送客の主導権を握り、グローバルレベルのプラットフォーマーへ。徹底したツーリスト目線を武器に「インバウンドど真ん中」に挑む。【インバウンド仕掛け人 100】 – グローバルデジタルマーケティングのLIFE PEPPER
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送客の主導権を握り、グローバルレベルのプラットフォーマーへ。徹底したツーリスト目線を武器に「インバウンドど真ん中」に挑む。【インバウンド仕掛け人 100】

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訪日客数の増加に伴い、急成長しているインバウンド市場。東京五輪が開催される2020年には訪日客数が4000万人を突破するとも言われ、まだまだ伸び続けることが予想されています。そんなインバウンド業界で様々な仕掛けを行う先達たちと、株式会社LIFE PEPPER取締役 高橋佑輔が対談する「インバウンド仕掛け人100」。
今回は、インバウンドツーリズム業界の牽引者的存在である WAmazing 代表取締役・CEOの加藤史子さんとの対談をお届けします。

WAmazing株式会社
代表取締社長
加藤 史子(かとう ふみこ)
1998 年に(株)リクルート入社。「じゃらんnet」や「ホットペッパーグルメ」の立上げ・企画開発など、ネットでの新規事業開発に携わった後、「じゃらんリサーチセンター」に異動。ビッグデータ分析による旅行者分析やスノーレジャー再興を目指す「雪マジ!19」を立ち上げた。2016年7月にWAmazing (株)を創業し、訪日外国人旅行者向けスマートフォンアプリ「WAmazing」をスタートさせる。日本の主要空港で無償貸与されるSIMカードによるインターネット通信環境の提供と、日本旅行に必要な宿泊やスノーアクティビティの予約手配や購入支援といった旅行エージェント機能を提供。現在は、香港・台湾・中国・ASEAN 6か国にてサービスを展開中。

株式会社 LIFE PEPPER
取締役
高橋 佑輔  (たかはし ゆうすけ)
経済産業省で約6年間勤務し、退官後株式会社LIFE PEPPERに参画。アジア全般のインフルエンサー、ブロガー広告に精通し、複数の日本企業の海外進出・インバウンド戦略に関わる。妻が台湾人の人気ブロガーであり、実際に台湾現地の最前線でインフルエンサーマーケティングを学び、マーケティング戦略に反映。”その国の国民性”に着目したプロモーション企画で唯一無二の価値を提供している。

提供するのは、旅の伴走型サービス

ー加藤さんが現在取り組まれていることについて教えてください。

加藤:WAmazingは「手の中の旅行エージェント」として、旅行中のアクティビティや宿泊場所の予約等ができるアプリとウェブサイトを運営しています。また、訪日外国人観光客向けに無料SIMカードの配布も行っています。出国前にアプリをインストールし事前登録しておくと、日本国内の空港にある自動受け取り端末で無料のSIMカードが受け取れるという仕組みです。

弊社の特徴は、旅前から旅中を通じての伴走型サービスであるところ。旅前にはウェブサイトでアクティビティ等を予約することができ、旅中はインストールされたアプリで無料SIMカードを管理したり、観光情報を見ることができるサービスなどを展開しています。

ーユーザーの属性を教えていただけますか?

加藤:弊社の場合は圧倒的に観光ニーズが高いですね。LCCを活用しながら賢く安く旅行したい友達グループや、家族連れといった方々が主要なターゲットとなっています。男女比はほぼ半々。20代〜40代が中心で、一番多いのが20代、次が30代です。これまではアプリの対応言語が中国簡体字と台湾・香港繁体字だったこともあり、7割が台湾、3割が香港のユーザーでした。最近英語対応をして、中華圏だけでなくASEAN6カ国に新規に展開しています。

高橋:私の台湾の親族や知人も、WAmazing を利用している人が多いです。まずはSIMから入り、ホテルの情報を見たりとか、使ってみると便利という声が上がります。

ツーリズムビジネスの経験をもとに、インバウンド市場のど真ん中に挑戦

ー事業立ち上げの背景

高橋:私が加藤さんに興味を持ったきっかけは、加藤さん = ツーリストビジネスのプロであるという点と、そんな加藤さんが「ド直球」なサービスを立ち上げられた点です。まずは現在の事業を立ち上げた背景を教えていただけますか?

加藤:前職のリクルートで「じゃらんnet」の立ち上げに携わったのが、観光産業との最初の関わりでした。その後は、同社で観光振興による地域創生を目指す事業に取り組んでいました。

その頃からインバウンド市場が広がっていくだろうことは予想していたのですが、そこに食い込めるプレーヤーがいないことに課題感を持っていました。大手企業は国内旅行の市場が20兆円と大きいため、インバウンドを本気でやる感じではなく、ベンチャー企業は参入障壁の低いニッチな部分にしか入り込めていない。誰かやらないかと待っていても、インバウンドのど真ん中をやる会社が出てきませんでした。

私が考えるど真ん中とは、送客力を持つことです。10年以上前に、地域の人が主体となって地域資源の棚卸しや商品づくりをし、地域発で観光産業を樹立しようという「着地型観光」という言葉が話題になりました。私は本来、観光とはそうあるべきだと思うんです。消費が行われる場所の人たちが、きちんと集客の主導権を握る必要があると考えていました。

インバウンドにおいて、日本は着地地点。消費が行われる場所です。だから主導権を握るべきなのですが、実際には海外の旅行会社や予約サイトが送客力を持って人を送り込んでいる状況がありました。この先の未来では、受け地である日本が海外の旅行予約サイトに高いお金を払い送客を依頼することになる。そういう未来を少しでも回避するために、送客というポールポジションを握らないといけないのではないか。その課題感からWAmazingの立ち上げを決めました。

ー起業後は、どのように事業を組み立てていったのでしょうか。

加藤:海外の大手旅行エージェントではなく、日本の観光業者が送客の主導権を握るためにどうすればよいかを考えました。真正面から海外の大手企業と戦うのはベンチャー的ではありません。そこで、「モバイル特価型で通信料無料」という仕組みをインセンティブにしつつマーケティングしていくなど、いくつかの戦略を組み合わせながら事業を組み立てていきました。

高橋:本当に素晴らしい挑戦だと思います。日本に旅行予定のユーザーは、WAmazingを使って旅行手配する、という習慣がない。これは、新しい概念なので当たり前ですね。まさに加藤さんは、新しい旅行手配の概念を作られている。苦労されるとは思いますが、これからの進展が楽しみです。応援してます。

ーこれまでのご経験が今のビジネスに繋がっていると感じる点はありますか?

加藤:前職で観光事業者と日本人観光客をマッチングさせる国内のB to Cモデルに携わっていた経験から、事業者側のニーズや困り事の把握はできていました。私だけではなく創業メンバーに同じような経歴の者が多かったことは、WAmazingの一つの強みですね。

また、旅行離れしていると言われる若者を、地域の観光に繋げていく仕組み作りに携わっていたことも役立っていますね。マッチングビジネスモデル業者の価値は、出会うことが難しい2者の出会いを仲立ちすること。WAmazingでは、近年増加しつつある個人旅行者、いわゆるフリーインディビジュアルトラベラー(FIT)と、地方の魅力的な事業者との橋渡し役を目指しています。

大事なのは、ツーリスト目線で考えること

ー観光事業者側は、インバウンドツーリズムに対してどういう課題を持っているのでしょうか?

加藤:まず、観光客が団体や旅行会社が作っているパッケージツアーの参加者から FIT に移行した時、どう集客したらいいのかわからないという課題がありますね。FIT は時間に縛られず、自分の好みに合わせて動くので、行動を予測しづらく、アプローチしにくいんです。

それから、アクセスの問題は大きいです。日本の国内旅行市場は車で行くことが前提で、実際に国内旅行者の9割が自家用車ユーザー。レジャーブームが起きた80年台後半から90年台中盤にマイカーが普及したことで、レジャーのインフラも車ありきで発展したという背景があります。旅行会社のツアー等も基本的に施設までの送迎付きですよね。ですがこの仕組みは、公共交通機関を利用する外国人個人旅行者にはフィットしません。それを象徴しているのが、例えば「アクセスページ」の記載文言があります。多くの施設等では「〇〇 IC(インターチェンジ)から〇分」などと書かれていますよね。外国人個人旅行者は、「〇〇 IC(インターチェンジ)」がそもそもわかりません。ならば、外国人向けの情報発進時は「成田空港から◯分」など、交通のハブになる場所を書いた方がいいかもしれない。このように、旅行者のセグメントにより、どう伝え方が変わるのか、ツーリスト目線で考える必要があります。

高橋:とはいえ、事業者の方はどういう情報を発信すれば旅行者が「行ける」と感じるのかわからないことが多いと思います。そういう時は、例えば地域の留学生に協力を仰いだり、もし予算が許せば一度プロのブロガーを呼ぶのも手です。どういう情報を発信すればいいのか、ある種のお手本になる。

その点、WAmazing さんはよく研究されているなと思います。その一つが、香港向けの記事と台湾向けの記事の情報が異なっているところです。香港と台湾は中華圏とひとくくりにされがちですが、実は全然違う国。同じ繁体字中国語でも、微妙に違うんです。そういう点からも、WAmazing さんのサービス運営へのこだわりを感じます。

ーアクセスの問題以外に、日本人の旅行市場と外国人の旅行市場において大きく違う点は何ですか?

加藤:一つは宿泊数の違いです。日本人の旅行市場20兆円のうち18兆円程が宿泊市場であり、うち約9割が1泊2日市場です。これは日本人の休みの取り方や文化的な背景が関係しています。

逆にインバウンド市場は連泊市場。1番短い韓国で3日、香港や台湾だと約6、7日、中国だと10日が平均です。1泊2日であれば、旅館で懐石を食べて温泉に入り、朝食を食べて帰るというプランでいいのですが、それを3日続けては出来ません。多くの旅館では季節ごとにメニューを準備しているため、毎日違うものを提供することができないのです。泊食分離が基本になりますが、東京のように歩いて別のレストランに行ける地域ばかりでもありません。

また、単泊を基本として成長してきた日本人の旅行市場では、旅行中にできるアクティビティが育ってきませんでした。インバウンドツーリズムに関しては、日中のアクティビティについても考える必要があります。

年齢層の違いも大きいです。アジア諸国の平均年齢は若く、タイを除くASEAN諸国の平均年齢は20代。インドネシアは27、8歳、中国は36歳です。当然旅行者層の年齢も低くなります。これに対して、宿泊旅行をする日本人の55%が50歳以上。年齢層が違うので、当然マーケティングの方法も変わってきます。シニア層への主要マーケティングは日本では四大マスメディア等ですが、それでは海外の若者への訴求力はありませんよね。マーケティング方法に加え、コンテンツのアプローチも扱うチャンネルも変わってくるので、そういう目線を持てるかどうかが一つの課題ですね。国ごとの違いも出てくるので、選択と集中が必要になってくると思います。

高橋:国の違いに関して補足します。弊社は複数国またがってのプロモーションを依頼されることが多いのですが、提案段階から事業者のみなさんを混乱させてしまうことがあります。
例えば東アジア。例えば台湾・韓国・中国では、使用される検索エンジンが異なっています。どの国がどういう情報収集の習慣があるのか、それを踏まえて情報発信をする必要があります。ただし同じ人間なので、感覚的な部分は同じことが多いです。要するに、うまいものはうまい、まずいものはまずい。

ーそのような違いを踏まえた上で、事業者側が真に対応すべきことは何だと考えますか?

加藤:大事なのはツーリスト目線で考えることです。具体的に考えるべきことは3つ。
1つは、車のない外国人観光客のアクセス方法について。次に、複数泊中の昼間のアクティビティについて。そして、複数泊する際の毎日の食事について。この3つに対応できれば、絶対に人気エリアになります。

インバウンドというと、とにかく言語対応、と考えてしまう事業者が多いですが、言語が必ずしも必要というわけではないと思っています。以前、温泉街の仲居さん達に対して「外国人のお客さんとコミュニケーションが取れたか」というアンケートを行った際、取れたと回答するのは2、3割でした。ですが外国人観光客側に同じアンケートをとると7、8割がコミュニケーションが取れたと回答したんです。つまり、事業者側は外国語ができなくてサービスを提供できなかったと思い込んでいても、意外と旅行客は満足していただいているということです。

高橋:サービスの提供側に、言語を完璧に話す必要はないと認識してもらうことは重要ですよね。弊社では百貨店のコンサルティングも行っていますが、スタッフの皆さんには「訪日ゲストに対して、胸を張って日本語で『いらっしゃいませ』と言ってください」とお伝えしています。外国人観光客は日本人に日本語で話しかけてもらうことを喜ばれるんですよね。日本人として堂々と普段やっていることを見せることも、観光コンテンツになると思います。
ただし完璧な他言語化が必要な分野もある。大事なのは、「自社にとって何が完璧か」「どう見られるべきなのか」を外国人目線でちゃんと認識することです。

集客の主導権を握り、グローバルレベルのプラットフォーマーに

ー最後に、今後の展望を教えてください。

加藤:インバウンド市場は、産業規模的にも大義的にも希望がたくさん詰まっている産業だと思います。日本人旅行市場が約20兆円と言いましたが、インバウンド市場の政府目標は2030年に15兆円というもの。仮に日本人旅行市場の20兆円を維持しつつこの15兆円が上乗せされると35兆円にもなり、自動車産業を抜いて圧倒的1位の規模となる。頑張る価値がある産業だと思います。また、観光産業は他の産業と異なり、絶対に空洞化しないことも強みです。例えば鬼怒川温泉の観光をタイでやるわけにはいきませんからね。地域でこそ成立しうる、地方分散型の産業になると思います。

WAmazingが登ろうとしている山は非常に高いので、まだまだ道の途上です。しかし、まだまだ伸び代のあるインバウンド産業の中で、日本という着地点から発信し、グローバルレベルで集客の主導権を握れるようなプラットフォーマーを目指したいと考えています。


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