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中国のグレートファイアウォールとは?仕組みと回避方法を徹底解説

グレート・ファイアウォール」というネット検閲システムが、全土に敷かれておりインターネットの閲覧や通信が制限されています。
グレート・ファイアウォールは、中国政府による自国の情報遮断・IT産業育成が主たる理由として行われています。
この記事では中国がグレート・ファイアウォールを敷く理由から、グレート・ファイアウォールの仕組み・回避方法を解説していきます。

中国のグレート・ファイアウォールとは?

グレート・ファイアウォールは中国全土に敷かれているインターネット検閲・ブロックシステム「金盾(きんじゅん)」のファイアウォール機能のことを指します。
この機能を「万里の長城」に例えて「グレート・ファイアウォール」と呼ばれています。
グレート・ファイアウォールによって、中国では言語規制が厳しく敷かれています。「民主化」といった中国共産党に反する言葉から、ディズニーのキャラクターである「くまのプーさん」も規制対象に入っており、検索することができません。
金盾は中国政府の将来的な情報電子化に向けて、1993年に計画された国家政策「金字工程」の一部です。
導入自体は1999年から開始されましたが、基本的な検閲システムとして稼働を始めたのは2003年からとなります。
なお、香港とマカオの両特別行政区は中国本土とは法体系が異なるため、グレート・ファイアウォールは適用されておりません。

グレート・ファイアウォールによる影響の実例としては、”中国人の爆買い”現象も注目されています。このトピックについての包括的な分析と最新トレンドについては、こちらの資料をご覧ください。

中国がグレート・ファイアウォールを敷く理由


中国政府がグレートファイアウォールを全土に敷く理由は大きく分けて3つあります。
・中国政府に対して不利益な情報の規制
・中国国内のIT市場確保
・中国独自SNS・サービス拡大
それぞれ、詳しくご紹介いたします。

中国政府に対して不利益な情報の規制

中国政府がグレート・ファイアウォールを全土に敷く最大の理由は、政府(特に共産党関係の政治家)に対して不利益な情報を規制することであると言えるでしょう。
グレート・ファイアウォールは中国政府、特に共産党やその政治家に関する批判的な情報や、中国に不利な国際的な情報などを全て遮断します。
また反政府組織等の情報発信も規制の対象となり、政府に批判的な発言であればSNSのコメントなども規制対象です。
身近な例でいうと世界的に有名なGoogleもグレート・ファイアウォールの規制対象と判断されています。
2006年に中国市場へ参入したGoogle。中国国内ではシェア率30%と、順当に百度に続く検索エンジンとして成長していました。
Googleは参入当初中国政府に不利な情報を非表示にする自主検閲を容認しました。その結果、アメリカ議会の講習会でヤフーを筆頭に多くの情報系企業から総バッシングを食らうことに。その後は中国政府に検閲停止を求めてきました。
しかし中国政府による厳格なネット検閲は止まることなく、また同社の無料メールサービスであるGmailが中国国内のハッカーに攻撃される事態も発生。そういったことが相重なり、Googleは2010年に中国撤退することとなりました。
このように大規模な情報規制により中国政府の反乱因子を取り除くことが一番の理由といえます。
参考:NHK 放送文化研究所「米グーグル、中国市場からの”撤退”を表明」

中国国内のIT市場確保

中国国内のIT市場保護・拡大というのも、中国でグレート・ファイアウォールが敷かれている主要な理由だと考えられます。
世界的にみてインターネット事業で成功している企業は、どの国でも国内的に大きな地位を手にしています。GoogleやFacebookといったIT企業はもはや誰でも一度は聞いたことのある企業となりました。
以前までの中国は世界的にみて、まだまだIT業界で遅れを取っていました。その中で有名IT企業を中国に参入させてしまうと、日本等と同じように欧米企業がIT業界を占領してしまうことは確実です。
そういった事態になった時、中国国内の情報や利益が他国に独占されてしまうような状況に陥ってしまいます。
そのためグレート・ファイアウォールを敷くことで、他国の情報やサービスをマーケットから締め出し、IT市場を国内企業で独占する意図があると思われます。

中国独自SNS・サービス拡大


中国政府がGoogleを締め出したことにより、一時的に中国国内のIT業界は低迷しました。
しかし「百度(バイドゥ)」「微博(ウェイボー)」「WeChat(微信)」といった国内IT企業が台頭したことで、いまではIT産業が急激に成長しています。
こういった中国国内での独自SNSやサービスの市場拡大もグレート・ファイアウォールの成果と言えるでしょう。
特に「百度」はGoogleに次いで世界2位のIT企業という目覚ましい成長を遂げており、中国政府の意図したとおりの成果を挙げています。


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中国グレート・ファイアウォールの仕組み


引用元:ベストvpn.jp
グレート・ファイアウォールの開発には「CISCO」「マイクロソフト」「オラクル」など多国籍の大手IT企業が関わっており、世界でも最高峰のセキュリティと呼ばれています。
ここからは実際にグレート・ファイアウォールがどのように外部情報をブロックしているのかをご紹介します。
グレート・ファイアウォールは基本的に、以下の4工程から成り立っています。
DNSをブロック
接続フェイズの監視
URLキーワードのブロック
ページスキャン
画像も踏まえてそれぞれ詳しくご紹介いたします。

1段階:DNSをブロック


引用元:TechinAsia
1段階目はDNS(*1)をブロックします。
基本的にURLを打ち込むとDNSは対象のIPアドレスを検索します。しかし検索対象のURLがブロック対象となっていた場合、DNSがIPアドレスがないと応答し、ユーザーが閲覧出来ません。
*1:DNS(Domain Name System、ドメイン・ネーム・システム):
インターネットを使った階層的な分散型データベースシステム。主にインターネット上のホスト名や電子メールに使われるドメイン名と、IPアドレスとの対応づけ(正引き、逆引き)を管理するために使用される。

2段階:接続フェイズを監視


引用元:同上
DNSのブロックをくぐり抜けると、2段階目の接続フェイズの監視がかかります。
このフェイズではIPアドレス(*2)のチェックを行います。接続先が禁止IPアドレスであった場合、接続リクエストを強制的に遮断します。
*2:IPアドレス:
IPでネットワーク上の機器を識別するために指定する、ネットワーク層における識別用の番号。データリンク層のMACアドレスを物理アドレスということに対応して、論理アドレスと呼ばれることもある。

3段階:URLキーワードをブロック


引用元:同上
3段階目はキーワードのブロックです。
URLがブロック対象外でも、検索クエリに禁止用語が含まれている場合、検索はブロックされます。
当然、中国政府のことや共産党関係のキーワードはブロック対象となります。その他にも様々なキーワードがブロック対象となりますが、詳しくは後ほどご紹介いたします。

4段階:ページスキャン


引用元:同上
4段階目はページスキャンです。いままでのブロックを避けることができてURLが開いたとしても、監視システムがそのページを完全にスキャンします。
その結果、システムが不適切と判断した場合、たとえ規制対象KWが入っていなくてもそのページを遮断します。

グレート・ファイアウォールで遮断している情報等


グレート・ファイアウォールは政治的な情報以外にも様々な内容をブロックします。
中国政府が公表している規制対象は、以下の通りです。

  • 政治的問題
  • 政府に不都合な報道
  • 反体制派からの情報発信
  • 政治的啓発サイト
  • 政府に批判的な内容のSNSメッセージ
  • 宗教サイト
  • ポルノサイト

上記の項目だけではあまりイメージが沸かないと思うので具体的な例を交えてご紹介いたします。

グレート・ファイアウォールの具体的な遮断対象は?

  • 中国政府に批判的な団体や人物
  • 中国政府にとって都合の悪いニュース(天安門事件など)
  • インスタグラムやTwitter・FacebookなどのSNSサイト
  • アダルトサイト
  • 海外の動画サイト(Youtubeなど)

上記に当てはまるサイトは監視システムによって常に監視されており、アクセスを試みても完全に遮断されてしまいます。
日本のサイトを例として上げると「FC2」や「2ちゃんねる」などが規制対象です。
Yahoo検索やGoogle検索も使えないため、日本と同じようにインターネットを接続してもほとんど確認できません。

グレート・ファイアウォールの回避方法


このようにグレート・ファイアウォールは世界的に見ても最大級のセキュリティといえます。
しかし出張などで中国へ滞在する方にとって、日本と同じ環境でネットワークを使用できないのは非常に困りますよね。
そこでグレート・ファイアウォールの回避方法をご紹介いたします。といっても現状システムをかいくぐる方法は1種類しかありません。
それはVPNを利用することです。ではどうやって回避するのか詳しくご紹介いたします。

VPNとは?

まずVPNについてご紹介します。
VPNとはVirtual Private Networkの略称で、「公衆回線を使って構築する仮想プライベート・ネットワーク」の事を指します。
インターネットのような公共ネットワークを、専用回線のように見立てて使用するネットワークだと言えるでしょう。
VPN回線で通信するデータは暗号化などのセキュリティ対策が取られているため、情報漏えいなどのリスクを減らすことが出来ます。
一般的には企業が情報漏えい対策として導入するケースに多く活用されています。
参考:「Virtual Private Network」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版
ブイ・ピー・エヌ 【VPN】 小学館デジタル大辞泉

なぜVPNを使うことで回避できるのか

VPNを使用することで国外のサーバーへ暗号化して通信を行うことができます。
この通信は海外サーバーへ接続されているため、グレート・ファイアウォールの規制に掛かりません。
個人でVPNサーバーを立てることは難しいですが、中国国内ではVPNを提供しているサービスがいくつかあるのでこちらを利用するのが一番簡単な方法でしょう。

中国でVPN回線を維持することの難しさ

VPN回線でグレート・ファイアウォールを回避出来ることはもちろん中国政府も認知しています。
そのため大手プロパイダーは政府によって監視されており、定期的にIPをブロックされてしまいます。
対策としてプロパイダー側は中国用のサーバーを複数台運用し、ブロックされるたびにIPアドレスを変更して対応しています。
しかし中国のインターネットへ直通で接続出来る回線は限られています。その上にそれらの回線が通常よりも高額であるため、通信環境が良好なVPNを使用する場合は高額な通信料が必要となります。

中国でのVPN規制状況

中国は2017年6月に「サイバーセキュリティ法」を施行し、政府に登録し認可を受けたVPNサービスしか利用できなくなるとコメントしました。
同年10月には無料のVPNに規制が掛かり、ほとんどの無料VPNは使用できなくなりました。
2018年3月31日には政府がVPN取締強化を宣言し、4月には有料VPNにも規制が掛かりました。
中国政府は未認可のVPNを全て締め出すと宣言しているため、今後も規制はより厳しくなるでしょう。

まとめ

この記事では中国にグレート・ファイアウォールが敷かれた理由や経緯などをご紹介致しました。
グレート・ファイアウォールは世界的に見ても最高レベルのセキュリティシステムです。
これから中国進出をご検討中の方や、訪中のご予定のある方は、中国ではグレート・ファイアウォールによって日本のような通信環境でインターネット利用が出来ないことを理解しておきましょう。
グレート・ファイアウォールに関しては、今後の方向性によってはビジネスに大きな影響が生じる可能性もあります。
中国という巨大市場と対峙するためには、常に情報をキャッチアップするようにしましょう。

グレート・ファイアウォールの回避策と中国市場を理解する上での重要な視点については、こちらの無料資料でさらなる情報を得られます。

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