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海外戦略設計の重要性と成功のポイント・事例を解説

日本国内だけでなく、海外進出を検討する企業は増加傾向にありますが、国内と海外では取るべきマーケティング施策が異なります。海外進出を成功させるためには、十分な知識と効果的な戦略の実行が欠かせません。

本記事では、海外戦略の概要や重要性について解説した後、海外進出を考える企業の主な目的や戦略設計のポイント、成功事例などを紹介します。海外進出における失敗を防ぐために、ぜひ参考にしてください。

海外戦略(グローバル戦略)とは

海外戦略(グローバル戦略)とは、競争優位性を高めるために、国内だけでなく世界的な市場でビジネスを展開するための経営戦略です。

企業が海外でも生き残っていくためには、世界市場で同じ需要がある地域やターゲットを見つけ、商品やサービスを提供していくことが欠かせません。また、競合他社に負けない戦略を実行することで、事業を長く存続させ、売上を確保していけるでしょう。

そのため、海外進出をする企業にとって、海外戦略(グローバル戦略)を持つことは必要不可欠といえます。

本文中ではご紹介していますが、より深く海外戦略について学んでいただけるよう、会社概要や成功事例を含む『会社概要・事例集・対応可能な国&施策まとめの3点資料セット』をご用意しております。詳細については、こちらから無料でダウンロードいただけます。

海外戦略(グローバル戦略)の重要性

海外進出において、海外戦略(グローバル戦略)を持つことが重要視されている背景には、日本の人口減少や少子高齢化の進行が挙げられます。今後、国内市場だけでビジネスを展開すると市場の規模が縮小し、売上拡大に限界が生じてしまいかねません。

一方、世界的な市場では人口の増加に伴って新しい市場が開拓されており、ビジネスチャンスが広がっています。また、海外進出により企業は新たな知識や技術、ビジネスモデルを獲得し、国内に還元することで、国内市場でも競争力を高めることができます。

海外進出の主な目的

国内企業が海外への事業進出を考える主な目的として、次の4つが挙げられます。

  • 市場開拓・売上増加
  • コスト削減
  • 材料調達
  • 取引先からの依頼

それぞれの目的について、概要やメリットを解説しますので確認していきましょう。

市場開拓・売上増加

内閣府の資料によると、日本の人口は2010年の1億2,806万人から減少傾向にあり、2020年現在は1億2,532万人、2030年には1億1,913万人、2055年には9,744万人まで減少すると予測されています。同時に、高齢者の割合が増加し、全体の3割に達する見込みです。

このような人口構造の変化により、国内市場は縮小傾向にあるため、新たな市場を開拓するために海外進出する企業が増加しています。海外進出には、グローバル市場での需要の拡大や新規市場の開拓、海外からの新しい知識や技術の獲得など、多くのメリットがあります。

また、海外進出により企業はグローバルな視野を持ち、国内市場でも競争力を高められるため、売上増加にも繋がるでしょう。

出典:https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h28/html/nc111110.html

海外市場開拓に実際に成功した様々な企業の事例集は、こちらのリンクからご覧いただけます。具体的な戦略の参考にしていただければと思います。

コスト削減

アジア圏は物価が安く、人件費や原材料、資材などコストを抑えることができます。また、日本より法人税が安い国も多く、多くの利益を得られることがメリットです。

しかし、その環境も長くは続かず、経済発展によって急激な人件費や原材料の高騰が起こりました。そこで、「世界の工場」と呼ばれていた中国での生産から、コスト削減を目的として東南アジアへ進出を検討する企業が増えているのが現状です。具体的な進出先は、フィリピン、ミャンマー、ベトナムなどの新興国が挙げられます。

現在、東南アジアへの進出はコスト削減に繋がると言われていますが、今後人件費が高騰する可能性もあるため、企業は進出先の国の労働市場の動向を正確に予測することが求められます。

材料調達

製造業において、原材料や部品は製造に関わる全体の60%を占める高いコストがかかっています。そのため、材料調達において重要視されるのは、「いかにコストを削減できるか」といったポイントです。

ただし、海外は日本のように優良品質で大量生産が可能な企業が数少なく、安定して製品を取り揃えるためには、複数の調達先を確保する必要があります。材料調達を行う際には、納品先が求める品質と製造現場で製造可能な品質を確認し、求められている品質を提供できるか見極めることが大切です。

また、低品質でも問題がない場合は、日本国内で求められる高品質な材料を使用する必要はないでしょう。そのため、現地調達できる材料の使用によってコスト削減できることがメリットです。

取引先からの依頼

日本のものづくりは高い精度と生産技術力があり、世界一とも言われています。そのため、海外企業から進出要望が出される場合もあるでしょう。また、既に取引している企業から要望があった場合、海外での大口取引となり、自社でも進出を検討する必要があるかもしれません。

しかし、どちらの場合においても「進出後に取引の確実性があるか」「単に安価な取引にならないか」など、自社が確保できる利益について考える必要があります。「せっかく準備を揃えて海外進出したのに、利益に繋がらなかった」となってしまわないように、進出前には十分な確認を行いましょう。

また、事前に契約を結ばなかった場合は大きな損失を被る可能性もあるため、注意してください。

海外進出の戦略設計のポイント

ここでは、海外進出の戦略設計のポイントについて次の3点を解説します。

  • 自社の強みと弱みを理解する
  • 海外進出における課題や改善点を見つける
  • 進出期間や予算について計画する

1つずつ紹介しますので、海外進出を成功させられるようにしましょう。

関連リンク:

自社の強みと弱みを理解する

市場調査を行う企業の多くは、市場規模や顧客ニーズのほか、競合企業、規制・法律・商慣習、パートナー企業などの項目を中心に調査と分析を行っています。しかし、市場調査だけでなく、他社に勝つための自社の強みや改善が必要な弱みを分析し、自社について理解することも欠かせません。

海外進出に成功している企業には、自社ならではの強みや魅力が必ず存在します。そのため、競合他社との差別化を図るためには、自社が持っている武器について理解し、アピールしていくことが大切です。

自社の強みや弱みを可視化させるためには、「SWOT分析」の活用がおすすめです。SWOT分析とは、「Strength(強み)」「Weakness(弱み)」「Opportunity(機会)」「Threat(脅威)」の頭文字から成り、これら4つの要因を「プラス要因/マイナス要因」「内部環境/外部環境」の観点から整理する分析手法です。

市場調査に加えて自社分析にも注力することで、より効果的なビジネス戦略を構築していけるでしょう。

海外進出における課題や改善点を見つける

日本企業が海外に向けて事業進出する場合、国内でビジネスを行うよりも多くの課題に直面することが予想されます。主な課題として挙げられるのは、次の4つの要素です。

  • 優秀な人材の不足
  • 言語・コミュニケーションの違い
  • 商習慣・文化・法律の違い
  • 海外に関する情報の不足

上記の要素は進出先や業界によって異なる場合もありますが、具体的な課題を発見し、自社で取るべき対策を考えることが欠かせません。そのほか、外国人材の定着率の低さや育成の難しさ、政治情勢の影響、適切なパートナーを見つけられないなどのリスクも懸念されるため、注意が必要です。

海外進出においては、これらの課題やリスクを事前に認識し、対策を練ることが重要です。進出する国や業界に合わせて自社で慎重に検討した上で、進出先での情報収集をしっかりと行いましょう。さらに、現地のパートナーやアドバイザーとのコミュニケーションを密にし、スムーズな海外進出を目指すことが求められます。

進出期間や予算について計画する

海外進出には、市場調査や進出手続き、海外事業担当者の配置などの準備が必要です。これらを行うと、一般的には2年ほどの期間がかかると言われています。ITやWeb業界の場合はインターネットを活用することでオンライン上で完結できる作業が多いため、より迅速に進出可能です。

大企業の場合は部署が多いため、海外新規事業担当者の配置は比較的容易に行えるでしょう。一方、中小企業は人材が限られており、既存の業務と並行して海外進出を行うことが多いため、計画的な期間を設定し、準備を進めることが欠かせません。

ただし、海外進出によって必ずしも利益を確保できるとは限らないため、注意が必要です。初期段階では、市場調査やトラブルなどで想定以上に費用がかかることも考えられるため、十分な資金を用意しておきましょう。

また、資金繰りの難しさから、事業を撤退せざるを得ないことがあるかもしれません。リスクを抑えるために、海外進出のための補助金や助成金が受けられるかどうか、またその条件についても事前に調査しておくことが大切です。

弊社がご支援した多くの企業の海外戦略設計ポイントをまとめた資料をご用意しています。詳しい内容に関しては、こちらのリンクからダウンロードしてご覧ください。

海外進出においてコストを削減する方法

海外進出には、多くのコストが発生します。とはいえ、コストばかりかけていては黒字化が遅れてしまうため、コストを削減するための対策が欠かせません。

ここでは、「モノ」「ヒト」「カネ」の動きについて理解し、コストダウンさせるための方法について解説します。

モノの動きを理解する

越境ECや製造業などの業界では、会社設立に必要な小さな荷物から大量の貨物まで、日本国内から海外への輸送が欠かせません。その際、物流コストは必ず発生するため、モノの動きに対してどの程度のコストが必要なのか、把握しておく必要があるでしょう。輸送方法は航空便と船便の2種類があるため、スピードと費用のバランスを考えて選択しなければなりません。

また、海外への配送には、税関手続きや複雑な書類作成が必要になりますが、自社で行うのは面倒だと感じることがあるかもしれません。自社のリソースに余裕がない場合、配送代行会社に依頼することで手間を省けます。配送代行会社は、配送から書類作成までを一貫して行ってくれるため、煩わしい手続きを外注できることがメリットです。

このように、物流コストを削減するためには、まず輸送方法についてしっかりと検討し、適切な手段を選択する必要があります。また、配送代行会社を利用することで、手続きの手間を省いて人件費と時間を削減できるため、物流戦略について考えていきましょう。

ヒトの動きを理解する

海外進出を考える際は、事前に市場調査を行い、現地へ足を運んで情報を収集する必要があります。また、進出が決定すると、現地法人の立ち上げや現地パートナー企業との契約など、現地での作業が増えるため、必然的に日本と海外を行き来する回数が多くなるでしょう。

このような日本と海外の行き来において、必ず発生するのが移動費です。移動費を抑えるためには、旅行会社が用意している海外出張向けの特別航空券を利用して割安にチケットを手に入れたり、出張プランを利用したりなどの方法があります。

移動費については、LCC(格安航空会社)を利用すると、チケットをさらに安く入手できます。しかし、旅行会社では取り扱いが少なく、自分でリサーチする必要があるため注意しましょう。

そのほか、日程変更や追加サービスなどの修正は自分で行う必要があるため、時間コストは上がってしまいます。とはいえ、作業に慣れればお金と時間の両方のコストを抑えられるため、費用を削減するために取り組むことも方法の一つです。

カネの動きを理解する

海外とのやり取りには、物の輸送や人の移動のほか、為替や海外送金など、お金が動くたびに高額なコストが発生してしまいます。そのため、お金が動くことでどの程度のコストが発生するのか、事前に検討しておく必要があるでしょう。

お金を動かす際、以前は銀行がお金の送金を担っていましたが、現在では利便性の高いオンライン決済サービスが登場しています。ペイパルやアリペイのような便利なサービスを利用する企業も多く、高い人気を集めています。

ただし、銀行によってはオンライン決済サービスに特化したサービスを提供しており、「個人向け・法人向け」「国内受け・海外送金に特化している」などのサービスを選択可能です。

このように、銀行の中でもサービスが分かれていたり、便利なオンライン決済サービスが存在したりと、さまざまな方法でお金を移動させられます。自社に最適な手段を選択し、活用することで、高額な海外送金料や受取手数料などのコストを削減しやすくなります。

海外戦略の成功事例

海外進出における戦略に成功した事例として、LIFE PEPPERがマーケティングを提案させていただいた3つの企業を紹介します。

行った施策や効果についてまとめましたので、ぜひ海外進出の参考にしてください。

丸和繊維工業 様

丸和繊維工業様は、台湾市場向けに高品質なシャツを提供しており、弊社はプロモーションを支援させていただきました。

まず、台湾向けのブランドECサイトを制作しました。そこで、高品質な日本製品のイメージを伝えるための施策として、動画やハイクオリティな画像を使用しています。また、シャツに施された「動体裁断」という特殊な技術の特徴を表現するために、世界で活躍するパフォーマーを起用して動画コンテンツを制作しました。

台湾では、商品を購入する前に第三者のリアルな口コミを確認するという文化があります。そこで、ブロガーによる記事を複数配信した後、WEB広告と絡めたインフルエンサープロモーションを実施したことで、Facebook上で多数のシェアを獲得し、商品の認知度向上に貢献しました。

参考:https://lifepepper.co.jp/works/maruwa/

ハシーグループ 様

株式会社ハシモトの販売部門であるハシートップイン様は、おもちゃのOEM事業、オリジナル商品制作事業、海外工場運営事業などを手がけています。

事業を行っていく中で、ハシーブランドの海外展開において海外向けのECサイトが必要になったとのことで、弊社に依頼をいただきました。具体的に行ったのは、海外向けのWebマーケティング支援サービスや越境ECサイト制作支援、海外向けPR支援サービスなどによる、一般顧客とバイヤーの両方に対応できるECサイトの制作です。

ECサイトの仕上がりとして、中国の現地工場スタッフに見せても違和感がなく、海外のバイヤーと消費者のそれぞれに対して管理・販売できるサイト作りに貢献しました。

参考:https://lifepepper.co.jp/works/hashy/

TOKYO KART 様

TOKYO KART様は、訪日外国人向けのインバウンド事業として、公道レンタルカートツアーサービスを提供されています。元々は人力車による観光案内事業を展開しており、そのノウハウを元にしたインバウンドのツアーサービスを行っているようです。

事業の立ち上げに際して集客を強化するために、リスティング広告やインバウンドマーケティング・プロモーションなどの施策についてご相談いただきました。施策の効果については、英語圏向けのインバウンドプロモーションにより、サービスの開始当初はカート数が6台だったのに対し、現在は10台までカートを拡充したそうです。

また、カート稼働率は80%を超え、さらなる事業拡大のための人材確保やカート数の増加、倉庫探しなども行っている段階とのことです。

参考:https://lifepepper.co.jp/works/tokyokart/

海外進出に向けた戦略はLIFE PEPPERにご相談ください

LIFE PEPPERでは、海外進出に向けたコンサルティングやBtoBマーケティング支援、PR支援、デプスリサーチなど、さまざまなサービスを提供しております。

海外マーケティング1,000社以上の実績をもとに、各企業に適したマーケティング施策をご提案させていただきます。海外進出に向けた効果的な戦略を考えたい、自社リソースでは限界があるため知見のある企業に相談したい、という場合は、ぜひお気軽にご相談ください。

関連リンク:

まとめ

今回は、海外戦略設計の重要性や成功のポイントなどについて解説しました。海外進出において戦略設計は欠かせない要素であり、進出後も売上を確保していくためには避けて通れません。

また、海外進出にはさまざまなコストが発生するため、モノ・ヒト・カネの動きを理解し、コスト削減していくことがポイントです。積極的にコスト削減を図ることで、より効率的に経営を黒字化できるでしょう。

今回紹介した内容を参考に、海外進出を成功させるための戦略を考えてみてください。

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