目次
日本を訪れる外国人旅行者数は年々増加しており、2018年に3000万人を突破しました。2019年も順調で、3月の客数は前年同月比+5.8%となる276万人を記録しています。(*1)
そして彼らの旅行目的No.1が、「日本食を堪能すること」です。アジアも欧米豪も、ほぼ国籍を問わず同じ結果となっています(*2)。
この大きなインバウンド需要を取り込めれば、飲食店の売上向上は間違いありません。
そこで今回は外国人観光客向けに訴求を強化していきたい飲食店の方に向けて、効果的な施策や集客方法を解説します。
まず外国人観光客が飲食店に求めているものやサービス、何に不満を抱いているのかを整理し、その後具体的な施策へ移ります。ぜひ参考にしてみてください。
*1:JTB総合研究所/インバウンド 訪日外国人動向
*2:DBJ・JTBF/アジア・欧米豪 訪日外国人旅行者の意向調査(平成29年版)
外国人向けビジネスの魅力とは?成功事例と取り組み方も解説します
外国人観光客が飲食店に求めていること
はじめに、インバウンド客が飲食店に求めることを解説します。
お客様の集まる店づくりにも関わる最重要ポイントですので、以下を必ず押さえておきましょう。
大阪インバウンド最前線!インバウンド客に効果的な集客方法もご紹介
日本ならではの料理が食べたい
飲食店である以上、最も求められるのは「料理」です。かつインバウンドの場合、「日本ならではの料理」がキーワードになります。
日本でしか堪能できない料理は外国人に魅力的です。寿司といった伝統的な和食はもちろん、ラーメンやカツ丼のような普段私たちがよく口にする料理も非常に人気です。
現に金沢大学と日本政策投資銀行が行った調査によると、「飲食店で提供される料理は日本人客と同じものがいい」と答えた外国人は、全体の85%にのぼるとのこと(*)。
外国人観光客が求めるのは、飾られた日本ではなく、ありのままの日本なのです。変に外国人向け料理を開発することは、逆効果になる恐れもありますので注意しましょう。
*:金沢大学・日本政策投資銀行/「食に関する外国人客と飲食店とのギャップ調査」
スタッフと気持ち良くコミュニケーションをとりたい
外国人が飲食店に 料理以外の項目で求めているのは、席への案内や注文・会計といった接客時のコミュニケーションです。
「スタッフとのコミュニケーションがとれなかった」という項目は、インバウンド客が旅行中に困ったこととして毎年上位にランクインしており、対策は必須であると言えるでしょう(*)。
しかし英語や中国語などを流調に話す必要はありません。メニューや案内を指差しで確認しながら、簡単な英語や「ありがとうございます」といった、外国人でも知っている平易な日本語で対応すれば、充分コミュニケーションが成立します。
飲食店側は外国人に向けて「伝えよう!」という意識が何よりも大切です。会話はたとたどしくとも、笑顔で対応しましょう。
*:観光庁/「訪日外国人旅行者の受入環境整備における国内の多言語対応に関するアンケート」結果
【分野別】訪日外国人向けサービスまとめ!訪日外国人が困ったこと順で紹介
日本の文化を体験したい
引用先:ざうおブログ|2019年5月20日「祝い締めコンテスト ~難波本店編~」
インバウンド客の行動がモノ消費からコト消費へ移るに従い、体験を通じた楽しさや感動の提供が、飲食店にも求められるようになりました。
新宿歌舞伎町にある「ロボットレストラン」は、キラキラとした派手で近未来的な店内にて、ロボットとダンサーのショーを鑑賞しながら食事を堪能する、非日常の空間を提供しています。
寿司職人ロボットや相撲ロボットなど日本文化とかけ合わせたショーも特徴で、ここでしかできない異空間での体験が話題となって、月間17000人の外国人客が訪れているとのこと(*1)。
また新宿や難波に出店する「ざうお」は、食べる魚を自分で釣るコースや寿司握り体験を提供!その結果日本の食文化に触れられる点が人気となり、月間3600人のインバウンド客予約を獲得しています(*2)。
このように、商品やサービスを体験することでもたらされる感情は、今の外国人集客における1つの鍵となっているのです。
自店舗で提供する料理やサービスは、お客様にどんなコトを提供できるのか。集客時のコンセプトにも関わりますので、ぜひ深く考え抜いてください。
*1:訪日ラボ/なぜロボットレストランは年間20万人の外国人観光客を集めることができるのか?数字とデータから紐解く!【独占取材】
*2:ざうおブログ/やらなあかんやん!インバウンド新メニュー開発!!
さらに深い洞察をお求めなら、私たちの[会社概要・事例集・対応可能な国&施策まとめの3点資料セット]が無料でダウンロード可能です。実際の施策を行う前に、成功事例をぜひ参考にしてください。
人気のある外国人向け飲食店作りの施策
ここでは、インバウンド集客に向けたお店作りの施策を解説します。
外国人観光客が入店しやすく、注文も会計もスムーズにできる環境がないと、安定した集客はできません。最低限以下の施策を実施しておきましょう。
インバウンド成功の秘訣は外国人目線での顧客戦略。リアルの追求と外国人目線が鍵【インバウンド仕掛け人 100】
飲食店向けのインバウンド集客対策支援サービス
メニューや案内を多言語化し、写真も掲載する
インバウンド客は日本食に興味があるとは言え、細かい料理名などは知らない場合がほとんどです。
したがって、メニューや案内の多言語化や写真を掲載することで、外国人観光客に分かりやすい工夫をしましょう。
各料理に番号を振っておくのも、スムーズで間違いのない注文ができる良い工夫です。
そこでぜひ外国人向けにサービスを工夫したい飲食店におすすめなのが、都道府県や自治体が提供する多言語メニュー作成支援サービスです。
たとえば東京都のサービスだと、サイト登録を済ませた後、言語・レイアウト・デザインのテンプレートを選び、写真や必要事項を入力すれば手軽に作れます。
もちろん印刷できる他、都運営のインバウンド向けサイトに店舗情報を掲載してもらえるため、アピールにも有用です。
他にも大阪府、石川県、長崎県、鎌倉市など、各地の自治体が提供しています。
東京都が公開しているメニュー作成例は参考になるはずです。無料で利用できるのがほとんどですので、多言語メニューを作るのであれば、ぜひチェックしてみてください。
おすすめ料理をアピールする
メニューや案内の作り込みに関連して、飲食店の強みとなる「おすすめ料理」をアピールすることも大切です。
日本の食べ物に精通していない外国人観光客は、何を注文すれば良いか迷いがち。そんな時、おすすめ料理があれば選びやすくなります。
外国人客誘致により毎年10%の成長を続け、トリップアドバイザーで浅草の飲食店No.1に選ばれた「浅草つる次郎」の英語サイトは、メニューをクリックすると一番におすすめ料理が表示されます。
こちらは多言語メニュー作成の参考にもなるので、ぜひチェックしてみてください。
インターネットなどで店舗の情報発信をする際、売りの料理がないとアピールポイントがぼやけ、訴求力が弱くなってしまいます。必ずメニューや看板、HPなどに大きく掲載しておきましょう。
カード決済・モバイル決済など多種多様な決済方法に対応
カード決済やモバイル決済など多種多様な決済方法に対応することは、これから外国人向け訴求を行いたい飲食店には欠かせません。
訪日客を対象にした調査では、クレジットカードが使えないなら購入を見送るか、現金で払える範囲に留めると答えた人が半数近くにのぼります(*1)。
海外の多くの国はカード決済やモバイル決済が主流であるため、現に訪日客の3人に1人が、カードを使えない場所が多くて不便に感じたと答えています(*2)。
また現金払いよりもカード決済の方が、1.6倍も消費額が多いという調査結果があるほどです。食べ物に限定すると、3.3倍にまで増加します。(*3)
カードの種類は、VISA、Master Card、American Expressの主要3社には対応しておきましょう。中国人をターゲットにする場合は、現地で普及しているモバイル決済サービス「Alipay」や「We Chat Pay」の導入が望ましいです。
そしてカードやモバイル決済対応だということを、看板やHPなどでしっかりアピールするようにしましょう。「そもそもカードやモバイル決済に対応しているか分からない」というのも、外国人が不便に思いやすい点だからです。
せっかくの外国人観光客を取りこぼさないためにも、必ずやっておきましょう。
*1:日本クレジットカード協会/訪日外国人へのクレジットカード利用状況調査を実施
*2:日本クレジットカード協会/観光立国実現に向けたクレジットカード業界としての取り組み(要約版)
*3:日本クレジットカード協会/浅草・仲見世商店街における「クレジットカード利用動向」調査結果
無料Wi-Fiを設置する
無料Wi-Fiの設置も、お客様と飲食店の双方が大きなメリットを享受できるため、ぜひやっておきたい施策です。
海外では店舗内で無料Wi-FIi利用可能なのが当たり前になっています。しかし日本はまだまだ設備が行き届いておらず、外国人観光客が困ったことの上位にランクインしているのが現状です(*1)。
また飲食店で料理を楽しみながら無料Wi-Fiが使えると、近くの観光スポットを探したり、マップの確認をしたり何かと便利ですよね。
外国人観光客がこぞって楽しむSNS投稿も、無料Wi-Fiが飲食店内にあればスムーズに行えます。喜びや感動をフォロワーやハッシュタグ検索をしている人へ伝えてもらえば、飲食店にとって貴重な宣伝機会だと言えます。
事実、SNSは訪日旅行の情報源として、国を問わず最も頻繁に使われる媒体の1つとなっています(*2)。
集客と満足度の面で大きなメリットがありますので、一度設置を検討してみてください。
*1:観光庁/「訪日外国人旅行者の受入環境整備に関するアンケート」結果
*1:観光庁/訪日外国人の消費動向 2018年4-6月期(速報)報告書
外国人観光客をとらえる施策に前向きなら、当社が提供する[会社概要・事例集・対応可能な国&施策まとめの3点資料セット]も役に立つでしょう。具体的な事例や対応策を、無料でダウンロードして確認できます。
外国人向け飲食店運営にはInstagramとトリップアドバイザー活用がおすすめ!
数あるSNSや口コミサイトの中でも、コストの低さと対象の広さから、Instagramとトリップアドバイザーが特におすすめです。
飲食店も積極的に活用していきましょう。
Instagram:ビジュアル訴求で効果的な集客が可能!
SNSによる情報発信は今のインバウンド集客に欠かせない施策です。数あるSNSサービスの中でおすすめなのがInstagramです。
実際にInstagramを活用し、外国人観光客の集客に成功している飲食店も多数存在します。
https://www.instagram.com/p/Bxo34WsFzOu/?utm_source=ig_web_copy_link
例えば、外国人フォロワーを5万人近く獲得し、たった5坪の敷地ながらインバウンド客が多数訪れる渋谷のコーヒースタンド「ABOUT LIFE COFFEE BREWERS」。店内やお客様の様子といった多彩な写真をアップしており、参考になる点が多くあります。
Instagramは近年急速にシェアを伸ばし続けていて、2018年に世界総ユーザー数が10億人を突破しました。シェアの伸び率は、世界No.1のFacebookを抜いてトップとなっています。
Instagramの投稿における特徴は、文章ではなく画像や動画がメインコンテンツだという点です。言葉の壁を取り払いやすいため、インバウンド集客に適しています。
加えてハッシュタグによる検索流入が盛んです。例えば「#japantrip」とハッシュタグを打って検索すると、同じハッシュタグの付いた投稿だけが表示されるので、インバウンド客にとって情報収集が捗ります。
店舗側にしても、需要のあるハッシュタグを投稿へ盛り込めば、ユーザーに発見してもらいやすくなります。あまり付け過ぎると宣伝色が出てしまうので、多くとも10前後に抑えておきましょう。
写真の撮り方や投稿内容などは、日本政府観光局や岐阜県白川村といった成功事例が参考になります。
ただし国家の検閲がある中国ではInstagramを利用できません。中国はネット環境が特殊ですので、彼らを集客する際はまた別のノウハウが必要になります。
トリップアドバイザー:世界最大の口コミサイト
引用元:Trip advisor
トリップアドバイザーは毎月4.5億人が利用する、世界最大の旅行口コミサイトです。
中国語でも運営されており、検閲がある中で手軽にアプローチできるのは、大きな魅力だと言えます。(中国語版はこちら)
さらに無料で利用でき、以下のステップで店舗を登録できます。
- オーナー登録画面から自店舗を検索する
- ①お客様によって既に登録されていたら、適切な内容へ編集する
②まだ登録されていなかったら、新規登録する - 画像や店舗紹介文を用意し、情報をできるだけ細かく入力する
登録・編集時の言語を英語にすると、外国人観光客が理解しやすいページになります。
英語が苦手な方はGoogle翻訳などを活用しても構いませんし、本格的に訴求力を高めたいのであれば、外部の支援企業に相談するのが信頼性とスピードの面で優秀です。
画像と店舗紹介文次第で、お客様に来てもらえるかが決まります。手を抜かず、しっかりと整えておきたいところです。
例として、前述の浅草つる次郎のページをぜひご覧ください。
完成形のイメージが湧くと共に、店舗情報や紹介文の参考になるはずです。
なおページ開設後は、店内にPOPや張り紙を設置したり、ショップカードを配ったりして、なるべく多くの口コミ投稿を促しましょう。トリップアドバイザーも、公式に推奨しています(*1)。
そして寄せられた口コミへ、お礼の返信をすることも重要です。投稿者だけでなく、それを見たユーザーからの信頼度アップへ繋がります。
第三者の感想があるとユーザーは安心感を持て来店する可能性が高まります。店舗運営をするのであれば、登録するようにしましょう。
*1:トリップアドバイザー/「利用客の口コミを活用しエンゲージメントの向上を促す」からの主な分析結果
インバウンドプロモーションを成功させるポイントとは?意外なアピールポイントが見つかる可能性も
LIFEPEPPERのインバウンド集客成功事例集48選
今回は外国人向け訴求を強めていきたい飲食店に向けて、外国人観光客が飲食店に求めていることから、人気の飲食店作りの施策などを述べてきました。
特にInstagramは手軽に始めることができ、かつ外国人観光客も多数情報収集をしていますので、ぜひ活用してみましょう。
また弊社LIFE PEPPERが無料公開している成功事例48選も、取り組みの参考になるかと思います。
弊社が支援してきたインバウンド事業の事例が多数含まれており、課題→解決策→結果の一部始終を解説しています。ダウンロードは無料ですので、ぜひご覧ください。
この記事で触れた具体的な支援事例や、私たちが対応可能な国や施策に関する情報は、[こちら]からダウンロードできる3点セットの資料に詳しく記載されています。
ご興味のある方は、以下リンクからダウンロードしてご活用ください。
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