信感があります。中国では商品偽装や虚偽広告が蔓延しており、消費者は企業のモノやコトバをあまり信用していません。だからこそ、第三者である網紅の発する口コミや感想が広く受け入れられるのです。
……といっても、網紅の声は作為的・ステマ的なものではないのかという疑問が湧きますよね。これについて網紅は、商品やサービスの良い点も悪い点も包み隠さず解説し、さらに視聴者の質問へ懇切丁寧に回答するといった誠意で対応しています。
また一般に、トップクラスの網紅は、案件を受けるかどうかを報酬ではなく商品価値で判断します。報酬で動くと企業にとって都合の良い情報しか出さざるを得なくなり、その結果、国内企業と同じ轍を踏むと分かっているからです。
結局は信頼というわけですね。こうした姿勢と卓越した発信力により、数千万人もの消費者の意思決定を左右するカリスマ性を持つようになりました。
網紅マーケティングにおけるその他の深い洞察を求める方は、弊社の詳細資料をご参照ください。会社概要から実際の支援事例、対応可能な国と施策に至るまで、より具体的な情報を提供しております。
網紅活用のポイント
網紅活用にはいくつかのポイントがあります。失敗を避けるために、以下の事柄は押さえておきましょう。
ターゲットを厳密に定義する
1つめはターゲットを厳密に定義すること。ペルソナというやつですね。
誰に伝えるかが曖昧だと、メッセージは誰にも伝わりません。入念なリサーチを重ね、その情報を元に相手を1人にまで絞りましょう。
フォロワーの多い網紅を選べば良いというわけではない
網紅の選び方は、自社の商材ジャンルと関係があってフォロワーの多い人……というような単純な話ではありません。
場合によっては、「微網紅(ウェイワンホン)」と呼ばれる小規模な網紅のほうが効果的なこともあるでしょう。
有名網紅に比べるとフォロワーが格段に少ないものの、微網紅は専門知識や差別化戦略によって狭く深い範囲で強い影響力を持っています。その結果、抖音(TikTok)のEC売上でトップを取ることも珍しくありません。フォロワー1,500人の微網紅がトップ20に入ったケースも。(*)
ただフォロワー数で決めるのではなく、
・とういうターゲット層に対して強みを持つのか
・どんな情報発信のスタイルなのか
・どの程度の知識を持っているのか
・どんなプラットフォームを利用しているのか
・過去にどんな動画を配信しているのか
といった詳細もリサーチし、本当に自社に合った人材を探しましょう。
*:ebrun/微网红工厂批量生产子版李佳琦薇娅 有可能弯道超车吗?
網紅に注文を付けすぎない
網紅によるプロモーションは、その網紅のキャラクターがあってこそです。したがって、企業が紹介の仕方や演出などに口を出しすぎるのは良くありません。動画や配信に個性がなくなってしまうでしょう。
網紅の考えを最大限に反映した訴求が大切です。
https://lifepepper.co.jp/inbound/
網紅活用に関するポイントは多々ありますが、具体的な事例や戦略は、弊社がまとめた資料セットでご紹介しています。リード獲得に役立つ実用的なケーススタディをぜひご覧ください。
活用事例
活用したい網紅が決まれば、次はどのような動画コンテンツを作成していきたいのか、企業と網紅との間で決定していく必要があります。また、誰にどのようにPRしたいのかを明確にしなければ、影響力のある網紅での効果が薄れる可能性もあります。
それらをふまえた上でどのような動画コンテンツが作り上げているのか。実際の具体例を紹介していきます。
事例①
メイクアップアーティストとして活躍しているPONYさん。
動画内で実際にメイクを行いBefore/Afterを見せることで人気を博してきました。従って彼女の得意分野は「美容系」であり、美容会社は彼女に動画内で会社商品を使ったメイクの実践を行ってもらうことで、販売数を向上させています。こちらの動画では4,000人以上のコメントが付いています。
■ 参考
Lovery Ponyのメイク術解説!韓国の美人すぎるメイクアップアーティスト!
https://lovely-media.jp/posts/5051
事例②
Weibo内で「这里是日本」というページを運営している陳寧欣さん。彼女は元々留学生として来日し、旅行好きであったことから日本の観光名所を発信していました。その結果次第にフォロワー数は増えていき、今では150万人以上のフォロワーがいます。従って彼女の得意分野は「旅行系」のコンテンツです。
■ 参考
DIAMOND online在日中国人が「真の日本」を発信するSNSが中国で大人気
https://diamond.jp/articles/-/167775
まとめ
今回は中国のインフルエンサー・網紅について、その実態や影響力の背景、活用のポイントなどを解説してきました。
消費者の意思決定を大きく左右する網紅は、インバウンドや越境ECのプロモーションにおいても重要な存在です。集客のために、ぜひ活用を検討してみてください。
その上で、網紅に関して不明点等ございましたら、弊社LIFE PEPPERへお気軽に相談していただければと思います。
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