ユニクロが中国で人気の理由はデザインがいいから?ユニクロに学ぶ・中国で日本企業が成功を収める秘訣

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「日本のものは中国で売れる」

と思われがちですが、中国に進出している多くの日本企業の業績は伸び悩んでいます。その中でユニクロは、中国で最も業績のいい日本企業の一つと言われており、収益・店舗数共に右肩上がりです。

なぜユニクロは、中国でこれだけの人気を博しているのでしょうか。そこには、事業を手がける株式会社ファーストリテイリングの、中国市場への適応力が大きく影響していました。

今回は、ユニクロが中国でどれだけの業績を残しているのか、そして今後の見通しと人気の理由について分析してみましたので、経営のヒントにしてみてください。

絶好調!中国ユニクロの業績推移と見通し

「中国へ進出した日本企業の中で一人勝ち状態にある」と言っても過言ではないユニクロ。実際の業績はどうなのか見ていきましょう。

なお、ファーストリテイリングは中国事業をグレーターチャイナ(中国本土・香港・台湾)の枠組みで展開しています。本文ではグレーターチャイナのデータを提示し、そこから中国本土の状況を読み解く形で解説していきますね。

中国ユニクロの業績と店舗数推移

ファーストリテイリングの2019年8月の決算発表によると、海外部門の全体の売上収益は過去初めて1兆円を超え、前年同期から14.5%増の1兆260億円を記録。営業利益も16.8%増の1,389億円となりました。

その半分ほどをグレーターチャイナが占め、同地域では、売上収益が前期比14.3%増の5,025億円、営業利益は20.8%増の890億円にのぼります。(*1)

また、中国を中心としたグレーターチャイナの店舗数の伸びは、下の表のとおり一目瞭然。日本国内の店舗の数を抜く勢いです。

引用:店舗数|株式会社ファーストリテイリング

しかし、2019年9月~11月期の連結決算によると、売上収益は前年同期比3.3%減の6,234億円、営業利益は12.4%減の916億円となってしまいました。背景には、韓国の不買に加え、グレーターチャイナにあたる香港での抗議デモの影響が大きいとされています。(*2)

とは言え中国本土単体で見ると、秋冬の商品が好評だったため、2割ほどの増収増益という結果となっています。

*1:「ユニクロ」国内低迷が顕著、海外ユニクロ売上高1兆円突破で差が鮮明に【決算報19秋】┃ダイヤモンドオンライン
*2:ファーストリテイリングが通期業績予想を下方修正、韓国や香港の不振響く┃FASHONSNAP.COM

中国ユニクロの今後の見通し

今後の見通しは、2019年8月期と打って変わって下方修正されることになりました。2020年8月期の連結売上収益予想を、当初の2兆4,000億円から2兆3,400億円へ、営業利益予想を2,750億円から2,450億円にすると発表。(*1)

この予想はユニクロ全体のものですが、グレーターチャイナに該当する香港でデモが続いていることと、人民元安による影響も大きいとされています。

しかし、中国本土を見れば収益・利益共に増加の一途をたどっている(*2)ので、全体で下方修正しているとはいえファーストリテイリングは今後も中国での事業に力を入れることでしょう。

出店計画については、今後は2級・3級都市にも店舗を増やすとのこと。年間100店舗前後の出店を継続していきながら、2021年度にはグレーターチャイナ全体で1000店舗を突破する予定です。

*1:ファーストリテイリングが通期業績予想を下方修正、韓国や香港の不振響く|FASHIONSNAP.COM
*2:IR情報│ファーストリテイリング

コラボTシャツの取り合いから乱闘事件に!?

中国でのユニクロ人気を象徴する出来事として、コラボTシャツの取り合い事件を紹介します。

それは2019年6月に起こりました。記憶に新しい人も多いのではないでしょうか。

ユニクロとカウズ(KAWS)のコラボ商品を目当てに、中国人客が現地店舗へ殺到。マネキンが着用していたものまで剥ぎ取り、商品の取り合いで殴る蹴るの暴行を起こすなど、マナーの悪さやモラルの低さにスポットライトが当たってしまいました。(*1)

なぜ、事件は起きたのでしょうか。背景として、以下の4つが考えられます。

  1. カウズがユニクロとのコラボは今回が最後だと宣言をした
  2. カウズの作品が中国に常設されており、知名度が高い
  3. 他ブランドの商品は高額だが、ユニクロであればお手頃である
  4. コラボ商品は高額で売れるため、転売ヤーが押しかけた

カウズ商品は彫刻や絵画、フィギュアなどがほとんどで高額なのに対し、ユニクロとのコラボ商品は手頃な価格だったため、高い人気を集めました。そして、この点に目を付けた転売ヤーが何十着も持って行き、品薄になった結果、一般の客も含めた奪い合いへ発展したのです。

暴行事件にまで発展したのは残念ですが、これだけの盛り上がりを作った点に関しては注目せざるを得ないでしょう。

たかだか1,500円程度のTシャツ目当てに多くの人が集まった背景には、中国で知名度のあるカウズとのコラボにより、「安いのに品質が良く、おまけに流行の最先端を行くブランドだ」というイメージを、ユニクロが市場へ植え付けたことがあります。

優秀なスタッフによるマーケティングとブランディングによって、話題性のあるプロモーションができたわけですね。

*1:殴り合い、マネキン丸裸…「ユニクロ×カウズ」巡り中国転売ヤーが“暴徒化”|BUSINESS INSIDER JAPAN

なぜ大人気?ユニクロが中国で成功した理由

ユニクロの衣類製品のタグを見てみると、多くが『MADE IN CHINA』ですよね。ものによっては、バングラデシュやインドネシア、ベトナム製もありますが、中国製がほとんどでしょう。

「繊維製品の本場」といえる中国で、なぜ自国ブランドではなく日本ブランドのユニクロが好まれるのか。ここからは、中国でのユニクロ人気の理由を解説していきます。

コストパフォーマンスが高いから

中国国内には、ユニクロの4分の1ほどの値段で手に入る衣類製品がごろごろあります。

にも関わらずユニクロが選ばれる理由は何なのか。それは、コストパフォーマンスが高いからです。

中国の一般的な衣類製品は、生地はペラペラで縫製もいい加減、ボタンはすぐに取れるしボタンホールは開いていなかったりと、とにかくひどいものです。おまけに洗濯をすればすぐクタクタになってしまって、もう2度と着られないほど。

それであれば、少し高くても作りがしっかりしているユニクロの製品を選ぶのは自然なことですよね。安物買いの銭失いを避けられるので。こうした人々のニーズと合致した点が、人気の理由の1つだ言えます。

中国人の価値観が変化し、機能性に重きが置かれるようになったから

中国人の衣類に対する価値観が変わり、機能性が重視されるようになったことも、中国でユニクロが売れる要因の1つとなっています。

「ヒートテック」や「エアリズム」など、かつて中国ではあまり人気のなかった機能性商品ですが、ここ10年近くはずっと人気商品となっています。

特にヒートテック商品に対しては、「他の製品がずっと安い価格で買えるのに、なぜわざわざユニクロで買う必要があるのか」という考えがかつては目立っていました。

しかし昨今の中国では、機能性の高さに価値観の重きが置かれ、良い商品こそが選ばれるように。ヒートテックの優れた保温性が市場で認知され、今や人気商品になったのです。

このように、安さから機能性へ、消費者の価値観が変わったことも、ユニクロ好調の要因だと言えます。

2級・3級都市への出店スピードが上がったから

店舗を構える際は、購買意欲のある層が集まる場所を選ぶことが鉄則。ユニクロは1級都市のみならず、成長著しい2・3級都市へもスピード感をもって出店しており、そのフットワークの軽さが、成功を収めている理由の1つになっています。

頻繁に購入してくれる層を増やすために、発展中の2級・3級都市への進出を図っているわけです。今後はさらに出店を加速させ、2021年には現在の807店舗から1,000店舗へ拡大させるとのこと。

都市の成長を見逃さず、時代についていくスピード感は、中国ビジネスにおいて重要です。他の地方にまで発展が及べば、チャンスは一層多くなるでしょう。

中国ユニクロが抱える課題・問題

これだけの成功を収めている中国ユニクロですが、さらなる進化のために課題や問題を解決していく必要があるようです。それらは何か見ていきましょう。

若年層の顧客獲得

第一の課題は、ECサイトで若年層の顧客を獲得していくことです。

日本円で160兆円以上の市場規模を誇る、中国のEC。その最大の利用者は、19〜24歳の若年層なのです。最大の客層へのアプローチは、どの企業にとっても課題に挙がると思いますが、ユニクロも同様です。

また、EC利用が当たり前になっている彼らを今から取り込めれば、向こう数十年に渡って購買してくれる見込みがありますね。

しかも、中国のネット普及率は未だ6割。さらに多くの人へ普及すれば、ECの市場規模も一層大きくなり、開拓すべき販路も広がるでしょう。

2級・3級都市における知名度アップ

2級・3級都市でのユニクロの知名度は、1級都市と比べるとまだまだ。

さらなる収益アップには、中国全土にユニクロの存在を知ってもらうことが必要になります。特に、成長著しい2級・3級都市は外せません。

これらの都市への出店後、どんなプロモーションを打つか要注目ですね。

店長をはじめとした人材育成

出店ペースに人材の育成が間に合うかどうかも課題です。

ユニクロブランドとして中国で成功を収めていくためには、ジャパンクオリティ並みの人材育成が必要不可欠。接客マナーやサービスの向上を担う人材はもちろん、日本企業と中国人労働者との信頼関係を構築できる人材などもですね。

店舗を構える以上、現場スタッフの接客は、ブランドイメージを大きく左右します。どの場所でも楽しく、気持ちよく買い物をしてもらうために、上流から下流に至るまで、あらゆる人材の育成が求められているのです。

まとめ

ユニクロが中国で絶大な人気を獲得した背景が見えてきましたでしょうか。

「いい商品を良心的な価格で提供していく」というブランドのコンセプトと、「少し高くても品質に優れている最先端のファッションを身に着けたい」という顧客のニーズの一致がなによりも重要です。

その中に人気アーティストやデザイナー、日本の漫画やアニメ文化など、話題性になる材料をも組み込むことにより、ユニクロはさらに顧客を獲得したわけですね。

中国で日本企業が成功するには、どのような戦略を立てる必要があるのか。中国ユニクロに学ぶべきものは、時代を読みつつスピード感を持って対策していくこと。これこそが成功を手繰り寄せるのです。
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