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今、中国では「WeChatミニプログラム」という、親アプリ上で動く子アプリのようなプログラムが世間で広まっています。
WeChatミニプログラムを使えば、ECサイトや予約サイトなどのアプリを個別にインストールする必要がなくなります。WeChat上で目当てのサービスのプログラムを起動し、そこから買い物や予約を済ませられるのです。
2019年6月の時点でユーザー数7億人を抱えるこのツールは、中国向けの越境ECやインバウンド対策において今後重要になるでしょう。
本記事ではそんなWeChatミニプログラムについて、その概要や特徴、活用事例などを解説していきます。
WeChatミニプログラムとは?
WeChatミニプログラムは、WeChat内で動作するサブアプリです。
この機能を利用すると、
・ネットショッピング
・チケット購入
・タクシーの手配
・飲食店での注文〜会計
・ゲーム
・動画視聴
といったことを、他のアプリを起動することなくWeChat内で完結させられます。スマホで日常的にしていることが、軒並みWeChatに集約されるのです。
WeChat自体、今や中国の人々に欠かせないSNS/チャットツールであり、さらにミニプログラムが合わさると、サービスの利便性は一層高まります。これにより、中国のIT業界ではアプリからミニプログラムへと、時代が変わりつつあるほどです。
ちなみに、アリババやバイドゥ、TikTokといったライバル企業も、ミニプログラムのプラットフォームをリリースしています。ミニプログラムの競争は、これから激しくなっていくでしょう。
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WeChatミニプログラムのメリット
急速に中国社会へ浸透しているWeChatミニプログラムには、どんなメリットがあるのでしょうか。4つ解説していきます。
ほかのアプリをインストールする必要がない
各プログラムをWeChatの中で動かすため、ほかのアプリをインストールする必要がありません。
これにより、
・端末の容量を気にしなくてよくなる
・更新の手間がかからなくなる
・バッテリー消費を抑えられる
・端末の処理スピードを保てる
といった恩恵を得られます。
さらに、会員情報や支払い情報はWeChatペイに一元化でき、アプリごとにいちいち登録しなくてよくなります。面倒な作業をなくせて、ユーザーの離脱防止につながるのです。
ミニプログラムへアクセスする手段が多い
2つめのメリットは、ミニプログラムへアクセスする手段が多いこと。
・WeChat内検索
・QRコード
・グループチャット
・スマホのホーム画面
・スマートデバイス
などからミニプログラムを起動できます。企業からすれば、ミニプログラムへの導線が多いのはアクセス数を稼ぐ上でありがたいですね。
SNSの拡散力を利用できる
3つめのメリットは、SNSの拡散力を利用できること。
ホストアプリであるWeChatは、ユーザー数12億人を抱える世界有数のSNSプラットフォームです。そして、WeChatのチャットやモーメント(タイムライン)では、ユーザー同士が面白くて役立つ情報を日々シェアしあっており、ミニプログラムの話題も同様にシェアされています。
これにより、自社だけではリーチしにくい層へも情報を届けられますし、ユーザーによる生の声という信頼感もついてきます。SNSというプラットフォームが根幹にあるのは、プロモーションにおいて大きな強みになるでしょう。
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開発コストが低い
スマホアプリに比べ、ミニプログラムは低コストで開発できます。
開発言語は「WXML」と「WXSS」という、WeChat向けにカスタマイズされたHTMLとCSS、そしてJavascriptの3つ。これらはWeb開発における基本言語ですので、要求される技術レベルが低く、その分コストを抑えられるわけです。
一般には、スマホアプリの半分ほどで開発できます。
WeChatミニプログラムの弱点
WeChatミニプログラムには、機能面でアプリに劣るという弱点もあります。
ミニプログラムは、あくまでWeChatの本体やサーバーに依存するサービスですから、どうしても開発に制約があるのです。ミニプログラムの利点が、弱点にもなっていると考えてください。
ただ、先ほど人気サービスを挙げたように、ECや予約といったサービスであれば十分に提供可能です。越境ECやインバウンド対策への影響はさほどないといってよいでしょう。
WeChatミニプログラムのユーザー数と人気プログラム
次に、WeChatミニプログラムのユーザー数や人気プログラムといったデータをみていきましょう。
ユーザー数:7億人を突破
WeChatミニプログラムのユーザー数は、2019年6月時点で7.4億人に達しました。WeChatのユーザー総数は12億人ほどですから、その半数以上が何らかのミニプログラムを利用しているのです。
ユーザーの性別は男女がほぼ半々。年齢は31〜35歳が25.9%と最も多く、これに25〜30歳が23.8%、19〜24歳が16.2%と続きます。
人気プログラム:ECや旅行系が上位
WeChatミニプログラムでは、ECや旅行系のプログラムが人気です。ビッグデータを扱うアラジン社の発表によると、2020年6月の人気上位5つは以下のとおり。
1位:拼多多(EC)
他ユーザーとの共同購入により安く買えるのが特徴のECサービス。急成長を続けており、これまでネットショッピングに馴染みの薄かった地方市場で人気。読み方は「ピンデュオデュオ」。
2位:京东购物(EC)
EC大手の京東が提供する「Jd.com」のWeChatミニプログラム。Amazonのような直販型のサイトで、販売元を自社に一元化している分、流通網に強みを持つ。読み方は「ジンドン」。
3位:滴滴出行(生活サービス)
中国大手の配車サービスで、中国Uberのようなもの。ライドシェア、一般タクシー、滴滴専属高級タクシーなど、予算や目的に応じたランクで手配ができる。読み方は「ディディチューシン」。
4位: 京喜(EC)
京東が提供する共同購入型のECサービスで、拼多多の対抗馬として開発された。地方ユーザーが7割を占め、拼多多と同じ市場で競争中。読み方は「ジンシィ」
5位:同程旅游(旅行予約)
元アリババ社員が開発した旅行予約サービス。会員数2億人を超えるOTA大手で、ホテルや飛行機、観光施設のチケットなど、旅行にまつわるあらゆる予約が可能。読み方は「トンチェン」。
WeChatミニプログラムの国内活用事例
最後に、WeChatミニプログラムの国内活用事例を2つご紹介します。
阪急阪神百貨店
大阪の阪急百貨店うめだ本店は、フロアガイドやVIP会員登録、化粧品予約、飲食店でのオーダーから会計などにWeChatミニプログラムを活用しています。百貨店の利用におけるアクションがWeChat内で完結するようになっているのです。
例えば飲食店では、テーブルに置かれたQRコードを読み取ると、中国版のメニューを閲覧できます。さらにメニューからオーダーができ、WeChatペイでの会計が可能。
お客様・店員の双方の手間を減らせる効果的な取り組みといえますね。
ドン・キホーテ
ドラッグストア大手のドン・キホーテは、越境ECにWeChatミニプログラムを活用しています。キャンペーン情報をWeChat公式アカウントで発信し、そこからEC店舗へ直接誘導するという流れです。
Webサイト、アプリに続く、第三の形態といえますね。ミニプログラムだと、モール出店なしで独自に店舗を運営しやすく、低コストで開発できるのが魅力です。
まとめ
今回はWeChatミニプログラムについて、その概要や特徴、活用事例などを解説してきました。
中国人の生活に密着したこのツールは、越境ECやインバウンド対策でぜひ活用したいところ。もし開発を検討されているのであれば、ぜひ弊社LIFE PEPPERへお気軽にご相談ください。現地事情を知り尽くしたネイティブスタッフと開発チームが、貴社の事業をサポートさせていただきます。
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