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地方創生の成功例を徹底解説!海外の参考事例も合わせて紹介!

人口減少により地方の衰退が進むなか、外国人観光客を誘致する「インバウンド対策」が注目されています。

2019年の訪日外国人観光客外国人観光客数は3,188万人、旅行消費額は4.,8兆円に達しており、この莫大なインバウンド消費を取り込むことが、地方創生にとって重要です。(*1・2)

本記事では、地方創生に観光客誘致が好相性な理由と、国内外の成功例を解説していきます。

東京や大阪、京都などの、いわゆる「ゴールデンルート」以外の厳しい環境下にある地方都市で、外国人観光客を誘致する事業のヒントにしていただければ幸いです。

*1:訪日外客数(2019 年 12 月および年間推計値)|JNTO
*2:訪日外国人消費動向調査2019年年間値(確報)|国土交通省

地方創生には海外の観光客誘致を!好相性な理由とは

まずは、なぜ地方創生にインバウンド対策が有効なのかを紹介していきます。

外国人旅行者の方が1人あたりの経済効果が大きいから

1つめの理由は、日本人旅行者よりも外国人旅行者の方が、1人あたりの経済効果が大きいからです。

定住人口1人当たりの年間消費額は、一般に125万円とされていますこの金額を旅行者の消費に換算すると、国内旅行者(宿泊)25人分国内旅行者(日帰り)81人分なのに対し、外国人旅行者ならたった8人分なのです(*)

国内旅行者の1人1回当たり旅行支出は、宿泊で4万9,321円、日帰りで1万5,526円。一方、外国人旅行者は1人1回当たり旅行支出として15万3,921円を消費します。

国内旅行者より、外国人観光客による経済効果の方が大きいわけですね。少子高齢化と東京一極集中により人口減少が進む地方では、この視点が特に重要になると言えます。

*:観光による地方創生の実現を目指して:観光交流人口増大の経済効果(2017年)|山形大学

海外マーケットへの最適なアプローチ方法については、『訪日韓国人集客の鉄則』をダウンロードして参照ください。

先細る内需をカバーできるから

2つめの理由は、外国人誘致によって先細る内需をカバーできるからです。

今後の日本では、人口減少により、主に地元客を相手にしていた企業の売上の落ち込みが予想されます。しかしインバウンド客を取り込めれば、その予想を覆すことができるのです。

自社だけでなく、自社の関連記事も恩恵を受けられるので、地域全体の活性化にもつながりますね。

地方出身者のUIJターンが期待できるから

3つめの理由は、都市部で働いていた地方出身者のUIJターンが期待できるからです。UIJターンとは、地方から都市部へ移住した人が、再び地方や地元へ戻って来る動きのこと。

インバウンドで地方が盛り上がれば、その分雇用も拡大し、新しいビジネスチャンスも出てくるでしょう。つまり、地方に若年層の人材を留めておけるようになるわけです。

その地方で生きがいを見出せる、人生設計ができるといった魅力と価値を発信しなければならないなど、簡単ではありません。が、少子高齢化が顕著な地方の持続的発展のためには、UIJターンのきっかけ作りが欠かせないのです。

地方創生×インバウンド観光┃国内の成功例3選

次に、インバウンド観光により、地方創生を果たした国内の成功例を解説していきます。

宮崎県高千穂町

宮崎県高千穂町は、太陽神である天照大御神が隠れ、世界が暗闇に包まれた「天岩戸」の舞台であり、神話に関連するスポットや神社などで有名です。自然にも恵まれていて、日本人観光客からは、展望台より見下ろす風景が好評を博しています

そんな千穂町は当初、インバウンド客誘致にも、神話や自然を武器にしたプロモーションを行っていました。しかし、外国人観光客は立ち寄り客が圧倒的に多く、宿泊客を思うように獲得できません。

そこでインバウンド対策を見直すために、外国人観光客にアンケート調査を実施。すると、外国人観光客は、そもそも日本に神話があることを知らないため、関連するスポットを周遊しないことがわかりました。滞在時間が短ければ、宿泊もしてくれません。

この結果を受けて千穂町は、外国人が多い羽田空港国際ターミナルでの神楽奉納や、高千穂神社にて毎晩楽しめる「高千穂神楽」を外国人向けのコンテンツとしてアピールし、日本神話の認知度を高める取り組みを行います。

すると高千穂町の外国人観光客数は、2011年に1万人未満だったのが、2017年に7万人を突破するほどに。

高千穂町は当初、誘致がうまくいかなかったため、現状を把握する目的で外国人観光客にアンケート調査をしました。その結果を踏まえて、外国人観光客に日本神話を知らせるためのプロモーションを展開したことが、成功の要因だといえるでしょう。

参照:インバウンド 事例調査レポート|JNTO

佐賀県

佐賀県は、韓国・中国人客の誘致活動をしていたものの、同様の取り組みをする自治体が多く、苦戦していました。

そこで、同県へのアクセスが良く、ビザ緩和が開始されたばかりのタイを新しいターゲットに設定します。

一般的にインバウンド対策では「食」「自然」「文化」「気候」などの、地域独自の観光資源を前面に出して、誘致に取り組みます。しかし、佐賀県はそのようなセオリーにこだわらず、「あくまで佐賀県にもあるもの」で勝負しました。

海外の映像関係者が日本の撮影で求めるものは、桜や神社、雪、忍者などです。これらは東京や京都以外にもあり、地方の佐賀県ならコストを抑えて撮影できます。

そこでタイの映画・ドラマで実績があり、同国内で知らない人がいないといわれる、名匠ニミブッド監督に撮影をオファーし、インバウンドプロモーションを実施します。「唐津城」や「虹の松原」などの観光名所を撮影した作品「タイムライン」が、タイ全土で初登場2位の人気作品になったのをきっかけに、タイの人々の注目を浴びるようになりました。

その後も佐賀県はタイとの文化交流を拡大し、2013年からの3年間で外国人宿泊観光客数を約4.4倍の249,640人にまで増やします。独自の強みにこだわるのはなく、他とは違うターゲティングでプロモーションを展開したことが、佐賀県の成功の要因といえるでしょう。

参照:インバウンド 事例調査レポート|JNTO

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福島県

2010年、福島県には中国・韓国を中心に約9万人の外国人観光客が訪れていましたが、震災後、3万人以下に激減します。原発事故の風評やインターネット上のネガティブな情報から、以前のような活力を取り戻すことは困難に思われました。

そのような状況で福島県は、風評被害がいくぶんか少ないと思われる台湾、タイ、ベトナム、オーストラリアの4か国をターゲットに、Webプロモーションを展開します。

まず「JAPAN」の検索結果から、それぞれの国の人が何に興味を持っているのかを調査しました。その結果「ヒストリー」「アウトドア」「ヘルス」「ネイチャー」の4テーマが、興味の対象だとわかりました。

福島県は、これらのテーマについてPR動画を制作し、インストリーム広告とGoogleアドワーズで配信して、1,200万回再生を達成します。

実際の誘致にも結びついており、ターゲット4か国の外国人宿泊客数を2016年と2017年で比較すると、台湾が9,780人、タイが6,560人、ベトナムが1,670人、オーストラリアが840人も増加しました。

風評被害の少ない4か国をターゲットに絞り込み、デジタルマーケティングを展開したことが、福島県の成功の要因だといえるでしょう。

参照:インバウンド 事例調査レポート|JNTO

海外の成功例からも学ぶ!地方創生のヒント

続いて、インバウンド対策により地方創生に成功した海外の事例を紹介します。

ドイツ・ヴォルフスブルク

ヴォルフスブルクは、ドイツのニーダーザクセン州にある、人口約12万人の都市です。ここには、世界的自動車メーカー「フォルクスワーゲン」の本社があります。

2000年にオープンした「アウトシュタット」と呼ばれる、フォルクスワーゲンが作った車の街には、自動車博物館や各ブランドのパビリオンなどが並びます子供用の足漕ぎカート周回路や、ヨーロッパの歴史的な名車などに触れることができ、子供から大人まで楽しめるとあって、国内外から年間200万人もの観光客が訪れるのです。

ヴォルフスブルクの人口の16倍以上も来園していると考えると、規模の大きさに驚かされますね。日本でも、地域産業と観光の融合は充分に図れるでしょう。、企業と自治体が手を組めれば、それによる地方創生も期待できます。

参照:産業観光の今後のあり方に関する調査研究 |サービス産業構造改革推進調査 

イタリア

イタリアでは地方産業が発展しており、1,500億円規模を誇る自治体や村も珍しくありません。パメルザンチーズやパルマハムなどのような、「世界で一位」のものに集中してリソースを投資し、世界のマーケットを相手にしているからです。

加えて、地方や村の中の一企業といった単位ではなく、地方や村が一丸で製造から販売まで手掛けるからこそ実現できることといえます。

現状、日本の地方ではリソースが足りていません。そんな中でビジネスをもり立てていくには、地域全体が一体となって取り組むのが有効です。インバウンド事業に補助金を出すところも多いので、一度所属の自治体のサイトを確認してみてはいかがでしょうか。

参照:大前氏「日本の地方はイタリアの村を見よ!」 |東洋経済

まとめ

今回は地方創生におけるインバウンド対策の有効性と、実際の成功事例を紹介しました。

少子高齢化と東京一極集中による人口減少が進む地方は、今後も厳しい状況が予想されます。そんな中で発展し、若年層を地元に留めるには、インバウンド客誘致がカギの1つを握るわけです。

2019年の訪日外国人観光客数は、3,000万人を超えました。さらなる市場拡大のために、観光庁では、補助金を出すインバウンド対策事業を公募しているときがあります。各自治体も同様の取組を行っていますので、ぜひチェックしてみてください。

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