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【更新版】訪日外国人は日本で何をしているのか?-2つのアプローチから学ぶ

訪日外国人とは?

「訪日外国人」の定義

「訪日外国人」とは海外から日本へ訪れる旅行客のことを指します。一方で観光庁の「訪日外国人消費動向調査」においては「トランジット、乗員、1年以上の滞在者を除く日本を出国する訪日外国人客」を調査対象としています。そのため、厳密には観光庁の調査対象は訪日外国人の定義から、わずかに乖離しているということになります。これは、リアルな観光実態を調査するには短期旅行客の方が適しているという背景があるのだと考えられます。

なぜ調査するのか


図:観光事業のプレイヤー
※「日本の地方公共団体における観光行政(総務省)」(http://www.soumu.go.jp/main_content/000361550.pdf)をもとに作成

観光事業者や行政の方々にとって、具体的な数値や事例がどのように実業務に活かせるか、深く理解するために、私たちの【会社概要・事例集・対応可能な国&施策まとめの3点資料セット】をぜひご覧ください。

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ビジネスにおいて

観光の中心プレイヤーは民間事業者です。交通業者や宿泊業者、飲食業者の取り組みが観光へ直接作用します。そのような状況下で、業界においては訪日外国人がどこでどのくらい消費しているか、どこに不満を持っていたのかを把握することが重要となります。それらがもし自社の領域内のことであれば効果的な対策を打つことができるからです。

観光行政においても

一方で行政としては民間事業者の支援や環境整備が中心となります。自然、歴史文化、都市、テーマパークといった観光資源をいかに活かすかという視点も行政では必要になります。そういったときに訪日外国人がどういったところに魅力を感じるのかがわかればそれは強力な要因となります。

2段階のアプローチによる調査

統計調査

訪日外国人の調査でもっとも有名なのは観光庁が発表している「訪日外国人消費動向調査」でしょう。これは全国の空港で出国していく外国人を対象に調査しています。年に4回集計結果を発表しており、年の始めに前年度の年間値を出しています。2016年の年間値も2017年1月17日に発表されました。
また、政府が発表している統計としては日本政府観光局が発表している「訪日外客統計」があります。これは月ごとに発表されており、よりタイムリーな値を知ることができます。市場レポートがあるのも特徴的です。
参考:訪日外客統計の集計・発表(日本観光政府局JNTO)

個別調査(ペルソナ)

企業が実際に顧客にアプローチする際、もう1段階踏み込んだかたちでデータを利用することがあります。それが「ペルソナ」と呼ばれるものです。顧客に関するデータを集め、一つの仮想人格として形成することでよりユーザー目線でコンテンツを考えることができるのです。

ペルソナに基づく具体的なアプローチ事例をもっと知りたい場合は、こちらで多様なサポート実績を網羅した【事例集】をご確認いただけます。

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マクロから:訪日外国人消費動向調査と訪日外客統計

消費動向調査2016まとめ

ここで、2017年1月17日に観光庁が発表した「訪日外国人消費動向調査平成28年年間値」をまとめてみようと思います。

  • 旅行消費額と旅行客数

平成28年の訪日外国人による旅行消費額は3兆7476円と7.8%増加、旅行客数も2403万9千人と21.8%増加しました。

図:旅行消費額と訪日外国人旅行者数の推移 観光庁より(http://www.mlit.go.jp/common/001158884.pdf)

  • 訪日外国人1人当たり旅行支出

訪日外国人、旅行支出ともに増えている一方で1人当たりの旅行支出は減少しています。前年度の17万6167円から、15万5896円へと11.5%の減少でした。特に中国では前年比18.4%減で全国籍・地域の中で最大の減少幅となりました。
訪日中国人の旅行支出の減少に関して、観光庁では関税引き上げの影響と越境EC利用の影響を示唆しています。「帰国時の関税支払いを抑えるために、買物支出を抑えた」と回答した人は全体の44.6%、支出を控えた品目として多かったのは電気製品でした。また「越境ECの利用により買物支出を抑えた」と回答した人は全体の22.4%、支出を控えた品目として多かったのは化粧品、香水でした。観光庁の試算によるとこれら2つが買物支出に与えた影響は1人あたり4.7万円です。まとめると、中国人にとっては日本に来てモノを買うメリットが徐々に薄まってきているということが言えます。

2016年10月-12月期の意識調査

この「訪日外国人消費動向調査」の大きな特徴として「訪日旅行に関する意識」アンケートを実施している点です。これらは外国人がどのような手段で情報収集したか、どこに満足したかなどがわかる観光事業者にとっては貴重な資料です。いくつかご紹介します。
出発前に得た旅行情報源で役立ったもの(複数回答)

  • 個人のブログ 29.4%
  • 旅行ガイドブック 17.7%
  • 自国の親族・知人 17.5%
  • 旅行会社ホームページ 16.8%
  • 日本政府観光局ホームページ 16.7%

日本滞在中にあると便利だと思った情報(複数回答)

  • 無料Wi-Fi 49.4%
  • 交通手段 45.3%
  • 飲食店 32.2%
  • 観光施設 23.8%
  • 宿泊施設 23.0%

訪日前に期待していたこと

  • 日本食を食べること69.9%
  • ショッピング52.0%
  • 自然・景勝地観光47.2%
  • 繁華街の街歩き 39.4%
  • 温泉入浴 29.3%

訪日外客統計:国別で見た観光実態

一方で日本政府観光局(JNTO)が発表している訪日外客統計では、年間のレポートとして地域別訪日旅行市場の概況がまとめられています。国別で何人訪日したか、その増減にはどのような背景があったかが非常に緻密に記述されています。各国の訪日事情を知りたい方はここを参照するとよいでしょう。

おまけ:訪日外国人が不満を感じているところは?

観光庁は消費動向調査とは別で、実際に外国人が日本で不便に思うところを調査しています。その結果が以下の表で上位3つは「無料公衆無線LAN環境」、「コミュニケーション」、「目的地までの公共交通の経路情報の入手」となりました。上記の「日本滞在中にあると便利だと思った情報」の回答結果とほとんど同じですね。やはり無料Wi-Fiの少なさや情報の入手のしづらさはいまだに課題としてあります。「コミュニケーション」というのも特徴的です。日本人と英語でのコミュニケーションがとりづらいというのが訪日外国人にとって一つの壁となっています。

参考: 「外国人旅行者の日本の受入環境に対する不便・不満(観光庁)」

ミクロから:ペルソナ調査

具体例

今度は訪日外国人の実態をより人目線で見ることにします。今回は弊社で取得したペルソナを1つ皆様にご紹介いたします。
名前:チェン・イーファンさん(仮名)
年齢:31
趣味:旅行
職業:販売スタッフ
年収(日本円):190万円
好きな食べ物:チョコレート、牛肉麺、ラーメン
生活環境・ストーリー:
台湾彰化に実家があり、大学は実家の近くで日本語学科の大学に通う。卒業後に台北で働き始めた。仕事は日系企業で働いた。最初は台北勤務だったが、その後、桃園空港での勤務に変わり、そこで海外の人関わることに興味が強くなって、日本語を学んでいたこともあって日本にワーキングホリデービザで来日。台湾時代の平日はアクション映画を見に行ったり、レストランに行くことも多かったが毎日同じものを食べるのは飽きるので、いつも違う店を開拓していた。 休みの日は台湾国内の旅行によく行く、オススメは台湾の東の地域。花蓮という地域で海岸と海岸に咲く一面の花景色が好き。ドライブしによく行った。
平日の過ごし方:
現在シェアハウスに住んでいて、7時に起きて、朝ごはんを作り、仕事に行く。電車で40分ほど通勤する。ジュエリーの販売員として働いている。18:00頃に仕事が終わり、そのまま帰ることが多い。ご飯を作って日本の番組はなんでも面白いので、テレビを見る。本を読むこともあり、今読んでるのは英語試験の勉強の本。 普段携帯を使っている時は、LINE(友達と連絡),Facebook(友達の近況を見ている)12時頃には寝る。
休日の過ごし方:
8~9時に起きて友達と遊び行くことがほとんど、紅葉を見たり、シーズンのごとに観光をする。電車で行くことが多いが、日本人の友達の車で行くことも多い。
将来の展望:
もしできれば、日本で仕事をしたいと思っている。他の仕事をやってみたい。 そのために今も日本語(教科書を見たり、テレビを見たりして)・英語を勉強している。

二つを比較してわかること

ここまで2種類の方法で訪日外国人というものを見てきました。二つを比較してみましょう。消費動向調査および訪日外客統計は国別でわかるのは一言でいうと「トレンド」です。今どこの地域の人がどのような目的で日本へ来ているのか、どこに満足し、何にいくら使っているのかを知ることができます。今回の例でいうと、以下のようなことが言えます。
・今まで買い物額でトップだった中国において、関税引き上げや越境ECの普及に伴い、一人当たりの買物額が減少している。
・多くの人がブログなどを参考に観光情報を得ているがいまだにハンドブックは必要である。
・無料Wi-Fiや交通手段の情報などが不足している。
これらのことがわかると、政府としては打つべき方針をわかりやすく把握することができます。また、民間事業者としても次のビジネスチャンスへとつなぐための大きな根拠となり得ます。
一方ペルソナはどうでしょうか。政府の統計と比較すると、統計には表れない、あるいは統計上マイノリティに見える行動が細かに記述されているのがわかります。何時に起床しどんなアプリを使っているのか。どのような思考をベースに日本で生活しているのかが私たちの過ごしている時間軸で知ることができます。そのため、このペルソナ調査は企業のコンテンツ発信時に非常に有用となります。

まとめ

ここまで訪日外国人の概要と2つのアプローチを振り返ってみましょう。
・訪日外国人とは海外から日本へ訪れる旅行客のことであり、訪日外国人消費動向調査では、統計の目的上1年以内の短期旅行者を対象としている
・訪日外国人の行動は、観光業に携わる民間事業者、行政にとって有意義な情報である
・調査のアプローチとして「統計調査」と「ペルソナ調査」の2つがある
・統計調査では政府が発表している「訪日外国人消費動向調査」と「訪日外客統計」が有名であり、日本観光の「トレンド」を把握するために有効である
・ペルソナ調査では、一つの仮想人格を形成することでその人格へのアプローチを試みる手法であり、コンテンツをいかに発信するかにおいて有効である
いかがでしたでしょうか。訪日外国人のデータを目的に合わせて上手に活用することができれば、インバウンドの新たな流れが見えてくるかもしれません。]]>

以上の分析から、各々のビジネスにおいて訪日外国人データの適切な活用がいかに重要であるかが見えてきたかと思います。より詳細な情報と具体的な対策を知るには、当社が提供する【対応可能な国&施策まとめ】の資料をダウンロードしてご利用ください。

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