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中国で越境ECを展開する際に覚えておきたいポイント

越境ECの取り組みは、世界的なトレンドとなっていることはもちろん、ここ日本でも着々と海外進出が進んでいます。

日本から越境ECにチャレンジする場合、ポピュラーな進出さきが中国です。日本の商品に対する関心が大きく、大企業の進出事例も増え、地理的にも距離の近い国であるため、比較的進出が容易な国と考えられています。

今回は、そんな中国において越境ECを展開する場合、あらかじめ覚えておきたいポイントについて、ご紹介します。

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中国のEC市場について

はじめに、中国のEC市場の現場を理解しておきましょう。

中国国内のBtoC市場の現状

中国は世界でもトップクラスのEC市場を形成している国の一つで、特に目立つのがBtoCのECマーケットです。

経済産業省が発表しているデータによると、中国における2019年度のBtoCのEC市場規模は、1兆 9,348億ドルに達しています。日本円にして200兆円を超える額が中国国内において取引されており、2位のアメリカでさえ6,000億ドルに満たないことから、その規模の巨大さがうかがえるでしょう。

参考:経済産業省「令和元年度内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業」
https://www.meti.go.jp/press/2020/07/20200722003/20200722003-1.pdf

2020年は新型コロナウイルスの影響もあり、あらゆる消費がECへシフトしたという大きな変化も現地では見られました。2020年度は、2019年に増してEC市場が巨大化した年となったことが予想できます。

中国越境EC市場について

続いては、越境ECのマーケットについてです。中国の国内ECモールでは、「Alibaba(アリババ)」が市場シェアの47.1%を独占しており、圧倒的です。Alibabaに続いて「JD.com」が16.9%、「Pinduoduo」が13.2%となっています。

引用:https://www.insiderintelligence.com/chart/247782/top-6-companies-china-ranked-by-retail-ecommerce-sales-share-2021-of-total?_fsi=9KDtHb6H

また、中国ECモールの主な決済手段はモバイル決済サービスとなります。Alibabaが提供している「Alipay」と、テンセントの「WeChat Pay」、銀聯国際の「China UnionPay」が利用率の高い3大モバイル決済サービスです。中国国内ではモバイル決済サービスの利用促進が強く進められており、ECサイト市場の拡大にも繋がっています。

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中国での越境EC進出方法

続いては、中国でどのように越境ECを進めるかについてです。中国への越境ECの進出方法としては、以下の2種類の方法が挙げられます。

現地ECモールへの出品

ポピュラーな方法の一つとしては、現地ECモールへの出品です。中国ではインターネットの利用環境が日本とは大きく異なるため、日本のサイトにアクセスして、商品を購入するということが難しい仕組みになっています。

それゆえ、中国では海外の商品を購入したい場合、中国法人が設立している様々な越境EC向けのECモールを利用するのが一般的です。

中国ではECモールを通じたオンラインショッピングが広く普及しており、メーカーが直接商品をモール向けに下ろしているケースも多く、信頼性にも長けています。

フェイク品が出回る例も確認されているため、中国ではECモールのブランド力を活かした越境ECがライフスタイルの一部として定着しています。

審査を経てECモールに出品することができれば、大きな販路拡大のチャンスを得られるでしょう。

中国法人への委託・卸売

中国現地のECモールから直接商品を販売するためには、様々な審査基準を乗り越える必要があるため、人気の高い日本の商品の出品であっても、許可が下りない可能性もあります。

こういったリスクを幾分回避するのに役立つのが、中国法人に小売を委託し、卸売を展開する方法です。

直接消費者に販売ができない分、マージンが発生してしまうものの、現地法人に小売を任せてしまうことで、日本から越境ECを直接展開するよりも難易度が低くなるケースもあります。

中国本土のネットワークを駆使した商品展開ができれば、スムーズな中国進出を展開できます。

中国におけるEC市場開拓のポイント

実際に中国向けのEC市場を開拓していく上で、どのように進出していくことが重要なのでしょうか。

次の5つのポイントをそれぞれ解説します

  • モバイル決済の導入
  • SNSの活用
  • インフルエンサーの起用
  • 競合との差別化
  • 遵守すべき法律

モバイル決済の導入

中国ではキャッシュレスが日本以上に浸透しており、モバイル決済サービス導入が重要です。中国越境ECサイトについて解説したときも触れましたが、ECサイトの主な決済手段はモバイル決済サービスです。中国国内でモバイル決済を強く推し進めている背景もあり、モバイル決済サービス導入は重要です。

SNSの活用

一つは、SNSの活用です。中国では日本以上にSNSの活用が顕著で、ユーザー同士の情報共有だけでなく、企業が消費者に向けてプロモーションを展開する場としても活躍しています。

SNSを使って消費者とコミュニケーションを取ったり、新商品の案内を展開したりすることで、自社の商品に親近感を覚えてもらうことができるようになります。

また、新機能としてSNSから直接商品購入ページにリンクし、そのまま購入ができてしまうといったサービスも増えつつあります。

SNS広告の種類も豊富で、ターゲットや商品の特徴にあった方法を選びながら、最適な広告運用ができると、さらなる相乗効果も期待できます。

SNSの機能をフル活用し、プロモーションを有利に進めていきましょう。

インフルエンサーの起用

SNSの運用を効率よく進めていく中で、鍵を握るのがインフルエンサーの存在です。SNSにおいて大きな影響力を誇るインフルエンサーの多くは、企業から協賛を受けて商品紹介を行ったり、ライブ配信を通じて企業のプロモーションに従事したりする機会が増え、販売促進へ大きく貢献しています。

日本でも多くのインフルエンサーが活躍していますが、中国では日本以上の影響力を誇っています。SNSユーザーが非常に多いだけに、様々なジャンルのインフルエンサーが現地で活動しており、多彩な需要に応えています。

そんな彼らにプロモーションを依頼することで、自社自らSNSを運用するよりも、はるかに効果的な広告効果を期待できます。

SNS運用の課題として、多くのインプレッションを得るためにはある程度の時間がかかるという点が挙げられます。

インフルエンサーを起用することで、即時的な広告効果を得られるため、積極的に活用したいところです。

競合との差別化

SNSやインフルエンサーを運用して積極的なアピールが必要な理由の一つに、競合との差別化が挙げられます。

日本から中国へ進出する企業は比較的少ないものの、数年前と比べると大幅に増加しており、必ずしも日本製品だからなんでも買ってもらえる、というわけには行かなくなっているのが現状です。

そのため、競合と商品の差別化を実施することで、自社の優位性をアピールし、集客やリピーターの獲得に努める必要があります。

中国で人気の越境ECモール

最後に、中国で人気のECモールをまとめてご紹介します。

天猫国際(T-MALL GLOBAL)

越境ECモールにおいて、大きな存在感を発揮しているのが天猫国際(T-MALL GLOBAL)です。アリババグループが運営する中国最大のインターネットショッピングモールとして、広く認知されており、中国国内法人向けECモールである天猫(T-MALL)の、海外法人向けのECモールが「天猫国際(T-MALL GLOBAL)」です。越境ECモールとしては中国最大規模のスケールで展開しています。

中国法人のない日本企業でも出品ができるということで注目を集め、今では日本からの出品はもちろん世界中の企業が出品を行っているグローバルECモールです。T-MALLでは、有名海外ブランドを積極的に出店しています。また、偽造品や、非正規品を排除する目的で、出店基準が高く設定されております。

運用イメージとしては、日本で言う「楽天市場」のような使い方が定着しています。

京東国際(JD Worldwide)

京東国際も、中国では非常に大きな影響力のある越境ECモールの一つです。人気SNSのWeChatを運営するテンセントが提供するECモールで、国内向けの「京東」とともに現地で大いに人気を博している企業です。

京東国際も日本法人が比較的気軽に出品が可能な越境ECモールと言うことで、天猫国際(T-MALL GLOBAL)と同様に日本からも人気の高いサイトです。

取扱商品は家電製品から美容、ヘルスケア、ベビー用品など、豊富なジャンルを取り揃えているため、どんなメーカーでも進出のチャンスがあるマーケットです。

中国への越境EC進出を狙う場合、まずはこの二つのモールへの出品を目指すことになるのが一般的です。

淘宝網(タオバオ)

淘宝網はアリババグループが運営するECモールで、近年は越境ECにも力を入れているのが特徴です。

日本からは2009年にユニクロが出品するなど、非常に早い段階から越境ECのサポートを続けてきた淘宝網ですが、近年力を入れているのがライブコマースです。

ライブコマースは、インフルエンサーや販売員がSNSのライブ配信機能を使って商品紹介や販売促進を実施するもので、ECショップに連動してそのまま購入できるのが特徴です。

淘宝網では独自のライブコマース機能を実装し、インフルエンサーを活用した商品販売を積極的に展開しています。

日本からでも淘宝網のライブコマースで、確かな売り上げ効果を実現するパッケージ展開が行われるなど、各界隈から注目が集まります。

参考:PR TIMES「日本からライブ配信を行い、短時間で中国越境ECサイトでの売上向上に繋げる「Taobaoライブ(淘宝直播)プロモーションパッケージ」を提供開始」
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000010.000058547.html

Weコマース(WeChatミニプログラム)

WeChatには、簡略化した機能で効率的に使えるWeChatミニプログラムと呼ばれるサービスが存在します。

WeChatミニプログラムは「Weコマース」と呼ばれるEC支援サービスを展開しており、WeChat経由で商品の売買が実施できるサービスが話題となりました。

WeChatミニプログラムを使って売り場を確保し、物流から決済、さらにはプロモーションまで展開できるだけでなく、日本からも使用可能ということで、越境EC進出をさらに容易に実現してくれるサービスです。
参考:PR TIMES「WeChatミニプログラムによる中国越境EC支援サービス「Weコマース」を開始」
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000190.000018628.html

守すべき法律

2019年の1月に、中国での越境ECに関する制度が改正されました

中華人民共和国電子商務法と呼ばれ、ECサイトに特化した法律です。EC経営者とECプラットフォーム経営者に対して定められた条文番号と概要について次の表にまとめているので参考にしてください。

条文番号

概要

第10条

市場主体登記義務及び市場主体登記義務の除外規定。

第11条

法に従って納税する義務及び税収優遇を受ける権利。

税務登記申請義務及び納税申告義務。

第12条

経営活動従事にあたっての行政許可取得義務。

第13条

商品・サービスに関する人身・財産安全保障及び環境保護の要求適合義務。

第14条

発票・電子発票等の書面による購入証明書・サービス伝票の発行義務。

第15条

ホームページに営業許可証情報・経営業務に関連する行政許可情報又は情報のリンク標識を継続公示する義務。

公示情報の更新義務。

第16条

電子商取引中止の場合の30 日前からの関連情報公示義務。

第17条

商品・サービス情報のすべてを、虚偽なく、確実に、適時に開示する義務並びに消費者の知る権利及び選択権の保障義務。

架空取引、ユーザー評価捏造等の方法による虚偽・誤解を招く商業宣伝の禁止義務。

第18条

消費者の特徴によって消費者に商品又はサービスの検索結果を提供する場合、当該特徴に応じていない選択の同時提供義務。

第19条

抱き合わせ販売にあたっての消費者喚起義務及びデフォルト選択禁止の義務。

第20条

合意した方法・期限による商品・サービスの交付義務及び商品輸送リスク・責任の負担義務。

第21条

保証金返還方法・手続の明示義務及び保証金返還についての不合理条件設定禁止義務。

第22条

市場支配的地位の濫用禁止、競争排除・制限禁止義務。

第23条

ユーザー個人情報の収集・使用にあたっての個人情報保護関連法規遵守義務。

第24条

ユーザー情報の閲覧・訂正・削除及びユーザー登録抹消の方法・手続きを明示する義務並びにユーザー情報の閲覧、訂正、削除及びユーザー登録抹消に対する不合理条件設定禁止義務。

第25条

関連電子商取引データ情報の関係当局に対する提供義務。

第26条

越境ECを行う場合、輸出入監督管理の法律、行政法規及び関連規定の遵守義務。

第27条

出店申請するEC経営者に対する身分情報・行政許可情報等の情報提出の要求義務。

当該情報の審査・登記・定期的審査・更新義務。

第28条

市場監督管理当局にプラットフォーム内経営者の身分情報を送付する義務。

市場主体登記をしていない経営者に対する注意喚起義務。

税務当局にプラットフォーム内経営者の身分情報と納税に関する情報を送付する義務。

市場主体登記を必要としないEC経営者に対して税務登記を行うよう注意する義務。

第29条

無許可・違法・禁止の商品・サービスを発見した場合、法に従い必要な処置措置を講じ、関係主管当局に報告する義務。

第30条

ネットワークの安全・安定稼働の保障義務、ネットワーク上違法・犯罪行為の予防義務及び電子商取引の安全を保障する義務。

ネットワークセキュリティ事件緊急対策制定義務並びにネットワークセキュリティ事件発生時の緊急対策実施義務及び関係主管部門への報告義務。

第31条

プラットフォームに掲載された商品・サービスの情報・取引情報の記録・保存の義務及びその情報の完全性・機密性・有用性を確保する義務。

第32条

プラットフォームにおける出店と閉店、商品・サービスの品質保障、消費者権益保護、個人情報保護等における権利と義務を明確にするように、公開・公平・公正の原則に従い、プラットフォーム利用契約・取引ルール(以下、合わせて「利用ルール」といいます。)を制定する義務。

第33条

ホームページの目立つ位置に、利用ルール又はそのリンク標識を継続公示する義務。

第34条

利用ルールを改正する際に、ホームページの目立つ位置で意見公募を実施し、各方に意見を適時かつ十分に表明できるよう確保する義務。

プラットフォーム内経営者が改正内容を受け入れずに退店を要求した場合において、その退店の阻止の禁止。

第35条

取引・取引価格等について不合理制限・不合理条件付加の禁止義務。

プラットフォーム内経営者に対する不合理な費用の徴収禁止義務。

第36条

プラットフォーム内経営者の法律、法規違反行為に対して制限措置を講じる場合、直ちに公示する義務。

第37条

プラットフォーム内で直接販売を展開する場合、直接販売業務とプラットフォーム内経営者が展開する業務を区分表示し、消費者を誤認させない義務。

第38条

プラットフォーム内経営者の商品・サービスが人身、財産安全保障の要求に適合しないこと又は消費者の合法的権益の侵害行為があることを知り又は知るべきであったにもかかわらず、必要な措置を講じていなかった場合、当該プラットフォーム内経営者と連帯責任を負う。

消費者の生命健康に関わる商品・サービスについて、プラットフォーム内経営者の資格審査義務・消費者安全保障義務を怠って消費者に損害を与えた場合、相応する法的責任を負う。

第39条

信用評価制度の構築・健全化義務、信用評価の公示義務、商品・サービスに対する評価手段の提供義務。

商品・サービスに対する評価の削除禁止義務。

第40条

商品・サービスの価格、販売数、信用等に基づき、多様な検索結果を表示する義務。

検索連動型広告の商品・サービスについては、「広告」と明記する義務。

第41条~第45条

筆者注:後述するように、第41条から第45条においては、知的財産権保護に関するECプラットフォーム経営者の義務及び知的財産権侵害事件の処理方法を定めています。

引用:https://gvalaw.jp/blog/b20191114

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おわりに

中国における越境ECの展開は、日本からも次々に企業が進出しているため、ただ出店をすれば売り上げが確保できるとは限らなくなってきています。

幸いにも、中国進出をサポートしてくれるサービスやパッケージ、さらにはプラットフォームも充実しており、SNSなどと併用することで、高い効果を望めます。

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