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年々増加する訪日外国人旅行者の中で、断トツに多いのが中国人です。2019年は、10月までに558万人を記録。同年同月までの訪日外国人客総数1,962万人のうち、28.4%を占めるほどです(*)。
この大きな客層を取り込みたいと考える企業・自治体はやはり多く、誘致合戦が今、激しさを増しています。担当者の方は、いかに効率良くターゲットへアプローチするか、限られたリソースと格闘しながら思案中なのではないでしょうか。
これを踏まえて、まず押さえてほしいツールの1つに、Baidu(百度)という検索エンジンがあります。
今回は、Baiduとはどのようなサービスなのか解説すると共に、Baiduを用いたインバウンド対策の方法や成功事例なども併せてご紹介します。
Baiduとは?中国最大の検索エンジン
Baiduは百度公司という企業が運営する、中国最大の検索エンジンです。
市場シェアはBaidu JAPANの調べによると約90%。同国のネットユーザー8億人のうち、6億人ほどが利用している計算になります(*1)。
またスマホ検索でも、Baiduは中国国内のトップシェアを誇ります。
● Baidu Mobile(手机百度)
モバイル版のアプリで、累計ダウンロード数は8億越え(*2)。
● Baidu Browser(百度瀏覽器)
Baiduモバイル版のブラウザで、中国国内のシェア率は29%(*2)。
近年はどの国でもPCよりスマホの利用率が高まっていますが、中国では特に顕著で、同国ネットユーザーの98.6%がスマホメインです(*3)。
モバイルでも高いシェア率を誇るBaiduなら、時流に乗り遅れない的確なアプローチができます。
*1:Baidu JAPAN公式サイト
*2:Baidu JAPAN/サービス紹介 百度インフィード広告
*3:CNNIC/CNNIC发布第43次《中国互联网络发展状况统计报告》
【2019年版】たったこれだけ!中国の百度登録とSEO対策!
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Baiduをインバウンド対策に活用しよう!
ここでは、中国人誘致におけるBaiduの有効性を解説します。最大シェアという点以外にも強みがありますので、それらも余さず把握し、誘致戦略に役立てましょう。
有効性その1:6億人以上のユーザーへアプローチできる
前述のとおり、Baiduは6億人以上のユーザーを抱えています。企業からすれば、超膨大な数の見込み客へリーチできるわけで、この点だけでもインバウンド対策への有効性が分かりますね。
そもそも中国では、GoogleやBingといった自国産でないWebサービスのほとんどが遮断されており、使用できません。これは共産党政府の統制によるもので、中国在住者は同国独自のサービスを使わざるを得ないのです。
ちなみに、BaiduにもSogou(捜狗)やShenma(神馬)など競合が存在します。が、なかなかシェアを割るには至っていません。Baiduはネット黎明期から中国語検索システムを整備・発展させており、この技術と実績に対し、他企業が追随しきれていないのです。
最近は少しずつ差が縮まりつつありますが、PC・モバイルともにBaiduの強さは依然圧倒的です。中国向けWebマーケに取り組むのであれば、やはりBaiduを優先して押さえましょう。
中国のグレートファイアウォールとは?仕組みと回避方法を徹底解説
有効性その2:広告の種類が4つと豊富で、目的に応じて幅広くプロモーションが打てる
Baiduには4つの広告があり、用途や目的によって使い分ければ、性別や年齢・興味などが異なる様々なユーザーに対して最適化したメッセージの配信が可能です。
各広告の特長は以下のとおり。
● リスティング広告
Googleと同じく、検索結果の画面に表示される検索キーワード連動型広告
● アドネットワーク広告
広告媒体のWebサイトを多数集めて「広告配信ネットワーク」を形成。その多数のWebサイト上で広告を配信
● インフィード広告
Baidu検索アプリなどのタイムライン内に掲載する広告
● ブランドリンク広告
ユーザーが企業名やブランド名などを検索した際、検索結果画面にに対して占有的に広告を表示できる配信手法
このように、各広告はそれぞれ異なる形で掲載されます。扱う商品やユーザー属性に応じて、いずれかを選択しましょう。
いろいろな種類の広告を載せたければアドネットワーク広告を、自社ブランドを指定し検索したユーザーにはブランドリンク広告を見せるなどの使い分けをすれば、趣味嗜好が異なるユーザーそれぞれに最適な広告を提供できるわけですね。
なお今回は、最もメジャーなリスティング広告について活用法を後述します。
Baiduが赤字転落!?本当に大丈夫!?
2019年5月17日、Baiduは同年1〜3月期決算が赤字になったと発表しました(*1)。2005年の上場以来はじめての事態です。
原因の1つとして、広告収入の減少が挙げられます。
中国国内で使われる検索ツールが、検索エンジンからSNSへと移行しはじめ、Baiduの利用率も下がってしまったのです。
このニュースを見て、「Baiduは大丈夫なのか」と、心配になったインバウンド担当者の方は多いでしょう。
では、もうBaiduを活用しても意味がないのかというと、決してそうではありません。
確かにシェア率は低下しましたが、SNSだけですべての検索を済ませる人はほとんどおらず、皆何かしらの形で検索エンジンと関わっているからです。
その上で、Baiduが依然として90%のシェアを維持しているのを考えると、中国向けプロモーションにおける影響力は健在だと言えます。同国ネットユーザー8億人のうち、6億人へアプローチできるわけです(*2)。6億人といえば日本の人口の5倍以上なので、いかに多いかが分かりますね。
またBaidu運営も挽回を狙っており、AI研究を通じたサービス拡充に力を入れています。
このように、Baiduは今もなお中国人客誘致に欠かせないツールです。安心して活用していただければと思います。
*1:TechCrunch/中国検索大手Baiduが上場以来初めての四半期損失を計上
*2:CNNIC/CNNIC发布第43次《中国互联网络发展状况统计报告》
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日本からはBaiduに登録できない!?対処法を紹介
上述のとおり、中国向けインバウンド対策には必須と言えるBaidu。
活用にはアカウント登録をしなければならないのですが、2019年11月現在、中国本土の電話番号以外は受け付けてくれません。同年3月に起きた香港デモを受け、共産党政府がインターネット統制を強めていているからとされています。
ただし、日本からでも登録する手段はありますので、以下に対処法を述べておきます。
【2019年11月版】登録できない場合の対処法
2019年11月時点で、中国の電話番号を持たずに日本から登録する方法は、以下の2通り。
- 代行業者に登録を依頼する
多少のコストはかかるが、手間がかからず失敗もない。確実に登録できるのでおススメ。
- 自力で登録する
手順が複雑だが、低コストでできる。費用を抑えたいならおススメ。
方法としては、①VPNを使う方法や、②WeChatを介して現地MVNOに登録し、中国国内の電話番号を取得する方法などがある。
とは言え、どちらの方法も登録の流れが複雑で手間がかる。少なくとも、VPNや外国のMVNOを理解しているのが前提。
以上を鑑みるに、Baiduへの登録は代行業者を使うのが最適でしょう。
【分野別】訪日外国人向けサービスまとめ!訪日外国人が困ったこと順で紹介
Baiduのインバウンド対策活用法
Baiduでの集客においては、SEO対策とリスティング広告が代表的な手段です。これら2つについて、次に解説します。
自社サイトのSEO対策
1つめは、自社サイトをBaidu検索の上位へ表示させるためのSEO対策です。
BaiduにおけるSEO対策は、Googleに用いられるものとは勝手が違うので注意しましょう。以下にBaiduSEOの特徴を列記します。
・サイトの表示速度が早いほど高評価となる
・中国語の簡体字で書かれたコンテンツが評価される
・コピーや複製、転写などの記事は評価されない
・コンテンツは質よりも鮮度の優先順位が高い
・コンテンツは最低300文字以上が良い
・タイトルタグは35簡体字以内が良い
・Descriptionsタグは78簡体字以内が良い
・キーワードタグは記述した方が良い
・バックリンクが重要視される傾向にある
・Java ScriptやFlashの使用は控えた方が良い
・ドメインは.cnや.comが好まれる
このように、質よりも鮮度が重要だったり、メタタグが必要だったりと、Googleとは異なるやり方が必要となります。
Googleでの経験があっても一からの勉強が必須で、成果が現れるまでの時間も考えると、じっくりと取り組むことが必要不可欠です。
しかし、SEO対策はWEBマーケティングにおいて必須。手間と時間がかかっても、試行錯誤しながらコツコツ取り組んでください。
■ SEO対策の特長
リスティング広告
2つめの活用法は、リスティング広告です。
リスティング広告とは、検索結果の一番上に表示される広告のことで、出稿費を支払えば通常のWebサイトよりも確実に上位表示させられます。
中国国内における検索連動型広告のシェア率は、リスティング広告が約80%(*)。企業がこぞって出稿する理由は、他の広告手法よりも見てもらえる確率が高く、効果が見込めるからです。
よって日本企業が新規参入する場合も、まずは王道の出稿法・リスティング広告を選びましょう。
日本国内の企業がリスティング広告を出稿するには、以下の書類を提出し、許可を取り付けなければなりません。
1:登記謄本コピー(PDF)
2:登記謄本翻訳証明書 (百度指定翻訳会社から発行)
3:会社の銀行口座、銀行番号証明
4:政府公式サイトの企業登録情報照会のスクリーンショット
上記書類に加え、開設費用として19,000元(約310,000円)が必要です。
許可が下りると、出稿のための設定画面を操作できるようになります。そこでキーワードや出稿価格、時間帯、エリア、掲載LP、検索画面表示文などを設定すれば出稿完了です。
下の画像の赤枠がリスティング広告にあたります。
Googleのリスティング広告は、検索結果画面には文章のみの掲載ですが、Baiduのリスティング広告は画像や動画も表示もできるため、より情報量の多いアピールができます。
コストはかかるものの、SEO対策とは違い出稿すれば即上位表示されるので、キーワードへの関心が高いユーザーへ早く・強く訴求したい方におすすめです。
■ リスティング広告の特長
*:中国ビジネスラボ/中国シェアNO.1!「百度・リスティング広告」への出稿
Baiduを使ったインバウンド対策の事例
ここでは、Baiduを使ったインバウンド対策の事例をご紹介します。
実際にどのような活用方法があるのか知ることで、イメージが湧きやすくなるはずです。
Baiduのリスティング広告でアクセス2,000倍アップ!関西の百貨店
関西地方のとある百貨店が、リスティング広告で中国版の自社サイトへのアクセスを2,000倍にアップさせた事例です。
同百貨店は、中国国内における認知度を高めるために、Baiduリスティング広告を出稿。他の百貨店にはない魅力を重点的に発信しました。
ターゲットは、事前調査によって属性や関心の高い観光エリアなどを洗い出し、その結果を基に設定したそうです。とりわけ、都市部に暮らす若者は、収入アップを背景に来日しやすくなっていました。そこで、20~40代をターゲットとした広告の出稿数を増やしたとのこと。
その結果、中国語版サイトへのアクセス数が、施策前に比べ2,000倍アップ。実店舗でも、外国人売り上げが関西圏でトップになりました(*)。
リスティング広告は、検索キーワードと合致した際に表示されます。よってユーザーの属性や関心事の把握と、それらに合わせた出稿設定が欠かせません。リサーチが本当に全ての鍵を握りますので、自社だけで調べきれない場合は、外部専門家の助言を得るのも手ですね。
*:Yahoo!JAPANマーケティングソリューション/【事例】百度リスティング広告を中心に活用してCPA1/5、ウェブアクセス数2,000倍を実現[後編]
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まとめ
今回は、Baiduに関する情報や活用法を解説しました。
中国のネットユーザー8億人のうち、5億人強が利用するBaiduは、同国国内で絶大な影響力を誇ります。
だからこそインバウンド対策に必須で、優先的に押さえてほしいツールなのです。現に、中国人客誘致を成功させた事例もありました。
これからも中国人観光客の増加は予測されるので、今からでもBaiduにチャレンジする価値は充分すぎるほどあります。ぜひ活用をご検討ください。
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