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現在、グローバル化に伴い多くの日本企業が海外に進出しています。
東証一部上場とそれに準ずる企業の海外進出では、51.3%もの企業が海外進出しています。それに比べて中小企業の海外進出はわずか3.5%というデータ(*1)も。
海外進出は製造業のイメージが強いですが、IT企業や医療など幅広い業界の企業が海外進出しています。
多くの日本企業はなぜ海外進出するのでしょうか?
本記事では、日本企業が海外進出をする理由、海外進出のメリット・デメリット、海外進出の成功ポイントをご紹介します。
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日本企業が海外進出する理由
日本企業が海外進出する理由は数多くあり、具体的には国内市場の縮小・海外市場の大きさ・人件費の安さ・取引先の海外進出などがあげられます。
では、それぞれ具体的に見ていきましょう。
企業の海外進出が必要な理由とは?成功事例・失敗事例から見えてくる法則
国内の市場規模の縮小
日本企業が海外進出する理由の一つは国内市場の縮小です。現在、日本では少子高齢化に伴う人口減少が続いています。
今後もさらなる人口の減少が予想されます。国内の人口が減少するということは、それだけ国内での消費量が少なくなることを意味します。
*総務省 平成28年度版 情報通信白書「人口現象社会の到来」
上記グラフからお分かりのように、日本の人口は2005年あたりをピークに年々減少しています。2050年には日本の人口は1億人を切る予測となっています。
高齢化率も年々上がり、2025年には高齢化率が30%に達する見通しです。
人口が減少して消費が少なくなり、生産年齢人口が小さくなることにより日本の経済規模も小さくなると考えられます。
いずれにしろ、日本市場だけで取引していても利益が落ちていくのは間違いないでしょう。市場規模が縮小すれば、それだけ売り上げを伸ばすのが難しくなります。
国内の少ない顧客の奪い合いになり、競争も激化。そんな国内事情ゆえに、現在多くの日本企業が海外進出を試みています。
市場規模の大きさ
海外の市場規模の大きさから、海外進出を決める日本企業も多いです。
日本の人口は約1億3000万人ですが、世界全体でみれば人口は約75億人です。日本は人口が減少傾向にあるのに対し、世界の人口は増え続けています。
現在人口が大きく増加している地域は主にアジアとアフリカ。具体的には、インド、ナイジェリア、エチオピア、インドネシアなどです。
これらの国は人口増加に伴い、さらなる市場規模の拡大が見込まれます。予測では、2050年時点で世界の人口の1位はインド、2位は中国、3位はナイジェリアとなるそうです。アジアとアフリカの人口がさらに増加する見込みです。
現在の海外の市場規模の大きさや今後の見込みから、今の時期から海外進出を目指す日本企業は多いです。
人件費の安さ
発展途上国は先進国に比べて人件費や材料費が安い傾向にあります。発展途上国に海外進出すれば、人件費は日本国内の20%程度に抑えることができます。人件費の安さを理由に海外進出する日本企業は少なくありません。
日本は少子高齢化の影響もあり、労働力確保が難しく人件費が高くなると見込まれています。日本企業は発展途上国に進出し、人件費や材料費を大幅な削減を目指します。
以前中国は豊富な労働力と人件費の安さから「世界の工場」として多くの外国企業が進出していました。
しかし、中国の経済発展に伴い人件費が上がり中国から撤退する外国企業も増えました。現在、多くの日本企業は東南アジア諸国に海外進出しています。東南アジアも急速に経済発展しており中国のように人件費が高くなっていくと考えられます。
現在の人件費の安さだけでなく、長期的な視点を持って海外進出する必要があると言えるでしょう。
取引先企業の海外進出
特に中小企業における海外進出理由として多いのが、取引企業の海外進出に追随して自社も海外進出する例です。自社には海外進出する予定はなかったが、取引先から海外進出の要請があったり、取引先との関係を継続させるために海外進出を検討する企業もあります。
こちらは積極的理由ではありませんが、こうした海外進出の検討は少なくないようです。
例として、部品を扱う企業が完成物を扱うメーカーに追随して海外進出をするケースがあります。
ただ、近年は国内の取引が縮小していく中で自己判断で海外進出する中小企業も増えてきました。
日本企業の海外進出 メリット
日本企業が海外進出するメリットとしては、販路の拡大やコスト削減があげられます。
国内だけの取引にとどまらず、海外で取引することで企業の利益を大幅に増やすこともできます。
また海外に工場を置くことで、人件費・材料費・税金などのコストを抑えることもでき、海外進出を行う理由をより鮮明。
販路拡大
海外進出のメリットの一つは販路の拡大です。
日本の市場縮小が進む一方で、世界全体で見れば市場は拡大しています。世界の人口は75億人を超え、東南アジア諸国やアフリカ諸国は著しい経済発展を遂げています。
特に東南アジアなどの新興国では今後の市場の成長が見込まれます。東南アジアは日本から海外進出しやすい地域でもあり、日本企業の海外進出の場として注目されています。
上記のように海外市場をターゲットにすれば、大きなビジネスチャンスを掴める可能性も高まるため、多くの日本企業が海外進出する理由がお分かりいただけると思います。
海外展開が成功すれば、日本国内で製品やサービスを展開する何倍もの利益を得ることも可能です。
人件費や税金等のコスト削減が可能
日本企業が海外進出するメリットとして主要なのは、何と言ってもコスト削減です。日本企業が海外に生産拠点を移すのは、人件費や材料費、税金などを削減できるからというのが主の理由として挙げられます。
既述の通り、人件費の削減を目的に海外展開する企業は多いです。
それに加え、日本より税率が低い国に海外進出し、税制優遇を享受しようと海外展開する日本企業も多数存在します。
海外向けに税制の優遇をして外国企業の進出を進める国もあります。そうした国に進出すれば税制コストの低減により、手元に多くの利益を得ることができます。
外国企業が税制面で優遇される例として、経済特区があります。経済特区といえば、中国の深圳や厦門が有名ですよね。外国企業を税制面で優遇し、外貨誘致を目的に開発されていました。
こうした経済特区は中国だけでなく、東南アジア地域でも広がっています。東南アジアでは、ベトナム、マレーシア、カンボジア、タイ、ミャンマー、フィリピンなどに経済特区があります。
こうした地域では税制の優遇もあり、多くの日本企業が海外展開しています。メーカーやIT、医療やロボットなど様々な分野の企業がこうした地域に海外展開しています。
日本企業の海外進出 デメリット
では翻って、日本企業が海外進出するデメリットは何なのでしょうか。
主なデメリットは人材管理や多額のコストがあげられます。
そうしたデメリットを乗り越えて日本企業は海外進出を実現しているため、事前に踏まえておきましょう。
人材の定着率の低さ
日本企業の海外進出では、人材の定着率の低さがデメリットとして挙げられます。その理由として海外では、一つの会社に勤め上げるという考え方が非常に少数派であるからです。
海外は日本と異なり労働市場は流動的です。報酬などの面で不満があれば転職することが一般的です。条件が良い会社があれば転職するという価値観が浸透している国では、人材の定着率は必然的に低くなります。
苦労して獲得した人材がすぐに転職してしまうのは会社にとってデメリットですよね。人材を定着させるためには十分な報酬とキャリアアップの機会を準備する必要があります。
明確な人事評価と昇給基準を整備し、現地スタッフが納得して働ける労働環境を整えましょう。
多額のコスト
企業が自海外進出する際には多くのコストがかかります。日本企業が新たに海外に進出する場合、現地の情報を集めることから始めます。現地のマーケット情報、顧客のニーズ、競合調査、現地視察などで情報を集めます。
情報収集だけでも多額のコストがかかります。さらに現地で事業を始めるとなるとさらに出費がかさみます。市場調査費や法人設立費用、通訳依頼料、事務所家賃など海外進出にかかる費用は多岐に及びます。
これらの費用がかかっても、海外進出が軌道に乗るとは限りません。この点が海外進出を検討する企業が尻込みする主要な理由となっています。
例えばフリマアプリを運営するメルカリは、日本国内では多くの利益を得ている一方で、米国事業などが要因で多額の損出を計上しました。メルカリは事業のグローバル化を目指し米国での事業に多額の資金を投入しましたが、結果として赤字の拡大につながったのです。
多額の費用をかければ成功するとは限らないという点も海外進出のデメリットです。
日本企業の海外進出 成功ポイント
日本企業が海外進出をする際の成功ポイントは現地向けに自社製品をローカライズさせること、市場のニーズに合わせること、現地企業との連携です。
消費者に対しても、現地スタッフに対しても現地に合わせた商品や人材管理を行わなければいけません。日本企業の海外展開は、どれだけ現地に適合できるかが成功ポイントとなります。
現地向けに自社製品をローカライズ
日本企業が海外進出で成功するには、人材の管理方法から販売戦略、評価制度などを現地に合わせることが大切です。
日本で成功したものをそのまま持ち込もうとするのは良い方法とは言えません。人材管理についてはすでにご紹介しましたが、明確な評価制度や簡潔なコミュニケーションが求められます。
例えば日本を代表する自動車メーカーのスズキ株式会社は「世界各国・地域のニーズに合った製品をラインナップし、現地で生産していく」方針で事業を展開しています。
現地に合わせつつ同時に日本の労働文化や日本式経営も世界に広めているスズキ。それぞれの国の産業の育成や雇用の拡大にも貢献していることが、海外進出を成功させている理由と言えるでしょう。
市場のニーズに合わせる
現地で商品開発をするとき、現地市場に合わせた商品やサービスを提供する事が大切です。海外の現地市場と日本市場では消費者のライフスタイルや好みは大きく異なります。
製品のローカライズが成功した例として、東洋水産のマルちゃんがあります。東洋水産はアメリカに現地法人を設立し、主にメキシコへ輸出しています。
東洋水産のマルちゃんはメキシコで人気を集めたことから、味付けをメキシコ人好みに変えてフォークで食べやすいように商品を改善しました。アメリカでのマルちゃんの生産は日本の約3倍にもなっています。
「日本で売れたものを海外でそのまま売る」という考え方ではなく、「日本で売れたものを現地に合わせて売る」という考え方が必要です。
現地企業との連携
日本企業がいきなり海外進出を行い事業を展開するのはリスクが高いです。海外展開の方法として、現地企業と提携する手もあります。
海外で現地企業と提携する有効な施策として、海外の展示会への出展が挙げられます。展示会には製品やサービスに関心のある企業が集まるため、現地でのコネクションを作りやすいのが理由です。
現地の販売代理店と提携して商品を販売する方法もあります。自社だけで現地に商品を根付かせるのは至難の業。
現地の展示会への出展や現地の販売代理店を利用し、海外展開を進めましょう。
まとめ
今回は、日本企業が海外進出を行う理由を中心に、海外進出のメリット・デメリット、海外進出の成功ポイントをご紹介しました。
海外進出を行うには多大な時間や費用が掛かかるだけでなく、現地のニーズや市場を調査することも不可欠です。
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