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多くの企業がグローバル化の影響により海外進出を決める中で、日本企業も自社サービスを海外展開しようと模索を続けています。
しかしながら、そのすべての事業が上手くいくとは限らず実に4割もの企業が撤退、もしくは撤退を検討したことがあると答えています(*1)。
日本の中小企業の多くがなぜ海外進出に失敗してしまうのか?
海外進出をしている日本企業のデータと共に、他国の企業に勝てない理由や、勝つための戦略について紹介していきます。
*1:2014年帝国データバンク「海外進出に関する企業の意識調査」調べ
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海外進出する日本企業が選ぶ進出国
海外進出をする一番のメリットは「販売チャネルの拡大」です。
販売チャネルとは、商品やサービスを利用してもらうための販売経路を指す言葉です。
単純な人口で考えると日本は1.2億人に対し、アメリカは3.2億人、中国は13.8億人という圧倒的な市場規模を誇ります。
海外市場を手に入れることができれば、単純計算でも日本の10倍以上の売上を獲得できるビジネスチャンスが眠っています。
日本企業はどのような国に海外進出をするのか?事例やデータなどから紐解いていきましょう。
世界第一位の人口を持つ中国
日本企業の約45%である30,000社以上が進出しているのは、世界第一位の人口を持つ「中国」です。
13億人以上の圧倒的な人口は日本の10倍以上のマーケット規模を誇り、豊富かつ安価な労働力をベースとして日本に限らず世界各国の「生産」を支えてきました。
生産拠点としてだけでなく、同じアジア圏ということもあり文化的な背景なども日本と近い性質を持っているので、新規の販売チャネルとして選択肢に挙げられるケースも多いです。
販路を拡大する目的と、新規の生産拠点としても利用されるため、多くの日本企業が海外進出の第一候補として挙げています。
GDPランキングトップのアメリカ
中国の次に多くの企業が進出しているのが「アメリカ」です。
人口は3.2億人と世界でも3番目の人口ですが、IMFの予測している2020年のGDPランキングはトップを獲得しています。
ホンダやトヨタなどの日本の大手自動車メーカーが進出しており、ソニーやパナソニックなどの家電メーカーも生産拠点を構えています。
未だ成長を続けている、世界最大のグローバル市場であるため購買力の高さも無視できない存在として君臨し続けています。
進出率が10倍に伸びているミャンマー
意外かもしれませんが、ASEAN加盟国の一つでもある「ミャンマー」はここ数年で多くの日本企業が進出しています。
2011年時点での現地法人数はわずか11社でしたが、2016年時点には105社と10倍近い進出率となっています。
既に多くの日本企業が進出しているタイ(バンコク)やカンボジア、ベトナムを高速道路や橋で結ぶプロジェクトも進んでおり、大きな経済発展が見込まれています。
これによりASEAN4カ国が1本の道路で繋がり、各国の連携した動きが進出を決める大きな理由にもなっています.
また給与水準が上昇した中国と比較すると現在でも人件費が安いミャンマー。
紙おむつや生理用品などを製造するユニ・チャームや、殺虫剤などを製造するフマキラーなどが生産拠点として選んでいます。
日本企業の海外進出 勝てない理由
海外進出を決めた4割もの企業がなぜ撤退にまで追いやられてしまうのか。
日本で大きな成功を収め、上場まで果たした大企業も例外ではなく海外に支社を設立してから活動実態も音沙汰も無くなるケースも多々あります。
多くの日本企業が海外進出に失敗してしまう理由や他国の企業に勝てない理由について、これからお伝えしてきます。
これらの失敗を避け、効率的な海外展開を実現するためには、事例を研究し、対応可能な国と施策を熟知することが重要です。弊社の豊富な支援事例をご覧いただき、ご自身のビジネス計画に活かせるヒントをお探しください。ご利用はこちらから。→[資料ダウンロードへ]
海外進出の目的やビジョンを明確化出来てない
海外進出を決めた企業の多くは、その目的やビジョンなどが不明確のまま進出国を決めている傾向にあります。
海外進出を決める理由として最も多いのが「経営者仲間からこの国が良いと聞いたから」という安易に決めてしまったケースもあります。
他には競合他社がその国で成功している場合や、逆に競合が展開していない国という理由も挙げられます。
海外進出を決める際には、どの国でどのように勝負を仕掛けに行くか具体的に考えておく必要があります。
経営者が具体的なビジョンを提示できなければ、現地の従業員や海外に派遣した社員のモチベーション低下を招く恐れもあります。
ビジョンがはっきりしていないプロジェクトでは目標や期限なども決めることが出来ないので、成功や失敗の判断も出来ずに活動実態が少しずつ見えなくなっていきます。
最終的には事業方針の見直しを行うこともなく、体裁上「海外進出に失敗した」という事実を残さないために、支社はあるが活動はしていないという実態のないオフィスだけが残る場合もあります。
海外進出は思いつきではなく、1つの事業と捉えて責任感を持ってプランを練るようにしましょう。
決断に必要なスピード感が遅い
日本企業に圧倒的に足りないものは「スピード感」だと言われています。
ボトムアップ型の組織であれば、現場からの要望に対して検討期間を設けて稟議を行う企業は多く存在していますが、日本企業はその時間が長いです。
検討期間は長ければ長いほど失敗するリスクを抑えられるように思えますが、その分事業のスピードも遅くなって機会損失に繋がります。
ASEANの財閥企業や中国の大企業であるアリババ、テンセントなどはオーナーの即断によって事業を推進しており、日本企業とは事業の進め方が大きく異なります。
海外では他国企業と同じスピード感を持って事業を推進していきましょう。
現地の外国人の課題や悩みを解決出来ていない
海外進出をしても、ビジネスのやり方を大きく変えずにこだわりを持ってしまうと、現地の外国人の課題や悩みを解決することが出来ません。
日本で大成功を収めたプロジェクトやサービスであっても、全く同じものが海外で成功するとは限らないので注意が必要です。
海外はどの国も文化的な背景、価値観、言語、所得など様々な要素が日本と異なっています。
日本社会は基本的に生活インフラも整っており、生活環境などで不便が少ないですが、後進国も同じ環境が整っているとは限りません。
そのため、現地の人間の悩みや課題が何なのか原点に立ち返って考え、サービスの売り方やビジネスの構想を見つめ直す必要があります。
安易な給与アップによる人材流出
安易な給与アップによる人材流出も海外進出する日本企業が陥る罠です。
海外進出をした多くの日本企業は現地の優秀な人材の早期獲得のために、その国の平均的な給与よりも高い水準で採用を行っていました。
後進国では日本よりも給与所得の水準が低いので、2倍や3倍に引き上げても日本と比べれば安く優秀な人材が確保出来ます。
安易な給与アップを繰り返した結果、他の海外進出をする企業同士で給与の吊り上げが行われて、人材も給与の高い方に流れるようになりました。
一度このような状況になってしまうと、給与水準が下げることができなくなり、後続の日本企業の海外進出コストにも大きな悪影響を及ぼすことになります。
最終的には売上はそのままで、人材コストのみが吊り上がることで赤字となり、事業を撤退せざるを得ない状況になります。
安易な給与アップを行うことは自社だけでなく日本企業全体の首を絞めることにも繋がるのです。
日本企業の海外進出 必勝ポイント
以上の理由を踏まえて、日本企業が海外進出する際にはどのようなポイントに注意すれば撤退すること無く業績を伸ばすことが出来るのでしょうか?
海外進出で業績をアップし続けている企業が実践している必勝ポイントについてまとめてみました。
インバウンド調査を行い外国人の悩みを理解する
海外進出において継続的に事業を成長させていくためには、具体的なグローバル戦略を固める必要があります。
その一つとして効果的な手法が「インバウンド調査」です。
インバウンド調査は、訪日外国人が日本でどのような消費活動を行っているのかを調べるマーケティングリサーチの手法です。
外国人観光客から情報収集を行い、どのような商品やサービスに興味があるのか直接アンケートなどで調査することで、消費動向を探ることが出来ます。
その国に暮らしている外国人が普段何を考え、どのように生活しているかを知ることで、自社サービスをどのようにPRしていけばいいのかビジネスのアイデアに繋がります。
その国への知識を持たないまま、憶測や偏見だけでサービスや商品の開発を行っても、そもそも的外れで全く売れないというケースも多いです。
実際に目の前でサービスを使ってもらったり、商品に触れてもらうことでどのようなリアクションが得られるのか?というのは大きなヒントとなるでしょう。
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海外で事業の成功確率をアップするためにも、インバウンド調査などの現地調査を行い、進出先の国の文化などを知り尽くしておきましょう。
海外向けSNSやリスティング広告で効果検証する
本格的に海外進出をする前に、海外向けSNS運用や、現地向けのウェブサービスでリスティング広告出稿で効果検証を行うことも効果的です。
自社サービスを使ってもらったり、商品を買ってもらうためにはまず、どのようなものなのか認知して貰う必要があります。
現在は直接海外に赴かなくても、ウェブ上だけで外国人に対してSNSや広告などを利用して認知を普及することが出来ます。
まずは小さく始められるものからテストを行い、どのような訴求が刺さるのか?どのような魅せ方が反応率が良いのか?といった数字の改善を重ねましょう。
仮に多大な予算をかけてオフィスを準備してスタートダッシュで躓いてしまうと、長期間赤字を垂れ流すリスクを背負うことになります。
日本にいながら海外に向けてSNSやリスティング広告運用を行うのは、コストを下げて失敗のリスクを抑えつつ、効果的なプロモーション戦略を導き出せる優れたやり方です。
スピード感を持ってトライアンドエラーを繰り返す
先述した通り日本企業の大きな課題は「スピード感の遅さ」にあります。
海外進出をするということは、日本以外にも現地の企業、アメリカや中国など世界中から進出してくる企業と戦っていかなければなりません。
大きな壁にぶつかったり、判断が難しい局面に差し掛かった時に少しでも早く即断して行動出来なければ他の企業に追い抜かれるのは間違いないでしょう。
検討期間は長ければ長いほど失敗するリスクを抑えることが出来ますが、その間にライバル企業に出し抜かれ、せっかくのビジネスチャンスを見過ごしてしまうのは大きな機会損失となります。
まずは現場の人間だけでも判断できるような組織体制に変更し、現場の人間に判断をさせたり、失敗を恐れずに決断させる社風を浸透させていくことが重要です。
失敗を恐れてチャレンジしなければ、何が間違いだったのか?という経験を積むことは出来ず、いつまで経ってもスピード感の遅さを変えることは出来ません。
トライ・アンド・エラーを繰り返して、会社全体で失敗を恐れず、それをカバーするための文化を形成すれば海外進出をしても失敗する可能性は低くなるでしょう。
まとめ
海外への販路拡大や、安価な生産拠点の確保として海外進出はとても効果的ですが、事前に入念な現地調査や海外進出の目的を明確にしておく必要があります。
海外に進出した日本企業が失敗するリスクを少しでも減らすためには、以下のポイントに注意するようにしましょう。
- 海外進出の目的やビジョンを明確化する
- 決断のスピードを早くする
- 現地の人間の課題や悩みを調査する
- 安易な給与アップを行わない
- 失敗を恐れずチャレンジする
社内の人間だけで海外進出のプランを考えるのが難しい場合は、プロに相談してみるのもおすすめです。
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まずは、自社サービスをどの国でどのようにPRすれば効果的に売ることが出来るのか?という販売戦略などを相談してみるのがいいでしょう。
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