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中国向けの販売を進める上で欠かせない「旅アト理論」と「越境EC」
インバウンド業界で最も消費額が大きく業界の注目を集めるのは中国マーケットです。インバウンド施策の中でも「旅マエ理論」という「訪日外国人が日本に訪れる前段階にプロモーションを行う手法」が主流でした。
これは訪日外国人、特に中国人観光客の「旅行日程&買い物リスト」を日本旅行前に決めるという習慣を狙ったプロモーションの考え方です。ただ今回は、この旅マエ理論より最新のトレンド「旅アト」「越境EC」を主に解説していきます。
この記事を見れば越境ECの基本を一通り学ぶことができます。
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そもそもEC・越境ECとは?
越境ECとは、文字通り国境を超えたECの事です。ECは略さずに言えば「electronic commerce」になります。つまり、簡単に言えば国境を超えた売買が可能なネットショップが越境ECです。最近のグローバルビジネスのトレンドの一つとしてこの越境ECを活用した海外販売を開始する企業が多くなっています。
現地のECモール(Amazon,ZOZOTOWN,楽天ショッピングが日本ではよく利用される)に出店する方法をとる企業や自社独自の越境ECを開発して、プロモーション・集客を行なっている企業がそのほとんどを占めます。
越境EC市場での展開を考える上で、Amazonのような大手ECモールの活用は避けて通れません。その攻略法を知りたい方は、『米国No.1のECモール Amazon攻略法徹底解説』をぜひダウンロードしてご覧ください。
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【2019年】中国ECモールランキング
中国でECモール出店を検討するなら知っておきたい「中国ECモールランキングTOP3」をご紹介します。
こちらは2018年のBtoC市場シェアをグラフに表したものです。(出展:経済産業省 平成30年度 我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査))
このデータを基に中国の上位ECサイトを解説していきます。
中国ECランキング1位:天猫(Tmall)
中国で一番利用されているECモールは天猫(Tmall)というECモールです。元々中国のインターネット市場はCtoCの取引が主流でしたが、中国においてネット通販市場が成熟し、偽物が多く出回っている市場においては、BtoC市場の取引が増えてきています。7万以上のブランドが出店しており、世界最大のECモールの1つです。このECモールは、アリババグループが運営する中国のECモールです。元々この天猫(Tmall)の前身は、「淘宝商城」といって淘宝網(Taobao)というECサービスの一角としてBtoCのECを展開していました。しかし、淘宝網(Taobao)の偽物問題などを受け、イメージを一新し天猫(Tmall)という新ブランドのECとして独立しました。
Tmallの特徴は出店者側にハードルを設けていることによって、信頼度の低い個人のバイヤーの出店を防いでいるという特徴があります。
中国ECランキング2位:京東商城(JD)
中国で2番目に利用されている京東商城(JD)は、京东という急成長企業が運営するECモールです。天猫(Tmall)とECシェアを競っています。こちらも天猫(Tmall)と同じく出店者にハードルを設けているため、信頼性が高いという特徴があります。
Tmallと異なる点は、Tmallが各事業者に出店させるショッピングモール形式のECモールであるのに対し、こちらの京東(JD)は、各事業者の商品を自社で仕入れ、それを販売するというセレクトショップの形式を取っています。
この形式でのECモールとしては京東(JD)はシェア50%を超えており、また元々が家電を扱っていた企業であるため、今でも家電を購入するなら京東(JD)というイメージが強いです。
中国のBtoC市場はTmallと京东(京東商城)の2社で独占状態になっていて、そのシェアは2社合わせて80%を超えています。
中国ECランキング3位:唯品会(VIP)
唯品会はアパレルやアクセサリーを中心としたECモールで、女性ユーザーが多いのが特徴です。
唯品会では、商品を直接海外のメーカーやブランドから仕入れているため、中国国内でも懸念されている偽物の心配がなく、また正規品の保証も厚く、万が一偽物であった場合は全額返金などの措置を取っています。
ECランキング番外編①RED
・RED(小紅)
近年利用者が伸びているECサービスとして、RED(小紅)が挙げられます。
このサービスは主に写真投稿をベースにしており、操作感としてはInstagramにEC機能がついたものというのが一番近いと思います。写真投稿SNSをベースにしているため実際に使用した口コミを検索した後に、そのままアプリ内ECで商品の購入が可能となっており、スムーズな消費者の購入動線を確立して。専属のインフルンサーも多数おり、中国の若者から支持を集めています。
REDへの出店には中国現地法人が必要ですが、代行を請け負う企業もいるためそこまでハードルは高くありません。REDへの出店に関しての相談も弊社にお任せ下さい。
サービス紹介:中国RED-小紅書インフルエンサー
ECランキング番外編②Amazon
世界中でシェアを独占しているAmazonも中国市場に進出していますが、現状苦戦を強いられています。Amazonのシェアは1.3%に留まっており、シェア率のランキングでは8位になっています。これを受けてAmazonは最大のライバルであるTmallに出店しました。これは日本でいえばAmazonが楽天の中で出店したようなものです。この事態からいかに中国ECモールが難しい市場であるかがわかります。
Amazonでもここまでの苦戦を強いられているのは、中国政府が中国企業を保護するために規制を敷いていることが理由としてあげられます。
しかしシェア率がわずか1.3%のAmazonでも売り上げは1兆円となっていて、これは2016年度の楽天の売り上げが3兆円だったことを考えると、かなりの売り上げになっています。シェア率の少ないAmazonでもこれほどの売り上げを上げられることから、中国EC市場がいかに巨大な市場であるかがわかります。
2019年4月17日、Amazonが中国市場からの撤退を発表しました。Amazonは2018年度、中国EC市場では0.8%のシェアにとどまっており中国現地のローカライズがどれだけ難しいかということがよく分かりますね。
参考:https://www.sankeibiz.jp/macro/news/190419/mcb1904191200014-n2.htm
参考:https://www.tmogroup.com.cn/other/26559/
なぜ中国向け越境ECを活用した施策がインバウンド業界・グローバルビジネス業界を賑わせているのか?
年々、海外向けにECを活用して商品販売を開始する日本企業は増えています。その理由はなぜでしょうか?その理由は主に下の4つです。
中国向けの越境ECが注目される4つの理由
・圧倒的市場規模
・年々増加するECでの購入金額
・インバウンド集客の効果の最大化
・訪日中国人の日本の製品をより安く買いたいというニーズ
1. 中国の圧倒的市場規模、年々増加するECでの購入金額
まず、一番大きな要因として中国の圧倒的な市場規模がその一つです。
上の写真は2011年からの中国のEC販売市場規模に関するデータ(数字の単位は億ドル)です。年々加速度的にEC市場規模は拡大し、2022年には1.8兆米ドルの取引金額に達するという予測がされており、これはアメリカの7130億ドルの2倍という圧倒的な数値です。
また、日本のEC市場規模は2017年に「935億ドル」なのに対し、2017年の中国のEC市場規模は「11,153億ドル」であり比べ物にならないほどの差になっています。
この規模の差がどれくらいかというと、中国のネット通販の買い物の祭典「独身の日」(W11、ダブルイレブン)が2018年11月11日に開催され、中国EC最大手の阿里巴巴集団(アリババグループ)と「JD.com」運営の中国直販EC最大手「京東集団」の取扱高は、2社合計で3732億元(日本円で5兆9712億円、1元16円換算)でした。
日本最大手のECモールである楽天の2017年度(2017年1~12月期)の国内EC流通総額は3兆3912億円であるため、楽天の年間取扱高でもアリババグループのEC一日の取扱高に及ばないということが分かります。
2. インバウンド集客の効果の最大化
2015年から急激に世間でも知られることとなった「インバウンド」ですが、当時の日本企業は訪日中国人に対して「自社の製品をいかに日本旅行中に購入してもらうか」という視点でのプロモーションが大半を占めていました。
現在では、さらにインバウンドでのプロモーション効果を最大化させるために、日本で購入してもらった商品を「帰国後にもECで購入することができる」「日本旅行にわざわざ行かなくても、中国で商品を購入することができる」という状態を作ってプロモーションの幅を広げています。
これが最初にお話した「旅アト」という考え方になっています。
3. 訪日中国人の日本の製品をより安く買いたいというニーズ
訪日外国人が日本製品を日本で購入する理由の一つとして価格の安さがあります。中国では、日本製品を個人で安く仕入れECモールで転売をするソーシャルバイヤー(代購)と呼ばれるバイヤーがいます。彼らが販売している商品は、日本での販売価格に利益を乗せて中国で販売を行なっているため、販売価格が日本よりかなり高いという特徴があります。
そのため当然ですが、日本のメーカー側が自ら中国向けに販売を開始すれば、ソーシャルバイヤーの販売価格よりも安くかつ信頼性のある状態で販売を行うことが可能です。
越境ECビジネス展開の全貌を理解するためには、さまざまなノウハウが不可欠です。特に米国市場への参入を考えているなら、この無料資料『米国No.1のECモール Amazon攻略法徹底解説』が大いに役立つでしょう。
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中国越境ECマーケティングにおけるECの種類
冒頭でも説明したように越境ECを活用したマーケティングを行う場合、大きく分けて二つの方法があります。すでに中国現地にあるECモールに出店する方法と自社独自の越境ECサイトを制作する方法です。
中国ECモール出店のメリット・デメリット
中国のECモール出店は、Tmall(天猫)・淘宝網(Taobao)などすでに中国で利用されているECモールに出店する手法です。
メリット
1.低コストで始められる
ECモール出店もECモールごとに条件が異なりますが、CtoC向けのECモールであれば初期費用もほとんどかからず販売を開始することが可能です。
2.自社で集客をしなくてもそれなりのアクセスがある
すでに著名なECモールで販売を行うため、知名度のある商品であればECモール自体の集客力によって、少しずつ購入されていきます。
3.すぐに販売開始できる
すでに中国に存在しているECモールに出店手続きを行うだけで、特にECサイトの制作などの手間がかかる心配はありません。
デメリット
1.販売手数料がかかる
ECモールは当然ですが、購入が発生した際にECモールに対して手数料を払う必要があります。またECモールによっては出店する事に対して支払いを求めているECモールも存在しているため、自社独自の越境ECで販売する場合に比べ利益率が落ちます。
2.ブランディングをコントロールできない
日本国内でも同じことが言えますが、ECモールでは他社の商品と同じデザインのサイトで販売されるため、自社のブランディング戦略に沿ったイメージを作ることが難しくなります。ただし、すでにいろんな製品がすでにソーシャルバイヤーによってECモールで販売されているため、あまり気にする必要はないと思われます。
3.競合との価格競争にさらされる
ECモール上では商品の紹介を十分にできるわけではないため、同ジャンルの製品との価格競争にさらされます。
中国ECモール出店はこんな場合にオススメ
基本的に商品ブランディングが最重要事項という戦略ではない場合は、複数のECモールでの出店をお勧めします。その理由は販売場所の幅を広げる事によって多くの見込み客との接点を持つことができるという点。そして、ブランディングが最重要ではないのであれば、すでに中国で自社製品が流通しているというケースは多くあるため、ブランディングのために自社ではECモール出店をしないという選択肢はあまり意味がないように思われます。特別な理由がない場合は、ECモール出店を検討してみてはいかがですか?
中国越境EC制作のメリット・デメリット
メリット
1.売上が完全に自社の利益になる
ECモール出店を行う場合と異なり自社越境ECでの売上は完全に自社の売上となるため、利益率が高いという特徴があります。
2.顧客を蓄積できる
自社越境ECでマーケティングを行う場合、一度購入した顧客にブランドを認知してもらえるという利点があります。これにより、リピート購入の確率が高まります。
3.プロモーションの幅が広がる
自社越境ECはカスタマイズ性に優れるため、キャンペーンを自由に行ったり、顧客情報を取得して定期的に
デメリット
1.自社で越境ECヘの集客を行う必要がある
越境ECの場合はECモールと異なり、最初はサイトを知る人は皆無です。そのため越境ECを制作しただけで中国プロモーションが成功するということはありません。すでにかなりの認知度を持つ商材であれば、商品名の指名検索だけでEC購入が発生するかもしれませんが、通常は考えにくいでしょう。越境ECを制作した状態というのはいわば異国の地で屋台を始めるような状態で、そこからいかに集客を行なっていくのかが鍵になります。
2.配送体制を整備する必要がある
越境ECで販売を行うということは配送体制・返品対応が不可欠です。これにはいくつかの方法があり、海外配送サービスを利用し、日本から中国に配送する方法・中国に倉庫を持ち配送機能を作る方法などです。流通網の確保は重要であり、特に中国人は配送までの時間に敏感であるため、注文したその日のうちに商品が届くことを望んでいます。Amazonが浸透しなかった理由として「配達までに2日もかかるのは遅すぎる。」という意見が多かったことからもわかりますね。
3.越境EC制作の初期費用がかかる
越境ECを製作するということは通常のECを作成する以上に費用がかかります。海外決済対応や多言語対応など、通常のECより高い金額での初期費用が発生するという点も考える必要があります。
こんな場合にオススメ
それなりに中国での知名度を獲得している、知名度はまだ少ないが中国でのプロモーションに自信がある、ブランディングを大切にしたい、予算が大きいためできるだけ顧客接点を増やしたい。このような企業様には越境ECでのプロモーションがおすすめです。
ここまでで越境ECの基礎・種類別の特徴を基礎編ということで紹介してきました。ここからは、ECモールや越境ECを開いた後のプロモーションについて効果的な方法をご紹介します。
中国越境EC&ECモール出店と組み合わせて有効なプロモーション施策
中国でプロモーションをする上で考えるべき点は、国内市場に比べ商材が認知されていないという点です。そのため、販売戦略の一部を始めるのではなく、全体設計を行う必要があります。中国向けのプロモーション戦略立案を行う上で必要な施策は大きく3つに分けられます。「認知施策」「ファン化施策」「リピート施策」の3つです。
プロモーション後の理想的な状態は、顧客がブランド認知しており、広告費を使わなくても定期的に購入をしてもらえる状態です。最初に取り組む施策は認知施策になりますが、同時に認知後にファンとなる仕組みやリピートを行う仕組みを作ることが重要です。
1.中国人の見込み客に認知してもらうマーケティング手法
認知段階では、自社の商材の認知を広め見込み客に情報を届けることを目的にします。効果的に認知を広め、そのうちの一部が越境ECやECモールに遷移します。まずはいくつかの認知拡大施策で費用対効果の良いものを探りましょう。
オススメの中国プロモーション手法
・Weiboインフルエンサー(ネット上で著名な個人)よるクチコミSNS投稿
・動画サービス上でのインフルエンサー(ネット上で著名な個人)よる投稿
・百度リスティング広告
など
2.中国人顧客をファン化させる
購入に至ったユーザーのファン化施策を打つことで継続的に自社商材の情報を発信できる体制を構築しましょう。中国国内でよく用いられる手法としては、購入時の割引キャンペーンとしてWeiboアカウントをフォローする・いいねする、WechatをフォローするというようなSNSでの行動をした顧客に割引を適応するという手法が多用されています。
またECの場合は、ショップにクチコミを書いてもらうことで上位に表示されやすくするという場合もあります。
オススメのファン化手法
・Weibo企業アカウントのフォロー
・Wechat企業アカウントのフォロー
・自社越境ECの会員登録
・ECモールのショップへの口コミ
サービス紹介:中国向けWeChat(微信)・Weibo(微博)活用サービス
3.中国人顧客にリピートしてもらうマーケティング施策
過去購入者や見込み客に情報発信できる体制ができた後は、一般的にSNSマーケティング・メルマガマーケティングと呼ばれている手法を実施することで商品購入のリピートを促しましょう。
オススメのリピート促進手法
・SNSでの定期的な情報配信
・リスティング広告のリターゲティング機能
・自社越境ECでのキャンペーン
・自社越境ECの会員向けの情報配信
サービス紹介:中国向けWeChat(微信)・Weibo(微博)活用サービス
すでにご紹介した通り、効果的な越境EC展開にはしっかりとした知識が必要です。Amazonでの販売を見込むなら、この『米国No.1のECモール Amazon攻略法徹底解説』をチェックし、成功への一歩を踏み出しましょう。
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中国向け自社越境EC/ECモール出店マーケティングまとめ
ここまで中国向けのWEBでの販売体制構築からプロモーションまで総合的に紹介してきましたが、大きく大切なポイントをまとめると二つに分けられます。
1. どのような販売体制で中国向けにEC運用を行うのか決める
2. 販売体制・商材に合わせてプロモーション戦略を立てる
この二つを自社の状態に合わせて検討し、効果検証を行うことが重要になります。特に販売体制に関しては、初期費用が発生する部分のため双方の特徴を理解した上で選択する必要があります。プロモーションに関しては、インフルエンサーを活用したプロモーションであっても、リスティング広告であっても最初から最大の効果を上げることは難しいため、効果を徐々にあげられるように改善を行いながらプロモーションをすることが重要です。
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